平成19年度 中央アジアの対ロシア関係の新展開 【2007/11/20-30】

平成19年度 中央アジアの対ロシア関係の新展開

概要


 政治的、経済的に大きな変貌を遂げつつある中央アジア諸国に対する研究は我が国においていまだ十分ではなく、今後より一層の調査が必要とされるエリアである。また、ロシアから独立後どのように中央アジア諸国が変化を遂げているかを明らかにすることは、今後、我が国とこれらの国々との経済関係の強化を促進していく上でも重要である。
 こうした背景を踏まえて、今回「中央アジアの対ロシア関係の新展開について」という共通テーマのもと、中央アジア諸国の中で未だ研究者が少ないために調査の遅れているトルクメニスタンおよびタジキスタンに専門家を派遣して、変わりつつある中央アジアの現状を探り、研究成果を関係先に供し、情報交換を図ることを目的に現地調査を実施した。

日時:2007年11月20日~30日
場所:トルクメニスタン(アシガバード)、タジキスタン(ドゥシャンベ)

実施概要(PDF:141KB)
中央アジア地図(PDF:1.5MB)


参加者


1.トルクメニスタン(アシガバード)
岡田 晃枝氏(東京大学 教養学部 教養教育開発機構 特任講師)

2.タジキスタン(ドゥシャンベ)
稲垣 文昭氏(慶応大学大学院 政策・メディア研究科 特別研究講師)


内容



<トルクメニスタン>
岡田 晃枝氏
 トルクメニスタンは、エネルギー資源をめぐる外交関係に焦点をあてた調査を予定していたが、調査時期が独立国家共同体(CIS)の首相レベル級会議で各国首相が集まっていた頃にあたったため、必要以上に警備が厳しく、予定していた訪問先へ取材等が不可となった。そのため、ミクロな視点での取材となった。
市民の暮らしぶりからいえば、オイルマネー、天然ガスが非常に豊富な国であり、経済は上向きだが、それが民間に還元されているかどうかは疑問に思われていた国だが、今回は一見して非常に豊かになったようにみえた。一年前のショッピングセンターは、外国人や一部の裕福な人専用という感じだったが、今回は非常にきれいに包装された果物や野菜、食料品、日用雑貨などが所狭しと並べられ、多くの一般買い物客で賑わっていた。安いバザールではなく、ある程度高級なスーパーマーケットで買い物をするのが当たり前という生活レベルの人たちが増えてきたということにほかならないと思う。また国民がゆったり過ごせるような場所、ディズニーランドのような、かなりの敷地面積がある面白いテーマパークも完成し、たくさんの人が余暇を過ごしていた。書店も、以前はニヤゾフ前大統領が書いたものが並んでいたが、新しい商業施設の中に、これまで見たこともないロシアの書籍や美しいカードもたくさん並んでいる本屋ができていた。こうしたことから、国民生活のオプションが増えており、一年前よりも確実に上向きになっていると思われる。
 ロシアとの関係でひと言記載しておくとすれば、トルクメニスタンは天然ガスのパイプラインをロシア経由で引いていることから、ロシアに牛耳られる部分が大きい。新大統領が就任したことで、いかに独自のイニシアティブをとっていくかが、トルクメニスタンとロシアとの関係(ロシアの力を少しでも緩めて、交渉を有利に進めていくのか)を左右するものであり、今後の動きにさらに注目していきたい。
<タジキスタン>
稲垣 文昭氏
 1998年7月、国連タジキスタン平和監視団政務官として現地で亡くなった秋野豊氏は、学生時代の指導教官であったことで、タジキスタンは思い入れが多く、訪問を躊躇するところもあったが、今回訪れたタジキスタンが非常に平和な国になっていることが実感できた。  現在タジキスタンでは、水力発電でつくった「電力」をどう輸出するかが大切になっており、これがタジキスタンの資源外交といわれる。タジキスタンにとって、水と電気をその精製に大量に利用するアルミニウムが主要な輸出産業で、自動車産業にとってアルミニウムは、環境問題を考えると、軽量化するうえで不可欠な材質ともいわれている。また温暖化の時代において、水力発電は二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーン・エネルギーであるとしてその利便性を訴えている。このように、このアルミニウムと水力発電がタジキスタンの主要産業であることは、環境問題に直面する今日において、同国の特筆すべき特徴であり、経済発展のために適した産業なのではという印象を受けた。ロシアとの関係で重要なことは、ダム建設はタジキスタン独自ではできず、現在のところロシア企業と共同で建設しているが、契約が順調にいかず、現在は工事がストップしている。このようにして、トルクメニスタン同様、タジキスタンもロシアに悩まされている国であり、その代替物が必須となっている。

2007年度 IIST・中央ユーラシア調査会公開シンポジウム、第一セッションの内容


トルクメニスタンロシアの本や文具でいっぱいの商店 Galam

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タジキスタン ノラク水力発電

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担当:総務・企画調査広報部