平成19年度 テーマ型リーダーシッププログラム「産業遺産シンポジウム」【2007/11/27-30】

平成19年度 テーマ型リーダーシッププログラム
「産業遺産シンポジウム」


概要


 近年、日本においても産業遺産の価値を見直し、再評価する動きが高まっており、新しい産業の育成や雇用の創出に有効利用しようと、行政や地域のまちづくり団体が産業遺産を積極的に活用しようとしている。これを受けて、経済産業省は、地域史、産業史を軸とした33の近代化産業遺産ストーリーを取りまとめ、地域経済活性化の有効手段として産業遺産の保存・活用を推進している。
 一方、未だ国内において近代産業遺産の価値が一般に認識されていない、有効な保存方法が確立していない、近代産業遺産を生かす基盤が整っていない等、克服しなければならない課題も依然多い。
 そこで、同事業では、近代産業遺産について先進事例を持つドイツ、フランス、英国より専門家を招聘し、自国の活用事例の紹介を通じて上記課題を克服する示唆を得るほか、産業遺産視察、日本人専門家とのディスカッションを通じて相互交流を図るため、国内産業遺産視察ツアー、ワークショップ、シンポジウムを実施した。

(1)愛知産業遺産視察ツアー
 主催:財団法人貿易研修センター
 後援:経済産業省
(2)富岡地域産業遺産視察ツアー
 主催:財団法人貿易研修センター
(3)産業遺産の保存・活用に関する日欧ワークショップ
 主催:財団法人貿易研修センター
(4)地域活性化のための近代化産業遺産保存・活用シンポジウム
 主催:経済産業省、財団法人貿易研修センター  共催:日本経済新聞社、NHK
 後援:外務省、国土交通省、文化庁、横浜市

場所:
愛知県名古屋市、半田市、安城市(11月27日~28日)
群馬県富岡市(11月29日)
神奈川県横浜市(11月30日)


日程


2007年11月27日(火)~11月30日(金)


被招聘者


4名(詳細は下部を参照)


内容


11月27日(火)~28日(水) 愛知産業遺産視察ツアー
 日本のものづくりに係る代表的産業遺産を視察するため、愛知県とその周辺地域を訪問し、堀川運河・名古屋港クルーズ、ノリタケの森、トヨタ産業技術記念館、博物館酢の里、デンソー高棚製作所を見学した。
 この視察には、日本の産業遺産をアジア諸国に広報することを目的として、在京のアジア外交官も参加した
 欧州の専門家は、愛知県とその周辺の産業遺産群に深い感銘の意を表していたが、特に、トヨタ産業技術記念館は、「過去だけではなく、未来をも展示している他に例のない博物館」であると好評であった。

参加者:
ハンス・コリネット(独:ノルドラインウェストファーレン州建設交通省都市開発局局長)
アンケ・クールマン(独:ブランデンブルク大学特別研究員)
ルイ・ベルジュロン(仏:国立社会科学高等研究院教授)
キース・ファルコナー(英:イングリッシュヘリテッジ産業遺産課長)
在京アジア諸国大使館商務官等 15名(未定)
清水慶一(独立行政法人国立科学博物館産業技術史資料情報センター主幹)
赤崎まき子((株)エイ・ワークス代表取締役/中部大学客員教授)
古屋剛氏(経済産業省地域経済産業グループ統括地域活性化企画官)


1月29日(木)富岡地域産業遺産視察ツアー
 群馬県世界遺産推進室のご協力を得て、伝統的な生糸生産から近代の殖産興業を通じて日本の文明開化の先駆けとなった、絹産業遺産群を視察するため、群馬県富岡地域を訪問。
 絹製品の輸送に重要な役割を果たした、日本で最初の「アプト式」鉄道である碓氷第三橋梁(めがね橋)を見学した後、当時世界最大規模の製糸工場であり、ほぼ完全な形で残っている唯一の我が国官営工場である富岡製糸場を訪問し、「木骨レンガ造り」の繰糸場、繭倉庫、等を見学した。参加者はいずれも、富岡製糸場と絹産業遺産群の建築的価値のみならず、日本の近代化を推進し、絹製品を通じて東西交易を発展させた歴史的価値を十分認識した。
 最後に、国内唯一の組合製糸である碓氷製糸農業協同組合を訪問し、実際に生糸を作っている現場を見学した。参加者は、今も同地区において絹織物業が重要な役割を果たしていることを学んだ。

参加者:
ハンス・コリネット(前述参照)
アンケ・クールマン(前述参照)
ルイ・ベルジュロン(前述参照)
キース・ファルコナー(前述参照)
清水慶一(前述参照)
松浦利隆(群馬県 新政策課 世界遺産推進室長)
山田正和(経済産業省地域経済産業グループ地域経済産業政策課調整二係長) 木島芳顕氏(経済産業省関東経済産業局産業部国際課)


11月30日(金)産業遺産の保存・活用に関する日欧ワークショップ
 貿易研修センターは、欧州と日本の産業遺産専門家が各国の産業遺産活用事例を紹介し、意見交換を行うワークショップを開催した。

座長:
清水慶一氏(独立行政法人国立科学博物館産業技術史資料情報センター主幹)

欧州専門家:
ルイ・ベルジュロン(前述参照)
アンケ・クールマン(前述参照)
キース・ファルコナー(前述参照)
ハンス・コリネット(前述参照)

日本人専門家:
古屋剛(前述参照)
丁野朗(財団法人社会経済生産性本部研究主幹)
赤崎まき子(前述参照)

 欧州専門家からは、産業が衰退した北部ルール地域、エムシュエル地域の再活性化を目的とした「国際ビルディング見本市エムシャー・パーク」、褐炭採掘からリゾート居住地域へ変貌したラウジッツ地方(ドイツ)、広範囲にわたる工業的景観としては最初の世界遺産に登録されたアイアンブリッジ、巨大な倉庫群の再建と再利用の成功事例であるリバプールのアルバート・ドック、スウィンドン地域の活性化をもたらしたグレートウェスタン鉄道工場(英国)、等の示唆にとんだ事例が紹介されたほか、産業遺産を保存する政府の制度的な取り組みや、産業遺産が提供すると思われる主な可能性(経済的効果や都市環境のイメージ改善につながること、等)についても発表された(フランス)。
 一方、日本人専門家は、今回の近代化産業遺産群33のとりまとめの紹介、産業遺産の保存・活用に関する政府の取り組みを発表したほか、近代化産業遺産を地域に生かすうえでの、情報発信の重要性とその事例(WEBコンテンツ「産業遺産ナビゲーター」、「あいちの産業観光」)、また、消費者の価値観の変更に伴う新しい観光産業としての産業遺産観光の重要性と、その事例(群馬県富岡市の富岡製糸場、北海道小樽市の小樽運河、等)が発表された。
 ワークショップを通じて、参加者は、日本の専門家に、産業遺産を保存・活用する上で大変参考になる先進的な示唆を与えたと同時に、日本の産業遺産活用の現状と課題を学び、欧州も日本も産業遺産の保存上、問題となっている点は同じであることを認識した。


11月30日 地域活性化のための近代化産業遺産保存・活用シンポジウム
 経済産業省と貿易研修センターは、横浜市の横浜赤レンガ倉庫で、シンポジウムを開催した。
 第一部では、日本の近代化に重要な役割を果たした産業遺産から全国約450ヶ所、33のストーリーを選んで認定式を行った。認定式では、甘利明経済産業大臣が、各遺産群の代表者に認定証と認定プレートを手渡した。
 第二部の基調講演では、参加者のハンス・コリネット氏が、産業遺産を観光資源にしたルール工業地帯の「エムシャー・パーク」等を紹介した。また、清水慶一氏が、愛知産業遺産視察ツアー、富岡地域産業遺産視察ツアー及びワークショップの成果について報告した。
 パネルディスカッションでは、地域活性化の観点からの産業遺産の保存・活用策について日本の有識者が意見交換をした。


第1部:「地域の活性化に役立つ近代化産業遺産」認定書・プレート授与式
第2部:基調講演・パネルディスカッション

基調講演1「エムシャーパークプロジェクト等ドイツにおける産業遺産活用事例」:ハンス・コリネット
基調講演2「産業遺産の保存・活用に関する日欧ワークショップの成果報告」:清水慶一

パネルディスカッション「地域活性化の観点からの近代化産業遺産の保存・活用」
コーディネーター:西村幸夫(東京大学教授)
パネラー:清水慶一(前述参照)、丁野朗(前述参照)、赤崎まき子(前述参照)、藤ジニー(銀山温泉旅館「藤屋」女将)、幸崎雅弥(古河機械金属株式会社執行役員)

富岡製糸場 視察

富岡製糸場 視察

ワークショップでの意見交換

ワークショップでの意見交換


被招聘者


1. Mr. Hans-Dieter COLLINET (ハンス・コリネット) (Germany)
(ノルドラインウェストファーレン州建設交通省 都市開発局 局長)

2. Dr. Anke KUHRMANN (アンケ・クールマン) (Germany)
(ブランデンブルク大学 特別研究員)

3. Prof. Louis BERGERON (ルイ・ベルジュロン) (France)
(国立社会科学高等研究院 教授)

4. Mr. Keith FALCONER (キース・ファルコナー) (UK)
(イングリッシュ・ヘリテッジ 産業遺産課長)


担当:国際交流部