第93回-2 中央ユーラシア調査会 「新JICAの概要と中央アジアにおけるJICA事業」独立行政法人国際協力機構 東・中央アジア部中央アジア・コーカサス課企画役 浅見 栄次【2008/12/16】

日時:2008年12月16日

第93回-2 中央ユーラシア調査会
「新JICAの概要と中央アジアにおけるJICA事業」


独立行政法人国際協力機構
東・中央アジア部中央アジア・コーカサス課企画役
浅見 栄次

1. ODA改革と新JICAの事業内容:
浅見 栄次     ODAとは、(1)政府ないし政府の実施機関によって供与される、(2)開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としている、(3)供与条件が開発途上国にとって重い負担にならないようになっている(一定の譲許性がある)-という3つの条件を満たすものとされ、二国間援助と多国間援助の大分類から始まり、さらに二国間援助の部分に関しても、無償資金協力、技術協力、有償資金協力という分類がされている。従来JICAは技術協力部分のみを実施してきたが。この3つの協力が、2008年10月から新JICAで一元的に実施されることになった。
 ODA予算を見ると、平成9年度をピークにこの10年間で38%削減されている。しかしながら、予算規模が落ちていても、外交政策としてのODAの重要性は不変であり、その質の向上のために、この10年間、さまざまなODA改革が進められてきた。新JICA再編もその一つである。2008年度のJICA予算規模は、技術協力、有償、無償を含めると、1兆290億円になり、二国間援助機関としては世界最大である。
 JICAは、96の在外事務所を持ち、協力の対象国としては150カ国以上がある。そのほか、国内拠点として17ヵ所があり、2008年10月1日現在の職員数は、役員、常勤職員等を合わせ1664名である。JICAの在外拠点のうち、中央アジア地域についてはキルギス、ウズベキスタン、タジキスタンに事務所を置いている(ただし、タジキスタンは駐在員事務所と呼び位置づけが異なる)。
 JICA業務の概要であるが、まず技術協力に関しては、日本からの専門家派遣、途上国からの研修員受入れ等を通じた事業のほか、協力隊の活動もこの中に含む。2007年度実績によれば、研修員受入れ数は約2万人、専門家派遣数は約5,000人、調査団派遣人員数は約6,000人となっている。JICA実施の技術協力プロジェクト数に関しては88カ国、748件、途上国で行っている調査事業も100件以上に上る。
 続いて有償資金協力であるが、有償資金協力は、一般的に「円借款」と呼ばれ、低金利で返済期間の長いゆるやかな条件(譲許的な条件)で開発途上国に対して開発資金を貸し付ける形態の協力である。発電所の建設や、道路、水道、下水道など大規模なものが多い。有償資金協力の実績を見ると、2007年度には、承諾ベースで9012億円、うち実行された額が、6839億円、残高は11兆5217億円となっている。
 続いて無償資金協力であるが、これも資金協力の一形態であり、途上国の開発に必要な資機材の購入等に必要な資金を供与するといったものである。有償資金協力事業が特に経済性の高いものであるのに対し、無償資金協力事業については、基礎的な生活分野の改善支援が中心となっている。医療、保健衛生、水供給、初等中等教育、農村、農業開発等の基礎生活分野などが多い。例えば道路等に関しても、有償資金協力で幹線道路の整備をするのであれば、無償資金協力では、地方の農村道路等の整備を行うといった分け方がされる。

2. 中央アジアにおけるJICA援助重点分野と事業概要:
 まず中央アジア地域におけるODAの実績だが、2006年度までの累計では、円借款が2165億円、無償資金協力が426億円、技術協力が299億円となっている。
 中央アジアに対するJICA援助重点分野に関しては、「市場経済化の促進」、「インフラの整備」、「社会セクターの再構築」を3本柱としているが、「地域内協力の促進」を新たに援助重点分野に加えている。特に2004年8月に「中央アジア+日本」対話という枠組みが構築され、その中では、地域内協力の促進が重点分野に掲げられている。
 これらに関するJICAの協力方針だが、市場経済化に関しては政府と民間セクターが同時並行的に受益する協力を行う方針。また、市民のエンパワーメントが重要であり、JICAの協力に関しては、公平性、透明性を堅持し、既得権益層にアクセスを持たない一般市民にも裨益するよう、事業の実施面に関して工夫、努力をしている。
 農業・農村・地方開発に関しては、地方農村の所得向上を目指した営農改善、農産品の流通改善、灌漑施設など必要な農業インフラの整備、維持、管理向上をはかる協力を行う方針。
 社会セクターの再構築、インフラ整備に関しては、インフラマネージメント改善も含めたハード、ソフト、両面の同時並行的な協力が重要であるが、加えて住民の意識改革も不可欠。単にインフラ整備、社会サービスの改善を行うのではなく、社会サービスコストに対する適正な料金体制の見直しや、節約といった住民の自力更生意識を促す努力も重要である。

3. 中央アジアにおける主なプロジェクト
 中央アジア各国に対する主なJICA事業だが、有償資金協力に関しては、ウズベキスタンの鉄道案件(タシグザール・クムグルガン鉄道)、タシュケント火力発電の近代化事業(準備中)が実施中案件である。
 無償資金協力に関しては、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンで様々なものが行われており、ウズベキスタンの医療機材整備、タジキスタンでのアフガニスタン国境沿いから延びる道路の整備事業、キルギスでの橋梁架け替えなどが実施中案件。また、過去にも道路維持管理機材、放送機材の整備など様々な分野で協力を実施している。
 技術協力に関しては、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンに設置している日本センターが看板事業といえる。日本センターでは、現地の起業家人材育成のためのビジネス・コース、日本語教育、さらに相互理解促進と称して文化交流的な事業も実施している。
 その他も、カザフスタンにおいてはアスタナで新首都開発計画マスター・プラン策定支援、セミパラチンスク地域医療改善計画、ウズベキスタンのアラル海沿岸・カラカルパクスタン地域における地域開発調査、キルギスのイシククル湖の総合開発計画策定調査など、さまざまな事業を展開している。

(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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Keirinこの事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。



担当:総務・企画調査広報部