平成21年度 第3回 アジア研究会 ●発表1「物流からみたメコン圏のビジネス展開について」山九株式会社 ロジスティクス・ソリューション事業本部営業部 海外営業グループ マネージャー 福田 規保、●報告2「ラオス・カンボジアの投資動向」山口大学大学院 技術経営研究科 准教授 廣畑 伸雄【2009/10/20】

日時:2009年10月20日

テーマ「メコン経済圏におけるビジネス展開の可能性」

平成21年度 第3回 アジア研究会
発表1「物流からみたメコン圏のビジネス展開について」


山九株式会社 ロジスティクス・ソリューション事業本部営業部 海外営業グループ マネージャー
福田 規保

福田 規保 当社をご存知の方は港湾物流を主とした総合物流企業というイメージも強いと思うが、他に小口の国際宅配便など広く活動している。日本のほか海外では、中国、東南アジア、北米、南米、ヨーロッパなどに進出しており、特に中国・東南アジアに拠点が多く力を入れてきた。 
 メコン地域ではタイ、ベトナム間における東西回廊を走る陸路輸送事業、中国、ベトナム間の陸路輸送事業を2008年5月より開始したところだ。以前よりタイ・ラオス間、タイ・マレーシア間、マレーシア・シンガポール間の事業輸送を行ってきているので、結果的に中国からシンガポールまでの陸路による物流線を成立させたことになる。メコン圏で言えば、これまで1国1物流制度で成り立ってきたが、ここ近年で国境を越える物流に変りつつある。タイ、ベトナム間の物流事業を成立させたのもその一例だ。
 昨今いわれている東西回廊での輸送で言えば、2004年にラオスが外国貨物の通過に関し、関税を払わずに外国貨物が通過できるという制度を認め、そこで私たちは2006年に第2メコン橋が完成する時期に合わせ、運行事業化を考え、翌年にはトライアル輸送を開始、08年より商業運行開始に至った。輸送実験開始当初からバンコク、ハノイ間の輸送が3日間で可能なことが実証でき、海上輸送と比較した輸送日数短縮のメリット性は一目瞭然だ。本ルートにおける輸送事業は、先駆的に運行事業を開始したこともありより太くしていく考えだ。  
 一方、中国・広州-ハノイ間についても、陸上による国際物流を2008年より開始した。ここは2日間で運行が可能なので、中国プラス1という意味でベトナムへ出て行かれた工場も多く、当社の陸路による輸送も日増しに増えている。ここメコン地域を国際陸路物流という視点からみると、国境を越える際の通関手続きに時間を要さない短縮化と定時性が、国際陸上物流が成立する条件となる。これは国境通過の不定時性が運行の不定時性につながり、運行コストの不安定性につながる。当社はタイ、ミャンマー間の輸送実験も行ってきており、当メコン地域において引き続き物流線をさらに面へと広げたいと考えている。
 さらにミャンマーでいうと西側にインドと接しておりインドへの陸送までもが視野に入る。
 ベトナム、カンボジア、タイ間を走る約1,000kmの第2東西回廊について触れると、ここにきてインフラの整備がほぼ整い、2010年にはメコン川に橋も完成する。カンボジアにおいても制度緩和も進みだし、事業運行の検討をおこなっているところだ。このルートでいえば、例えば実際陸上輸送が行われている、広州・ハノイ間の陸送距離2,000km、ハノイ・バンコク間の1,500km、ハノイ・ホーチミン間の1,800kmのいずれより短いというメリット性を国際陸上輸送に活かしたい。
 メコン地域での国境通過において「シングルウインドウ・ワンストップ」という2カ国においての輸出入通関・検査を一つの窓口で完結させるという実験もおこなわれているが、実のところ、輸出入申告書の英文による共通言語等、課題もありあまり進んでない。
 とはいえこれまで、一国一物流制度に捉われてきた陸路物流が、国境を越えることすら困難であった1990年代に比べ、タイ・ラオスを隔てたメコン川に架けられた第二メコン国際橋の完成をきっかけとしたハードとソフトインフラの進展は、メコン地域における物流地図を変えつつある。

報告2「ラオス・カンボジアの投資動向」


山口大学大学院 技術経営研究科 准教授
廣畑 伸雄

廣畑 伸雄 ラオスについては、業種別で電力というのは当然だが、その他に鉱工業、農業が増加している。それからホテル、サービスも堅調、という状況にある。国別ではタイに加え、中国、韓国、ベトナムが増加、また、日本からの投資も継続しており、バラエティに富んできた。
 タイについては、繊維縫製業の企業が100社ほど出ており、これらは欧州のマーケットをターゲットにしている。そして最近目立つものとして、天然ゴムがある。タイの企業が植林を進めている。また中国もたくさん天然ゴムを植えているが、これらは小規模のものが多く、効率の良いものではない。
 中国からの投資は農業関係が目立ち、多いのはキャツサバ等だが、最近は価格が下がっているようだ。また、オーストラリア企業が金鉱山を開発し、そこでたくさんの銅が採れて、ラオスが貿易黒字になったのだが、この企業を中国企業が買収したとのことだ。さらに都市開発ということで、ビエンチャン市郊外を開発することになっている。中国は農業、鉱工業、都市開発で相当進出してきている。
 一方、日本企業について見ると、最近は増設・増産が前提であり、垂直分業や水平分業、コスト低減のために工場を分けたという動機は少ない。単に生産コストが上がってきたからといって、「では水平分業、垂直分業しよう」という話には、なかなかなっていない。これは、大型の投資が必要になるためだ。そういう意味でやはり、増設拠点として選ぶ、あるいは、アジアの新しい拠点として選ぶという方が最近は多いと思う。
 一方、カンボジアについては、農業、工業、不動産が増加している。国別ではASEANは堅調で、目立つのはやはり中国、韓国、ベトナムだ。ベトナムはラオスにも進出しているが、やはり越僑の方々、農業関係などが多いかと思う。韓国は不動産、ビルを建てている。景気が悪く、昨年は一旦ストップしていたが、また最近戻ってきているようだ。そして資源関連では、ロシアやカザフスタンからも投資がなされている。トピックス的な話としては、繊維縫製と革靴の話は前々からあるが、あとは天然ゴムがある。繊維縫製業については、多国間繊維協定が終了したため自由競争で厳しくなっているが、ナイキやGAPなどが引き続き生産を委託してくれているので、良い企業は伸びている。
 日本企業の進出はなかなか進んでいなかったが、資源、農産品の開発輸入、靴・繊維縫製、銀行等のサービス業など、広く薄く進出が始まっている。
 カンボジアとラオス、そしてミャンマーも基本的には同じと思うが、今後どうしたらよいかという話では、労働集約的輸出型産業を維持していく必要があり、それがなければ産業がなくなってしまう。そして水平、垂直分業に限らず、増設・増産する企業を誘致することが重要かと思う。あとは資源、農林水産業、観光開発・国境開発があり、また裾野産業の育成も重要だ。ベトナムでは日本企業が部品調達に苦労しているという話なので、少し先の話になるだろうが、この辺りが重要な課題になってくると思う。
(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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担当:総務・企画調査広報部