第35回 IISTアジア講演会 「カンボジアの経済動向と今後」フンセン首相特別経済顧問・カンボジア上院議員 リ・ヨンパット(H.E. Oknha Ly Yong Phat)【2009/10/05】

講演日時:2009年10月5日

第35回 IISTアジア講演会
「カンボジアの経済動向と今後」


フンセン首相特別経済顧問・カンボジア上院議員
リ・ヨンパット(H.E. Oknha Ly Yong Phat)

リ・ヨンパットカンボジア政府 経済財務省副大臣  ソー・ビクター氏(Mr. SO VICTOR)
 カンボジアでは約30年にわたる内戦があり、内戦が終結した1999年は「カンボジアのゼロの年」と呼ばれる。1979~1989年の約10年間、カンボジアは社会主義で、計画経済を取り入れた。そして1990年から現在に至っては、自由経済ということで自由市場を取り入れ、さまざまな分野が発展してきた。国内の社会基盤については、ゼロの年から現在までに幹線道路や橋、水道、電力がほぼ全国的に普及した。これまで日本政府に多大なご支援をいただいたおかげで、社会基盤が整備された。またその手助けとなったのはリ・ヨンパットという会社で、BOT方式などを採用し、橋、道路の建設にも力を入れてきた。
 カンボジアは多くの人材を有する国だ。2008年の統計を見ると、カンボジアの人口では20~35歳までが約25%を占めており、これは約300万人の国民ということになる。そして20~50歳の人口は、約500万人いる。カンボジアでは現在、2つの通貨が使われている。1つはわが国自体の通貨だが、アメリカのドルも通用する。わが国のような小さな国、まだあまり経済発展してない国では、ドルを流通させることによって経済が安定する。ただ将来的には、カンボジアの国立銀行はドルの流通を若干制限し、国内でカンボジアの通貨、リエルをより流通させようと考えているようだ。
 カンボジアの国内総生産(GDP)の伸びは年9.7%程度で、これは1997~2007年の平均の数字だ。周辺国と比較しても経済は非常に発展しており、近い将来、2桁の数字に手が届くだろう。ご承知のとおり、2008年には世界的な金融危機が起こり、カンボジアも影響を受けた。ただカンボジアの場合、経済規模がまだ小さいので、影響は非常に小さく、2008年のGDPの伸びは6.8%だった。2009年に関しては、まだ予測段階だが、1~2%程度の成長率になる見込みだ。
 カンボジアの産業で最も重要なのは農業分野で、2007年にはGDPに占める比率が29.6%だった。工業では縫製産業、靴の製造が主な分野になっており、サービス産業では観光が主だ。これらの分野については昨年や今年も若干だが、成長を続けている。

リ・ヨンパット・グループ取締役 セン・ニャック氏(Mr. Seng Nhak)
 リ・ヨンパット・グループが活動するエリアは、コッコン、ウドンメンチェイ、コンポンチャム、プノンペンの4カ所だ。プノンペンにはプノンペン・ホテルがあり、これは1995年に設立された。4つ星ホテルだが、規模はプノンペンで最大だ。電力に関してはプノンペン市内で、45MWの発電所があるほか、レッドブルという飲料水の販売権も持っている。開催風景さらに韓国ヒュンダイの自動車を販売するディーラーとして、2008年にプロジェクトがつくられた。ウドンメンチェイにも、ホテルを2000年に建設している。ここでは他に、タイから電力を買って地域住民に供給したり、浄水、飲み水を供給している。そしてコンポンチャム州には、カンボジア最大のゴムのプランテーションがあり、約1万7720ヘクタールの規模だ。この会社はISOの認証も受けている。またコンポンチャム州からベトナムのティンニンまで、その電力を供給するため、電線を敷いている。
 コッコンにも1997年に5つ星のホテルをつくっており、約545の部屋がある。そしてタイから電気、水道を買い、約3824世帯が恩恵を受けている。この他、コッコン橋、動物園などにもグループは活動を広げている。そしてここには経済特区があり、サトウキビのプランテーションも存在する。この経済特区は約336ヘクタールの規模で、現在ここにヒュンダイの販売、組み立ての権利をもっている。ここでは橋や道路、電気、水道などの社会基盤が完備されている。したがって、ここではすぐに投資を始められる。ここで投資をすれば、さまざまな政府の優遇措置も受けられる。
 コッコンにおけるわれわれの経済活動、開発は、何もないところから始まった。したがってここでは道路、橋、水道、ホテル、市場などが、われわれのグループによってつくられたといっても過言ではない。その活動を通じ、政府から信頼された。将来的なプロジェクトとして、港や経済特区の拡充、副都心の建設などについても、政府から多大な信頼を得ている。

リ・ヨンパット閣下
 グループは近い将来、経済特区をつくることを計画している。その地域の名前は、キリサコという。ここには約2200ヘクタールの土地があり、政府から経済特区の開発について認可をいただいた。また隣接する土地が約1万ヘクタールあり、それを国から払い下げる形で今申請しているところだ。ここでは、芋など植え、将来、生産、輸出をしようと考えている。
 カンボジアには現在、港が2カ所しかなく、1つはプノンペン、もう1つはシアヌークビルだ。しかしプノンペン港に入るには、ベトナムを通らなくてはならず、また川の水深が浅いため2000トン以上の船は入れない。したがって唯一使えるのは、シアヌークビルの港だ。ただここも水深は10メートル程度しかない。カンボジア政府は現在、ローンで港の拡大を行っている。そこで考え出したのは、このキリサコに港をつくろうということだ。それも民間の手でつくろうと考えている。ここは水深が12メートルあるほか、電力関係で投資をしようとする会社もあり、電気も水道は十分供給される。
 経済特区は国からさまざまな許可を得ているため、ここでは法律上の問題は発生しない。またここで投資をすれば、さまざまな政府の優遇措置も受けられ、そこで得た利益は無条件で本国へ送金できる。さらにもう1つ、プノンペンの副都心の構想があり、われわれのグループもそれを実現しようとしている。ここはさまざまな幹線道路とつながっており、利便性がよい。

 さらに今、約1500メートルの橋をBOT方式で建設しており、また約7200メートルの道路もつくることになっている。それが2010年7月に完成する予定だ。そして約1000ヘクタールの土地も独自に所有しているので、今後何らかの形で開発していきたい。例えば観光バスが中継でき、観光客が移動できるような場所をつくりたい。また生産品の倉庫、卸売市場など、さまざまな経済活動のために開発しようと考えている。

(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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担当:総務・企画調査広報部