平成22年度 第4回 アジア研究会 ●報告1「中国ビジネス最前線 - コマツの取り組み」コマツ 専務執行役員 中国総代表 [小松(中国)投資有限公司 董事長] 茅田 泰三【2010/10/25】

日時:2010年10月25日

テーマ「東アジア経済統合、周辺国の経済深化」

平成22年度 第4回 アジア研究会
報告1「中国ビジネス最前線 - コマツの取り組み」


コマツ 専務執行役員 中国総代表 [小松(中国)投資有限公司 董事長]
茅田 泰三

1. コマツの実績と中国の建機市場
茅田 泰三 コマツの2010年3月期の実績では、建設機械が大半を占め、1割強を産業機械が占めている。現在、4万人弱の従業員がおり、日本人と外国人が半々程度だ。業績のピークは2007年度で2兆数千億円にまでなったが、現在は1兆2000億円程度だ。これにはリーマン・ショックの影響が大きい。しかし、今年は1兆7000億円程度になるとみている。需要は現在、欧米では落ちてきているが、中南米、中近東、アフリカを含む世界の多くの地域でバランス良くやっている。中国では1994年から直接投資を行い、生産を始めた。リーマン・ショック後も中国だけは需要が落ちず、今後も急拡大していくとみられる。
 中国の建機市場では、今年の目標を達成すれば、2002年以降、約6倍の伸びになる。中国での事業性は連結で世界一になっている。我々は1956年から中国とお付き合いしており、来年は55周年だ。そして中国が世界貿易機関(WTO)に加盟したことから、2001年に小松中国をつくった。中国では1省1代理店で、現在32社になっており、これらはすべて地場資本による。現在、代理店では約6000人、生産部門他では約4000人が働いているので、全体では約1万人となる。
 中国では、ホイルローダという機械が非常に多く出ている。またこの10数年で、エクスカベータ(油圧ショベル、HE)も急激に増えてきた。我々は中国の地域を6つに区分しており、当初は沿岸地帯から建機が売れ始め、需要の構成では華東が過半数を占めていた。しかし、中国政府はこの10年間、西部大開発などによって投資を少しずつ西で増やしていっている。したがって建機の需要にも、影響が顕著に出ている。また2009年には4兆元の景気対策が打ち出され、昨年5、6月から明らかに効果が見えてきた。これについては今年12月まで、それなりに効果があるとみている。
 中国では元々、外資が油圧ショベルの需要を独占していた。当時は中国企業がなかったのだが、この10年間で国産が出始め、今では30%程度を占めている。三一という中国メーカーは、ローカルメーカーを入れたシェアで7%程度を獲得している。ただ建設機械の油圧ショベルはエンジン、油圧機器の固まりで、中国は油圧機器を国産化できていない。
 コマツの特徴は1省1代理店ということで、これによって代理店の責任が明確化され、ロイヤリティーが向上する。また我々はKOMTRAX(Komatsu Machine Tracking System、機械稼働管理システム)というシステムを使い、リテールのファイナンスを行っている。これは2004年から稼動し始め、すべての建機に標準装着している。中国ではKOMTRAXのついた製品が、既に7万台近く稼動している。KOMTRAXではそれぞれの建機の位置情報や稼動情報が得て管理できるほか、盗難防止などにも役立っている。また我々が最も重宝しているのは、需要を予測して生産計画に利用すること、そして債権管理への活用だ。

2. 中国の都市化と建機市場への影響
 中国の都市化とインフラ建設、国づくり、街づくりは、我々のビジネスと密接に関係する。建機への影響から見ると、西部大開発も含め、新しい需要が創出されてゆく。インフラは上海や北京のような大都市周辺だけでなく、中都市や小都市でも整備しなければならない。また中国では現在、地下鉄を建設しており、我々はシールド・マシンを持っているため、その販売が大変増えている。建機需要のピークは、2020~25年ごろと予想される。中国は高速道路や高速鉄道によって基本的に国全体をつなぐとしており、これを2020年に完成させるという。したがって、大きなプロジェクトは今後10年ほどで完成するはずだ。つまり、2025年ごろまで大規模なインフラの建設が行われ、国づくりがされるのではないか。そして、建機のピークはそれよりも早く来る。
 一方、都市化あるいは4兆元の景気刺激策に関しては、大都市のプロジェクトの必要性は高く、採算も悪くないが、地方ではかなりのリスクもあるとみられる。2008年のリーマン・ショック後の同年12月までに、中国では投融資を行う「プラットフォーム」が8000社になったという。しかし問題は採算などで、一部は盲目的な投資をしているといわれる。こういったリスクについては、政府の関係者らも認識している。

3. 現下の課題とコマツの取り組み
 2010~12年度のコマツの中期計画は、(1)ブランドマネジメント活動の推進、(2)戦略市場でのTQM(total quality management)活動、(3)製品・部品のIT化の進化、(4)環境対応・安全性向上の商品開発、(5)戦略市場での販売・サービス体制拡充、(6)現場力の強化による継続的改善の推進-という6つの項目に分けられている。その狙いは、人材育成や商品の付加価値向上、地球環境への対応、現場での体制強化、あるいはそれを永続的に発展させるにはどうすれば良いか、といったことだ。
 中国では現地の人を社長にする経営の現地化と言っても、そう簡単ではない。しかし、我々は特にトップに関しては、安定期に入れば現地人にし、日本人はナンバー2にすることにしている。そこに至るまでは日本人がトップだが、現在はそうなりつつあり、現地の人を早く育てていきたい。これは経営の現地化で、リスクを軽減するためにも大変重要だ。
 現在、建設中の施設に「テクノセンタ」があり、私はいずれ、この名前を変え「コマツ中国総合研修所」としたいと考えている。ここでは技術トレーニングのほか、社員教育や幹部教育も徹底的に行う。そして顧客に来てもらい、実機のデモもする。さらに技術サービスのトレーニングも行う予定で、非常に多くの人がこれを受けることになる。また、コマツでは「社会貢献基金」も行っている。会社が資金を大半出しているが、残りはほぼ全従業員が出すことにより、意識を高めてもらう。この基金で小学校を建設したほか、四川省の震災復興支援や植林も行ってきた。全員参加型というのは、外資でもあまりないそうだ。

(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

Keirinこの事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

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担当:総務・企画調査広報部