第105回-1 中央ユーラシア調査会 「最近の対中央アジア外交 – 岡田外務大臣による中央アジア訪問と「中央アジア+日本」対話 第3回外相会合開催 -」外務省 中央アジア・コーカサス室長 北川 克郎【2010/09/15】

日時:2010年9月15日

第105回-1 中央ユーラシア調査会
「最近の対中央アジア外交 - 岡田外務大臣による中央アジア訪問と「中央アジア+日本」対話 第3回外相会合開催 -」


外務省 中央アジア・コーカサス室長
北川 克郎

1. 「中央アジア+日本」対話のこれまでの経緯
北川 克郎     8月7日を中心に1週間ほど、岡田克也外務大臣が中央アジアを訪問し、ウズベキスタンで開かれた「中央アジア+日本」対話の第3回外相会合に出席した。「中央アジア+日本」対話は6年前、川口順子外務大臣のときに発足した。中央アジアの国々は1991年に独立し、日本は様々な形で支援してきた。ただ各国に対して二国間で協力を行うには限界があり、また中央アジアの5つの国々には共通項がかなりあるため、これらの国々が共に発展する、あるいは一つの経済圏として成長していけるよう、日本が大きな役割を果たせないものかという考えから始まった。 2004年にはカザフスタンで第1回会合が、2006年には東京で第2回会合が開かれた。その後も2年に1度程度、開催するつもりで準備をしていたが、しばらく会議が成立せず、今回ようやく成立に至った。日本では昨年秋に、自民党政権から民主党政権に代わったが、民主党政権においても中央アジアと日本の良好な関係のため、この枠組みを継続、発展させ、積極的に取り組んでいくことが重要だと認識していただいた。

2. 第3回外相会合での議論と成果
 今回の会合での議題は主に2つに分けられ、前半は政治、安全保障、後半は経済および経済協力について議論した。政治、安全保障問題については、隣国も含めてという趣旨で議題設定をした。特にある国は、「中央アジアの平和と安定は隣国であるアフガニスタンの平和と安定と不可分であり、アフガニスタン問題をどのように解決していくかが重要だ」と強調していた。同様に、ほぼすべての国がアフガニスタン問題に触れ、さらにキルギス問題にも触れていた。キルギスについては、どの国も「安定を支援していく」ということだった。またウズベキスタンが非常に冷静な対応をしたことに感謝し、評価するといった発言もなされた。もう一つはカザフスタンの対応に対する評価で、欧州安全保障協力機構(OSCE)の議長国としてスムーズに効果的な協力がなされたとの声があった。
 もう一つの議題は経済、経済協力問題で、政治、安全保障と比べると、各国の観点が異なる。ある国は例えば、「中央アジアが世界経済危機、金融危機の影響を受けているが、それによる打撃を乗り越えるために日本をビジネス・モデルにして発展すべきだ」、「日本から学ぶことは多いのではないか」と言っていた。 このようなフレーズは、これまであまり聞かれなかったものだ。さらに環境問題も議題に入れており、地域の環境問題としてはやはり、アラル海の問題が重視されていた。そしてシルダリア川、アムダリア川のような河川の流域、水管理の問題、いかに調和のとれた水資源管理政策をすることが必要かといった発言が各国からなされた。水とエネルギーの問題は、中央アジアの国々では若干タブー視されているところがある。しかし我々が心配していたにもかかわらず、これらについては非常にオープンな形で発言があった。これはある意味で、まだ解決への道がある、当事者間にその意志があるということかと感じだ。
 経済面では中央アジアやアフガニスタンの発展のため、アフガニスタンから南のインド洋、ペルシャ湾へ至る輸送路の幹線整備が重要だという意見が複数の国からあった。また、まだまだ観光客が少なく、観光資源の活用でも協力を深めていきたいという意見も出た。このような議論があった上で、最後に成果文書を取りまとめ、採択して会議が終了した。今回の成果文書では、「中央アジア+日本」という枠組みのモメンタムをいかに維持するか、どのように今後につなげていくかというのが一つの大きな目的だった。
 経済分野について日本から発言したのは、中央アジア地域発展のため、あるいは中央アジアと日本との経済関係を強化するために、法的環境、投資協定や投資条約などの整備を支援するということだ。またビジネス・マッチングを支援するため、「中央アジア+日本」の経済フォーラムを開催したいと表明し、これは成果文書にも入った。また、次回会合を2年後に日本で開催することが決まった。 さらにその間の年、すなわち1年後である来年に、高級事務レベル会議を日本で開くことも決めている。このほか成果文書の一つとして、行動計画に対する各国の進捗状況に関する報告書もある。

3. 岡田外務大臣と中央アジア各国との二国間会談
 岡田大臣はマルチの会議に出席するだけでなく、この機会にカザフスタンも訪問し、ウズベキスタン、カザフスタンの両国で大統領や外相らと会談を行った。ウズベキスタンのカリモフ大統領との会談は、例外的に週末に行われ、極めて長時間の対応をしてもらった。カリモフ大統領は、世界のリーダーに自分の経験や考え方を伝達するかのような雰囲気で話をしていた。特定の分野に限らず、アフガニスタン情勢やキルギス問題、そしてロシア、アメリカの問題、日本との関係、あるいは最近のアメリカ文化に至るまで、自らの考えを述べた。
 カザフスタンにおいてはナザルバエフ大統領との間で約30分間の会談を行った。カザフスタンはOSCEの議長国でもあり、経済的にも伸びている。したがって、世界の大きな課題について日本と協力していきたいとの視点だった。もちろん日本がこれまでカザフスタンや中央アジアの発展のためにしてきた貢献、努力についても高く評価しているが、それを超えて今後も協力的にやっていこうという発想である。さらにウズベキスタンでのマルチの会議の合間には、タジキスタン、キルギスとも二国間外相会談を行った。 
 トルクメニスタンも実は、今回の会議に関して消極的ではなかったが、最終的には現地大使の対応になってしまい、残念だった。トルクメニスタンは外務省の職員が非常に少なく、いたしかたなかったのかと思う。そのような中でも、現地の大使は会議に参加してしっかり発言し、記者会見にも同席していた。これまでに比べれば大幅な前進で、今後の会議では、より本格的な形で関わってくれるのではないかと期待している。

(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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担当:総務・企画調査広報部