第106回-1 中央ユーラシア調査会 「最近のウズベキスタン情勢」前ウズベキスタン特命全権大使 平岡 邁【2010/10/27】

日時:2010年10月27日

第106回-1 中央ユーラシア調査会
「最近のウズベキスタン情勢」


前ウズベキスタン特命全権大使
平岡 邁

平岡 邁     2007年から3年間、ウズベキスタン特命全権大使を勤めたが、この間のウズベキスタンの変化として、アンディジャン事件を契機とした反西欧的な傾向が親欧米に傾斜したこと、経済の着実な進展、英語を話す人が増えてきたこと、この3点が特に印象深い。
 2007年12月には大統領選挙がありカリモフ大統領が再選され、2009年末には上下院議会の選挙があり、政治的には安定している。大統領個人の指導力も非常に強いが、国家としての統治機構がしっかり確立している印象を受けた。今後政治的な不安定材料として、現在72歳の大統領の高齢問題があるが、統治機構がしっかりしているので、体制内の交代になり大事には発展しないのではないか。
 経済は漸進主義をとっている。2009年の世界経済危機では8.1%の成長を達成して抗堪性のある経済を構築していることを立証した。ナボイ経済特区等の整備も淡々と進み、急激ではないが着実な前進が見られる。前進の大きな要因としては、主要輸出産品のガス価格がこの数年で約3倍になったこと、綿花市況がよかったこと、金価格も上昇しウラン価格も上昇していることなどがある。ただし、未だ大企業の多くが国営であり、金融分野でも対外経済銀行やアサカ銀行といった国営企業が総資産の5割近くを占めている。経済成長のためには、銀行や金融の健全化が急務であるが、国営銀行ということは、取付、倒産がおきない、つまり破綻がないわけで、いつまでも経済成長を続けられる状況にある。今後は、独立直後に海外に留学し市場経済に慣れた人々が、指導的な立場についた場合、市場経済化に大きく舵が取られる可能性もある。ただ、自由化によって急激に経済成長をした場合、貧富の差が拡大して社会不満が増大しないか、これをうまくコントロールできるかがひとつの課題になるであろう。さらに長期的な問題として人口ピラミッドの構造があり、人口の半分以上が25歳以下で、教育と十分な職を与えることが重要な課題であり、今後の経済成長が急務である。
 ビジネス環境としては、通貨兌換の困難性、銀行からの現地通貨引出の制限、輸出時の外貨売上の50%強制買い上げ、制定法と実際上の法運用との乖離、煩雑な行政手続、統計の公開性等があり、まだ完全といえない面がある。
 また、国のあり方としては、かつては共産主義がモラルの中心であったが、今後宗教以外のなにをもって国民のモラルとなる価値体系を形成していくかという問題がある。
 ウズベキスタンの外交活動は、非同盟外交が建前である。最近の西側への接近もこの原則に則っていると思われる。我が国は、2004年「中央アジア+日本」対話という枠組みを立ち上げ、地域内協力の推進を支援している。また、2002年にカリモフ大統領が訪日した際には、戦略的パートナーシップに合意し、2006年に小泉総理がタシケントを訪問してこれを確認している。
 今後、日本とウズベキスタンの協力関係が強化され、両国関係がますます進展することが我が国、ウズベキスタン、地域全体にとって資するものと確信している。

(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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担当:総務・企画調査広報部