第106回-2 中央ユーラシア調査会 「最近のカザフスタン情勢」前カザフスタン特命全権大使 夏井 重雄【2010/10/27】

日時:2010年10月27日

第106回-2 中央ユーラシア調査会
「最近のカザフスタン情勢」


前カザフスタン特命全権大使
夏井 重雄

夏井 重雄     カザフスタンはユーラシア大陸の東西を日本の7倍の面積で結ぶ回廊であり、地政学的にも北にロシア、東に中国、南は中央アジア、アフガニスタン、西にはカスピ海があり、その下は中近東の世界に通じている非常に大事な地域である。
 現在、カザフスタンはOSCEの議長国であるが、議長国になるということ自体、旧ソ連圏で初めてのことであり、カザフスタンのユーラシア的な感覚がどのようにOSCEの動向に影響するかが注目される。
 また大変資源が豊かなところであり、ロシア同様、「メンデレーエフの周期律表のすべての元素がある」という言い方をよくされる。この資源を基盤に経済がますます発展し、経済力がついてGDPも相当な数字に上がっている。
 ナザルバエフ大統領の政治的なリーダーシップは非常に強く、大統領を中心とした政治は非常に安定している。このことが現在および今後の経済力の発展を支えている。国民は、経済力も中央アジア随一となり生活が徐々に豊かになっていることを実感している。ただし旧ソ連圏に共通していることであるが、住宅、医療、教育は遅れている面がみられ、それに対する不満はもちろんある。ナザルバエフ大統領は、「独裁」ということではなく、権威主義的なスタイルであり、旧ソ連圏には往々にしてみられるものである。現在70歳であるが健康上の問題はみられない。
 今後の経済の課題としては、エネルギーや資源偏重経済からの脱却がある。産業イノベーション化を目指し、「国家産業イノベーション発展プログラム」を打ち出し、連日この言葉が氾濫している状況である。発展の制約要因のひとつとしては、広大な地域に人口が1560万人しかおらず、その中を結ぶ輸送インフラを含めてインフラがあまり進んでいないことがある。またソフトの問題として教育や言葉の問題もある。
 日本とカザフスタンの経済関係では法的な基盤整備ができている。政治関係では、「中央アジア+日本」の第1回会議がアスタナで行われたという歴史がある。カザフスタンが日本を評価している点は、経済協力とセミパラチンスク支援の二点であり、これらに対する感謝の気持ちは強く、二国間関係の信頼関係の基盤となっている。今後、単に経済に特化するのではなく、より双方向の交流がなされ、包括的な関係を広げることで信頼関係が強まれば、経済的な互恵関係も安定した基盤に乗るのではないか。カザフスタンは日本に対して文化・教育交流に大きな関心を持っている。ただし、カザフスタンに対する、日本の関心が弱く、今後それをどうするかがひとつの大きな課題ではないかと思う。

(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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担当:総務・企画調査広報部