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激変するミャンマー最大都市ヤンゴン 日中でも渋滞、携帯電話急速に普及 時事通信社 時事総合研究所 客員研究員 山川 裕隆【配信日:2016/04/28 No.0254-1006】

配信日:2016年4月28日

激変するミャンマー最大都市ヤンゴン
日中でも渋滞、携帯電話急速に普及

時事通信社 時事総合研究所 客員研究員
山川 裕隆


 ミャンマーの最大都市ヤンゴンは自動車が急増し、日中でも渋滞。携帯電話は急速に普及し、小売や外食の店舗も増え続けており、街は急速に変化している。


 「アジア最後のフロンティア」として注目を集めているミャンマーで2016年3月30日、国民民主連盟(NLD)党首のアウン・サン・スー・チー氏が主導する文民政権が半世紀ぶりで発足した。筆者は同政権が発足する約1カ月前に同国を訪れた。今回の訪問は2011年に軍事政権から民政に移管後、2012年、13年に続き3回目だった。最大都市ヤンゴンは自動車が急増し、日中でも渋滞していた。また、街のあちこちで、若者がスマートフォン(スマホ)をしており、同国の携帯電話の普及率は約65%まで急上昇している。ヤンゴンの急変ぶりをお伝えする。

◇自動車登録台数、5年前の2倍に
 前回ヤンゴンを訪問した時は、渋滞は朝夕の通勤時間帯だけだったが、今回はその時間帯以外でも渋滞していた。日中でも渋滞しているのは急速に自動車が増えたからだ。2015年のミャンマーの自動車(乗用車とトラック)登録台数は約71万台で、2011年の2倍に増加した。また、日本からミャンマーへの2014年の中古車輸出台数は16万台超に上り、輸出相手国として同国がロシアを抜いて初めてトップとなった。
 ヤンゴンの街を走っている自動車の9割以上は日本車で、トヨタ自動車の車が圧倒的に多い。新車はまだ少なく、大部分は中古車だ。前回訪れた時は、かなり年数のたった中古車が多かったが、今回は比較的新しい中古車が増えていた。トヨタの「レクサス」や独ベンツ車など高級車も走っており、富裕層が徐々に増加しているようだ。
 自動車販売店も着実に増えている。ヤンゴン市内にはトヨタやスズキ、マツダ、三菱自動車など日本車を扱っている販売店やベンツ、BMW、フォード・モーターなど欧米メーカーの販売店もあった。日本の販売店と変わらないような立派な店もオープンしていた。

日中でも渋滞しているヤンゴン市内

日中でも渋滞しているヤンゴン市内

◇路面電車まで登場
 また、ヤンゴンではタクシーも急増している。ほとんどがトヨタ車だ。前回はヤンゴンの街でタクシーを拾うのに苦労したが、タクシーが増えたため、今回は簡単に拾えた。ヤンゴン市内では路面電車まで走っていた。ミャンマー初の電車で、2016年1月から運転を開始した。この電車は広島電鉄が使用していた中古車両だ。区間は約6キロ(所要時間は約20分)で、料金は100チャット(日本円で約10円)。ヤンゴン市内の環状鉄道と路面電車の線路の接続計画があり、2016年中にも開通するという。
 前回はヤンゴン市内で、立体交差点は見かけなかったが、現在は5カ所を超えており、さらに数カ所建設している。信号機や高架橋も前回訪問した時に比べて増加した。

ヤンゴン市内を走る路面電車

ヤンゴン市内を走る路面電車

◇安いスマホは4000円
 ヤンゴン市内のあちこちでスマホをしている若者の姿が見られた。携帯ショップをのぞいてみたが、安いスマホは約4000円だ。それらは中国製だ。韓国のサムスン電子のスマホは1万円以上で、中国製よりは高い。ミャンマーのワーカーの平均賃金は月額約1万円だ。中国製のスマホだと、月額賃金の半分以下なので買えるわけだ。中国製の従来型携帯電話は約2000円で、スマホの半分の価格だ。
 同国の携帯電話普及率は5年前、2・3%だったが、現在では約65%まで急増した。こんなに増えたのは、(1)安い携帯電話がショップで販売されている(2)携帯電話事業会社が街のあちこちに看板を掲げて、PR合戦を繰り広げているーためだ。

ヤンゴン市内の携帯電話販売店

ヤンゴン市内の携帯電話販売店

◇ネット環境大幅改善
 ミャンマーで携帯電話事業を行っているのはKDDIと住友商事がミャンマー郵電公社と共同で携帯電話サービスを行っている「MPT」、ノルウェーの携帯電話大手「テレノール」、カタールの通信会社「ウーレドゥー」の3社だ。各社はヤンゴンの中心地の交差点やヤンゴン空港、バスの停留所、店舗などさまざまな場所にスマホの広告看板を掲げていた。ミャンマー政府は2016年中に携帯電話の普及率を80%までにアップすることを目標にしており、このままのペースだと実現することは確実だ。
 WiFiによるインターネットは宿泊したヤンゴンのホテルでは簡単につながった。日本で利用するのとほとんど変わらない。最初にミャンマーを訪れた2012年のときに比べると通信環境は大幅に改善している。

◇小売・外食の出店加速
 ベトナム企業が造った大規模なショッピングモールの開業や米ファストフード大手ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)など外食店の出店がヤンゴン市内で加速している。同モールとKFCの店舗は前回訪問したときはなかった。また、日本食レストランは同国で100店を超えた。
 2016年1月からは、ヤンゴン市内にあるビクトリア病院内に日本人医師が常駐している。愛知県一宮市に拠点を持つ社会医療法人大雄会が同病院に医師を派遣した。あるヤンゴンの駐在員は「日本語で診療できるのはありがたい。こうした病院や高度治療が受けられる病院が増えてもらいたい」と期待を寄せている。

◇ホテル代やオフィス代は低下
 ヤンゴン市内ではホテルやオフィスが増えており、前回訪問した時に比べ、ホテル代やオフィスの賃貸料は安くなりつつある。一泊2万5000円だった高級ホテルは2万円程度に下がり、また、賃貸料が1平方メートル月額80~90ドルだった中心街にあるオフィスは、同60~70ドルにまで下がった。ヤンゴンは急ピッチで変化している。

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