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シリーズ:「インバウンド観光推進」(No.5) 今、「せとうち」が来ています! 一般社団法人せとうち観光推進機構 マネージャー 伊藤 賢【配信日:2017/03/31 No.0265-1037】

配信日:2017年3月31日

シリーズ:「インバウンド観光推進」(No.5)
今、「せとうち」が来ています!

一般社団法人せとうち観光推進機構 マネージャー
伊藤 賢


 日本版DMOのフロントランナーとして「せとうちDMO」が目指すものは、観光客を「せとうち」に呼び込むことだけではありません。DMOとして掲げるミッションとは?


 今、「せとうち」が来ています。平成27年第一四半期に約50万人であった瀬戸内7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)の外国人延べ宿泊者数は、平成28年第2四半期には約82万人となるなど、瀬戸内エリアは日本全体の訪日外国人旅行者の増加率を超えて推移しており、多くの方々にその魅力を楽しんでいただいています。瀬戸内を取り巻く環境も変化しつつあり、テレビや雑誌等で瀬戸内特集が組まれることも増え、注目を浴びているエリアと言えます。

世界から認められてきた「せとうち」
 そもそも瀬戸内は、古くから世界の人々にその美しさを評されてきました。近代ツーリズムの祖トーマス・クック氏は「湖と言う湖のほとんど全てを訪れているが、瀬戸内海はそれらのどれよりも素晴らしく、それら全部の最も良いところだけを集めてひとつにしたほど美しい」と評し、シルクロードの名付け親でもあるドイツの地理学者リヒト・ホーフェン氏は「広い区域に亙(わた)る優美な景色で、これ以上のものは世界の何処にもないであろう。将来この地方は、世界で最も魅力ある場所の一つとして高い評価を勝ち得、沢山の人々を引き寄せることであろう※」と、瀬戸内海の美しさを絶賛しています。(※出典「支那旅行日記」上巻 慶応書房刊)

 静かで鏡のような海面に、大小700以上もの島々が浮かび、近くや遠くに折り重なって見える「多島美」は、瀬戸内ならではの美しい風景です。
 また、古くから日本の海上交通の要衝として栄え、歴史の重みを感じさせるまちなみや情景が残り、教科書には載っていないような歴史の深みを感じさせます。
 さらには、変化に富んだ潮流に育まれた海の幸や、温暖な気候の恵みである柑橘類、山から運ばれてくる美味しい水で作られた日本酒などの食資産も豊富であり、日本の中でも「せとうち」は、様々な魅力を持った個性的なエリアなのです。

「せとうち」が見せる多島美は時間によっても、その表情を変える

「せとうち」が見せる多島美は時間によっても、その表情を変える

「せとうち」を国内最大の観光ブランドに
 しかしながら、現代においては、こうした瀬戸内の素晴らしい価値を充分に活かしきれていないのではないでしょうか。このため、瀬戸内の地域資源にあらためて光を当て、各地の魅力をつなげ、「せとうち」の認知度とブランド力を高め、世界に比肩する持続可能な観光地となることを目指して取り組んでいるのが、せとうち観光推進機構と瀬戸内ブランドコーポレーションを中心に組織された「せとうちDMO」です。
 せとうちDMOの最大の特徴は、プロモーションにより顧客(需要)の創造を行なうせとうち観光推進機構と、金融機関が中心となり資金支援・経営支援を行なうことで地域の産業振興(商品・サービス開発)の開発を誘導する瀬戸内ブランドコーポレーションとが一体となって活動する点にあります。金融機関がDMOに参加している例は日本のみならず、世界にも無いと思われます。こうした機能により、2017年には瀬戸内海を周遊する宿泊型高級クルーズ船の運航がスタートし、古民家をリノベーションして宿泊施設に転用する計画も進んでいます。

せとうちDMOの概念図

せとうちDMOのミッション
 せとうちDMOは、観光地経営の舵取り役として、瀬戸内全体の最適化のためにエリア全体を俯瞰してマネジメントを行なうことが求められています。このマネジメントとは、単に多くの観光客を瀬戸内に呼び込むことだけではありません。この「せとうち」にどれだけの観光客を呼び込めるか。その上で稼げる観光、しっかりとした経済効果を打ち出し、ひいては地域の雇用を産み出すことまでを含むものと考えています。そのためには、日本国内の人口が減少している中で国内の観光客を地域間競争で奪い合うのではなく、増加が続く外国人観光客を取り込むことで、外貨を獲得していくことが重要になります。このため、「瀬戸内ブランドの確立による地方創生=“地域再生と成長循環”を実現」というミッションを掲げ、特に外国人観光客に「せとうち」へ訪れて頂きたいと考えています。そして観光客増加を企業のビジネスチャンスに繋げることで地域が潤い、輝かしい未来に向けて地域住民の誇りと希望が満ちていくよう、様々な取組を行なっています。

 例えば、訪日外国人観光客の取り込みを狙い、新商品やサービスの拡大、販路拡大に意欲的な企業を支える仕組みとして、個々の企業では備えることが難しい様々な機能を提供する「せとうちDMOメンバーズ」があります。このサービスでは、企業の経営者層に向けて新商品開発のアイデアや事業連携先を探すためのビジネスマッチングの機会を提供する「瀬戸内サロン」や、業務サポートとして訪日外国人のお客様とのトラブル時に24時間365日対応可能な通訳専用コールセンター、海外の個人のお客様を対象とした120か国向けの越境ECサイトなどを備えた「瀬戸内コンシェルジュ」など、インバウンドビジネスのお困りごとを解決し、観光の盛り上がりをビジネスチャンスにつなげ、儲かる観光を実現しようというものです。

せとうちDMOメンバーズ

せとうちDMOメンバーズ

 他にも、地域住民が主体となって活動する地域住民ネットワーク「せとうちHolics(ホリックス)」の運営支援も行なっています。瀬戸内の観光地づくりに寄与したい、瀬戸内で起業したい、瀬戸内の情報をもっと発信したい、そんな「瀬戸内をもっと面白くいたい!」人たちのネットワーク作りのための交流の場を提供し、そうした活動の担い手を育む講座を開催し、新しい産業の創出と雇用の拡大を狙っています。

 増加する訪日外国人観光客の需要の取り込みが本格化するのは、これからだと思います。大事なのは、最終的にお客様に商品やサービスを提供するのは、せとうちDMOではなく、地域の企業や住民の皆様であることです。せとうちDMOは、地域の企業や住民の皆様が、本気になって輝ける舞台を提供するためのマネジメントをしっかりと行なうことが使命だと考えています。

一度ならず二度、三度と訪れてみたい場所「せとうち」を目指して
 「せとうち」には様々な魅力があります。穏やかな海を楽しめるクルーズ、瀬戸内国際芸術祭などで盛り上がるアート、しまなみ海道を中心としたサイクリング、旅行に欠かせない食や宿、お土産にも、魅力的なものが多数あります。
 「せとうち」は、こうした魅力をしっかりと打ち出し、まだまだ知られていない観光資源を磨き上げ、滞在時間が長い外国人観光客の皆様でも楽しめるよう、旅行を楽しむための様々な選択肢を提供したいと思います。何度来ても違う顔を見せることができる「せとうち」に、一度ならず二度、三度と訪れてみたい場所となる「せとうち」に、ぜひご期待ください。

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