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東日本大震災から6年を経た東北地域の現状と今後の展望 東北経済産業局長 田川 和幸【配信日:2017/04/28 No.0266-1041】

配信日:2017年4月28日

東日本大震災から6年を経た東北地域の現状と今後の展望

東北経済産業局長
田川 和幸


 東北の被災地域では、商業施設のオープンや避難指示の解除など、明るい話題が相次いでいる。今後も本格復興に向け、沿岸被災地域の基幹産業である水産加工業への支援や、福島県の復興に尽力していく。


はじめに

 東日本大震災の発生から、6年が経過しました。その間、国内外を問わず様々な方々から多大なる御支援をいただいておりますことを、この場をお借りして深く御礼申し上げます。

 震災発生からの5年間は、政府が位置づけた「集中復興期間」として、主にハード面での整備を中心に、被災した地域の復旧・復興を進めて参りました。そして、6年目を迎えた平成28年度からの新たな5年間は、「復興・創生期間」として、ソフト面での支援にも力を入れながら、被災地の自立を目指して、様々な取組を進めているところです。

平成28年度の主な復興の動き

 インフラ整備が進捗した津波被災市町村や、避難指示が解除された原子力被災市町村では、順次、具体的な商業・まちづくり再生に向けた取り組みが進んでいます。

 宮城県南三陸町では、平成28年12月に「南三陸さんさん商店街」が仮設店舗での営業を終了し、平成29年3月に本設の商店街として新たにオープンしました。飲食店や生活関連サービス業など、28店舗が出店し、まちの復興のシンボルとして、新たな一歩を踏み出しています。また、岩手県山田町でも、平成28年11月に共同店舗「オール」がオープンし、まちの賑わい創出の拠点となることが期待されています。

南三陸さんさん商店街 オープニングセレモニー

南三陸さんさん商店街 オープニングセレモニー

 さらに、福島県内に目を向けると、原子力被災12市町村において、避難指示の解除が進み、生活環境の再建が加速しています。商業施設の整備では、広野町の「ひろのてらす」、富岡町の「さくらモールとみおか」などがオープンし、交通インフラでは、JRの運休区間が順次再開するなど、一歩ずつ前へと進んでいます。

さくらモールとみおか

さくらモールとみおか

 復旧・復興が着実に進展している一方で、未だに多くの方々が避難生活を送っていることを忘れてはなりません。復興庁の調査によると、平成29年3月中旬時点で、東北全体で11.9万人もの方々が避難を余儀なくされています。また、福島県産の農林水産物や観光地等を中心に、風評被害も根強く残っており、引き続き、きめ細やかな支援が必要です。

被災地域における課題と復興に向けた取組

 東北地域の経済状況を見てみると、震災後大きく落ち込んだ「鉱工業生産指数」は、平成24年初めには震災前とほぼ同水準まで回復しており、その後も、主に電子部品・デバイス工業、はん用・生産用・業務用機械工業などが牽引する形で、ほぼ全国と同様の推移を見せています。

 他方で、沿岸被災地域の基幹産業である水産加工業では、91%が施設の再開を果たしているものの、販路の縮小や人材不足等の課題から、なかなか売り上げが回復していません。

グループ補助金アンケート調査結果&復興庁の数字

グループ補助金アンケート調査結果&復興庁の数字

 被災地が本当の意味で復興を果たすためには、施設の復旧だけではなく、被災事業者が抱えるこれらの課題への取組が、一層、重要になっております。そこで東北経済産業局では、沿岸被災地域における水産加工業等の高いポテンシャルを活かしつつ、地域一体となってブランド力を高め、海外販路拡大等を促進することを目的に、商工団体・支援機関・行政機関から構成される「三陸地域水産加工業等振興推進協議会」を平成28年3月に設立しました。

 本協議会の取組として、三陸地域一体となってブランド力を高めるための具体的なビジョン等を検討するため、関連事業者や有識者からなる「三陸ブランド検討委員会」を設置、三陸のブランド価値向上に向けて、「三陸を世界トップの水産ブランドにする」ことをスローガンとしつつ、三陸ブランドのコンセプト(提供価値)を、「世界で最も豊かな海」×「誇り高い人々」=「世界最高の水産食品」と位置付け、これらを要素としたシンボルやストーリー、キャッチコピーの検討を行い、ブランド価値の向上に向けた取組の方向性について整理しました。

 さらに、「JAPANブランド育成支援事業」の他、関係省庁の施策を展開しながら、水産加工業等グループによる海外展開への取組支援等を進めているところです。平成29年4月に、三陸地域を紹介するイメージビデオを制作いたしましたので、是非ご覧いただければ幸いです。

<動画> “SANRIKU JAPAN”(日本語版)

 このほか、当局では平成27年度から「震災復興ツーリズム」の取り組みを推進しています。これは、東日本大震災における減災・防災上の教訓等を広く普及し、現地視察等を通した交流人口の拡大や、未だ根強く残る風評被害の払拭に繋げていくものです。平成28年6月には、大阪市内でシンポジウムを開催し、企業・学校・行政機関等を中心に、約200名の方々に来場いただきました。平成29年度も、同様の取り組みを四国地方で開催する予定です。

 さらに、福島県の復興は、経済産業省が担うべき最重要課題として位置付けられています。これまでに9つの市町村で避難指示解除が決定しましたが、放射線量が高い「帰還困難区域」では、未だに長期の避難を強いられるなど、解決すべき課題は多く残っています。

 平成29年2月には、「福島復興再生特別措置法」の一部改正案が閣議決定され、帰還困難区域の復興・再生に向けた環境整備を進めることや、浜通り地域の産業・雇用を回復するため、ロボット産業や再生可能エネルギー等の集積を図り、広域的かつ自律的な復興を目指す「福島イノベーション・コースト構想」の推進を法定化することなどが決定しました。

 さらに、福島全県を未来の新エネ社会を先取りするモデル創出拠点とすることを目指す「福島新エネ社会構想」も動き出しており、当局としても引き続き、これら施策を関係機関と一体になって推し進め、福島の一刻も早い復旧・復興に尽力して参ります。

 なお、経済産業省及び内閣府原子力災害現地対策本部では、「福島の今」を分かりやすく伝える映像を制作しております。こちらもご覧いただければ幸いです。

<動画>「福島の今 2017 春」(日本語)
<動画> “Fukushima Today”(英語)

東北へ是非お越しください!

 東北地方は、本州北東部に位置しており、青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県の6つの県で構成されています。自然豊かな環境のもと、四季折々で様々な魅力を体験することができます。

 例えば春。4月上旬から5月上旬にかけて、桜が見頃を迎えます。宮城県大河原町の一目千本桜や、青森県弘前市の弘前公園の桜など、思わず写真に収めたくなるような、美しい光景が東北各地に広がります。

 夏になると、東北はお祭りの季節です。8月上旬には、6県それぞれで盛大なお祭りが開催されます。また、各地域で花火大会が開催され、秋田県大仙市の全国花火競技大会「大曲の花火」や、山形県鶴岡市の赤川花火大会では、1万発を超える花火が打ち上げられ、その様子はまさに圧巻です。

 秋は、食欲の秋とも言われます。東北地方は全国有数の米の産地で、収穫量の割合は、全国の3割弱を占めるほどです。また、こうした米などを使って作られる日本酒は、国内外で人気が高まってきています。近年では、全国新酒鑑評会の金賞受賞数において、福島県が4年連続で全国1位に輝きました。

 そして冬。東北の冬は寒く厳しいですが、スキーを始めとしたウィンタースポーツを楽しむことができます。また、東北各地には様々な種類の温泉があり、「秘湯」の数では全国一とも言われています。身も心も温まる温泉を楽しむにも、冬はちょうど良い季節ではないでしょうか。

 その他にも季節を問わず、多くの観光資源を楽しむことが出来ます。東北初の世界文化遺産に選ばれた平泉(岩手県)をはじめ、東北各地で歴史・文化を味わうことができ、そこで育まれる特色ある伝統工芸品や農林水産物など、挙げればきりが無いほどです。また産業に目を向けると、自動車関連産業や医療機器産業、ロボット産業といった新しい産業が盛り上がりを見せており、今後更なる伸びが期待されています。

 東日本大震災から6年、東北地域は復興に向けて、力強く歩みを続けています。皆様も是非、観光やビジネスで東北にお越しください。

 これからも東北地方を、引き続きよろしくお願いいたします。

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