第63回 中央ユーラシア調査会 報告(1)「中央アジア+日本」第2回外相会合について」、報告(2)「上海協力機構の動向について」外務省欧州局 中央アジア・コーカサス室長 宇山 秀樹【2006/06/23】

日時:2006年6月23日

第63回 中央ユーラシア調査会
報告(1)「中央アジア+日本」第2回外相会合について」
報告(2)「上海協力機構の動向について」


外務省欧州局 中央アジア・コーカサス室長
宇山 秀樹

報告(1)『「中央アジア+日本」第2回外相会合について』
宇山 秀樹 従来からの日本と中央アジア諸国の二国間関係の増進と緊密化に加え、中央アジア全体との対話を推進するというマルチなアプローチを加味した取り組みとして立ち上げられた、「中央アジア+日本」対話における、第二回外相会合が、6月5日に開催された。

1.麻生大臣の中央アジアに関する政策スピーチ 「中央アジアを平和と安定の回廊に」
 様々な諸外国勢力の関心や利害が錯綜している中央アジア地域を単なる大国の草刈場と見るのではなく、この地域の主役は、あくまでも中央アジア諸国自身であり、日本はその主役である中央アジア諸国のオーナーシップを尊重して、各国の国づくりに協力していくという基本哲学の下、(1)「地域」を「広域」から見る(2)「開かれた地域協力」を後押しする(3)普遍的価値の共有に基づくパートナーシップを目指すという対中央アジア外交の三指針を表明した。 

2. 第2回外相会合について
 外相会合は、はじめに、各国の冒頭発言で今回の外相会合の意義等について簡潔に発言したあとで、「地域内協力の具体化」を議論し、更に「幅広い協力の推進」という議題で議論を行った。最後に今後の「中央アジア+日本」対話のあり方について意見交換した上で、成果文書としての「行動計画」に署名した。
2-1.地域内協力
 各国の代表は異口同音に、日本の関与が中央アジア地域の安定と発展にとって非常に有益であると言及し、地域協力の触媒としての日本の役割への期待を表明した。とりわけ今回の外相会合で最も主要な議題であった地域内協力については、中央アジア諸国が直面するテロ・宗教的過激主義・麻薬といった国境を越える脅威への対処や、地域を結ぶ輸送ルートの整備、アラル海の縮小をはじめとする国境を越える環境問題、水資源の問題への対処、日本の先進的な防災対策の知見を生かした防災協力などについて、具体的な意見交換が行われた。
2-2.幅広い協力
 ビジネス振興策、知的対話、文化・人的交流、国際舞台での協力についての話し合いが行われた。ビジネス振興策においては、日本と中央アジア諸国の官民合同の「中央アジア+日本」経済ワーキンググループの設置が合意された。知的対話については、日本と中央アジア諸国の有識者の交流を継続していくことが確認され、文化・人的交流の面では各国から文化芸術フェスティバルを日本で開催していきたいという発言があった。また国際舞台での協力では、各国から、日本の安全保障理事会常任理事国入り支持を再確認する発言があった。

3. 第2回外相会合の反響
 今回の「中央アジア+日本」対話第2回外相会合に対し、内外から多くの反響があった。日本のメディアでは、中央アジアにおける中露牽制であるとか、日本が中央アジアにおける資源確保を狙うものといった論調もあったが、いずれにしても日本の対中央アジア外交強化について広く理解を得ることができたと思われる。また、ロシアからは、この枠組みが上海協力機構へのあからさまな挑戦であるといった警戒の声もあるが、日本としては、中央アジアの安定と自律的な発展のために各国の国づくりを支援し、そのために地域内協力の発展に一役買いたいという意図の下に行っていることについて、今後ロシアや中国の理解も得ていきたい。

4. 今後の課題
 第2回外相会合により、「中央アジア+日本」対話の枠組みは1つの区切りを迎えたが、今後のフォローアップが非常に重要である。特に地域内協力の分野においては、中央アジア諸国の中で協力し合うという政治的意思が欠如している分野もあるため、まずは可能な分野でできることから実行していくという現実的なアプローチを取っていきたいと考えている。また、ビジネス振興の問題は大きな課題であり、中央アジア側で貿易・投資環境を整備し、日本企業への情報発信を今後強化していく努力を行う一方で、日本側においても日本企業の中央アジアに対する関心を高めていく必要があるだろう。そのためにも、「中央アジア+日本」経済ワーキンググループの実施を年内にも試みたい。(注:同ワーキンググループ第1回会合は、12月中旬にタジキスタンで開催された。)


報告(2)『上海協力機構の動向について』

1. 上海協力機構は反米(反日)機構なのか
 今回の首脳会合において採択された宣言の中に、対米牽制を意識したような文言は存在するが、特に新しい要素は見当たらない。また、上海協力機構を一枚岩の反米機構であると見るのは誤りである。

2. 今後の動向
2-1.オブザーバーの正式加盟問題
 イランを含むオブザーバー国の正式加盟問題は、今後引き続き協議とされ、事実上の先送りと見られる。今後上海協力機構が、イランや、すでに正式加盟の希望を表明しているパキスタン、インドをメンバーにしていくのかということは引き続き注目していくべき点であるが、イランの正式加盟は容易ではあるまい。
2-2.経済協力
 上海協力機構の枠内における協力の主要な分野となりつつある経済協力について、今回の宣言の中では、既に設置済みの上海協力機構ビジネス評議会や銀行間連合への言及があるが、具体的な経済協力については何も合意はなかったようだ。さらに首脳会合の議論の中で、プーチン大統領やイランのアフマディネジャド大統領から新しい提案があったが、いずれにせよ具体性はないというのが現状であり、今後どうなるのかを見ていく必要があろう。

3. まとめ
 総じて、日本としては、上海協力機構が、地域の安定と平和に建設的に寄与するのであれば結構なことと考えるが、同時に、上海協力機構の活動が透明性を保って開かれた形で行われることを期待しているというのが基本的な立場である。いずれにせよ、上海協力機構の活動がどういった方向に発展していくのか、その動向を注視していきたい。 (文責:貿易研修センターアジア部)
※敬称略/役職等は報告当時のものです。
※固有名詞等の表記は、報告者によって異なる場合があります。

(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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担当:総務・企画調査広報部