平成19年度 日豪エコツーリズム開発交流派遣事業 (オーストラリア) 【2007/10/22-28】

平成19年度 日豪エコツーリズム開発交流派遣事業 (オーストラリア)


概要


 近年、我が国においても、自然環境保護に対する意識の高まりや、豊かな自然を生かした新しい観光産業の開発による地域振興を目的として、エコツアーが盛んに実施され始めている。しかしながら、環境事業者、地域住民の役割と連携体制の問題、認定制度・人材育成機能の未整備、等、課題も顕在化している。
 一方、エコツーリズム先進国とされるオーストラリアでは、国内に存在する豊かな自然遺産を活用し、エコツーリズムを実践する多くの国・自治体に示唆を与えている。
 そこで、同事業では、我が国が上記の課題を克服し、エコツーリズムが日本に定着し、新たな観光産業として地域活性化に資するため、エコツーリズムを推進している地域の関係者をオーストラリアへ派遣し、地元関係者との交流を通じて、エコツーリズム成功のノウハウを学習し、ひいては日豪の経済産業交流の発展を図ることを目的とする。

日程:2007年10月22日~28日
主催:財団法人貿易研修センター
協力:NPO法人日本エコツーリズム協会


参加者


派遣専門家
北桑の森 エコツアーガイド 伊藤 五美(団長)
株式会社 ピッキオ エコツアーガイド 山崎 誠
裏磐梯エコツーリズム協会事務局 酒井 美代子

現地専門家(10月23日(火)のみ参加)
NPO法人 日本エコツーリズム協会 理事 小林 寛子

事務局
財団法人 貿易研修センター 国際交流部


内容


10月23日(火)
小林寛子 NPO法人日本エコツーリズム協会理事によるプレゼンテーション
豪州エコツーリズム協会(EA)表敬訪問
クイーンズランド州政府観光局(TQ)との意見交換

 事業の開始にあたり、小林理事によって、豪州においてエコツーリズムが発展した理由(豊富な自然資源、異文化(先住民)への配慮、研究機関とのパートナーシップ、行政のエコツーリズムへの支援体制、国民の高い環境意識、等)、豪州のエコツーリズム認定プログラムとその利点、日本と豪州のエコツーリズムの差異について、ブリーフィングが行われた。EAでは、担当者が、エコツアーにおけるバリアフリー制度、顧客満足度における協会の取り組み等、参加者からの個別の質問に答えた。また、TQでは、州政府の担当者より、州におけるエコツーリズム推進計画、エコツーリズムのマーケティングについて詳細な説明がなされた。

10月24日(水)
スプリングブルック国立公園、ラミントン国立公園視察
オライリーズ・レインフォレスト ゲストハウス視察・宿泊

 スプリングブルック国立公園、ラミントン国立公園を訪問し、エコツーリズムの現場を視察した後、ラミントン国立公園内にあるオライリーズ・レインフォレスト ゲストハウスで、マーケティングマネージャーより施設案内、運営の説明を受けた。同ゲストハウスは、上級エコツアーとして認定され、2万ヘクタールにもおよぶ亜熱帯の熱帯雨林に囲まれ、オライリーズ一家が75年以上の長い間、所有かつ運営してきたものである。毎日ガイドがついて自然解説プログラムを提供し、長期滞在客も、飽きることなく環境学習ができるよう工夫がされている。また、熱帯雨林がゲストハウスに隣接している好立地も特徴であり、環境設備、運営方法ともに大変参考にするべきモデルとして、参加者に感銘を与えた。

10月25日(木)
移動(ブリスベン→ケアンズ)
デインツリー熱帯雨林環境センター視察
ココナッツビーチ・リゾート視察・宿泊

 デインツリー熱帯雨林環境センターでは、経営者のご夫妻より、センター設立の経緯、経営方法や設備運営、環境学習の取り組みについて説明を受けた。同センターは、公的援助を受けることなく、個人の熱意によって設立・運営されている、世界のリーダー的エコプロダクトであり、日本ではまず見られないケースであるため、参加者は、新しい環境ビジネスモデルとして、熱心に意見を聞いていた。また、高さ23mのキャノピータワー、ボードウォーク等、世界最古の熱帯雨林を体験するための施設には、環境に対する様々な配慮がなされており、日本の施設整備の資となる情報を収集することができた。
 夜は、ココナッツビーチ・リゾートに宿泊、営業担当者と意見交換を実施し、現地のエコツアーの事情を聞くことができた。また、施設案内を通じて、参加者は、自然環境に溶け込んだ形でのリゾートのあり方を学ぶことができた。日本では、エコツアーが実施されている地域に、十分な宿泊施設がないケースもあり、エコツーリズム普及のためには、顧客にアピールする宿泊施設を整備する必要もあることを、同リゾート視察を通じて認識した。

10月26日(金)
グレート・バリアー・リーフ グリーン島視察

 グリーン島では、豪州エコツーリズム協会が実施しているエコガイド資格認定プログラムに合格した認定エコガイドに島の自然環境を案内していただき、また豪州のガイドの事情について説明を受けた。参加者は、認定エコガイドの自然環境を伝える技術、知識、また時間配分等のスケジュール調整の確かさに大変感銘を受け、今後の日本におけるエコガイド人材育成に参考となる多くの点を学んだ。

10月27日(土)
ウールーヌーラン国立公園視察

 同国立公園内のユービナンジー湿原、ジョンストン・リバー・クロコダイル・ファーム、ジョセフィン滝、バビンダ・ボールダーズを視察した。同公園では、参加者は、整備歩道、トイレ、バーベキューの利用方法、サインボード、等、日本の国立公園とは異なる施設の運営方法について細かく視察した。参加者は、豪州の国立公園は、利用者の自由度が高く、保護の仕方が日本と違う点に大変興味を持った。一方で、利用者のモラルの高さが、その制度を支えていることを学び、一般における環境教育の重要さを認識した。

 参加者は、豪州のエコプロダクトを視察することにより、自然環境を観光に活かすさまざまなアイデアと工夫を学ぶことができた。一方で、日本のエコツーリズムの問題も浮き彫りとなり、国立公園等の施設整備の面、自然を観光に活かす手段、外国人の受け入れ態勢等で、やるべき課題が多く残されていることを確認した。
 特に、日本では、エコプロダクトの認定制度、エコガイドの資格制度が存在せず、個人が勝手にエコツアー・エコガイドを自称することが出来るため、制度の制定が急務である。参加者は、豪州で認定エコツアー・認定エコガイドについて学ぶことにより、認定制度の制定を日本の関係機関に呼びかける必要性を実感した。
 今回の視察を通じて、参加者が学んだことを地域に反映することにより、エコツーリズムが定着・普及し、地域経済活性化が促進されることが大いに期待される。


豪州エコツーリズム協会との意見交換

豪州エコツーリズム協会との意見交換

豪州の認定エコガイドから説明を受ける参加者

豪州の認定エコガイドから説明を受ける参加者


現地エコプロダクトを視察

現地エコプロダクトを視察




担当:総務・企画調査広報部