平成21年度 ベトナム・ミャンマー現地調査ミッション 【2009/12/06-13】

平成21年度 ベトナム・ミャンマー現地調査ミッション

概要


 ASEAN・東アジアの経済連携の進展とともにメコン圏諸国の役割が増大し、日本の支援協力に対する期待も高まってきている。このような状況下で、当該地域における中小企業の現状と企業支援のニーズ、我が国の中小企業進出の今後の可能性を把握し、カウンターパートとのネットワーク構築を主な目的としてベトナム・ミャンマーの2カ国現地調査ミッションを派遣した。併せて、本ミッションの成果は、平成22年度に「企業誘致」をテーマに開催を予定している「第4回CLMVヤングリーダーシップ・プログラム」の効果的なプログラム企画のための参考とする。

主催:(財)貿易研修センター
日時:2009年12月6日(日)~13日(日)
場所:ベトナム(ハノイ市)、ミャンマー(ヤンゴン市)

参加者


中小企業分野の専門家:
中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー
兼 ベトナム経済研究所 研究理事
星野達哉 氏

事務局:
貿易研修センター 専務理事
赤津光一郎(団長)

貿易研修センター 人材育成部
播磨秀一


主な訪問先


・計画投資省
・ベトナム商工会議所
・日本国大使館 藤井書記官との意見交換会
・財団法人 海外技術者研修協会 (AOTS) ベトナム事務所
・JETRO ハノイ事務所訪問 守部所長ブリーフィング
・JETRO ハノイ事務所高野次長との意見交換会
・イエンフォン工業団地内 Fuji Precision Park 管理会社及びTamayoshi Vietnam(玉吉製作所)訪問
・ベトナムJBA(日本商工会)との意見交換会
・在ミャンマー日本国大使館 野川特命全権大使 表敬
・ミャンマー商工会議所UMFCCI
・SEZ セミナー
・ヤンゴン日本人商工会議所(JCCY)幹部と意見交換会
・ミンガラドン工業団地視察(元日系管理会社:訪問)
・ファモソ・クロージィング社(ミンガラドン工業団地内、スーツ縫製加工)視察
・マニー ヤンゴン リミテッド(医療用針)視察
・JCCY 工業部会との意見交換会
・Golden Hill Tower
・Marina Residence


内容


 本ミッションでは、ベトナム(ハノイ)、ミャンマー(ヤンゴン)の現地政府幹部、経済産業団体関係者との意見交換を行う他、実際に現地へ進出している日系企業の経営者と意見交換も行い、現地の投資環境をはじめ、進出する中小企業の現状や課題、ニーズの把握等に努めた。 ミャンマーでは、経済特区(SEZ)の整備に向けて、理解促進を図るセミナーを星野専門家による講義形式で開催した。関係政府機関の高官や商工会議所関係者、地元企業経営者などを集め、活発な質疑応答が行われた。  また、ハノイ郊外のイエンフォン工業団地、ヤンゴン郊外のミンガラドン工業団地等を視察した。工業団地の管理会社や、団地内で創業している日系企業経営者らから、同国に進出する企業の最新動向や、取り巻く投資環境・経済概況などをについて情報収集、意見交換を行った。他、異なる業種の日系企業も複数訪問し、実際に進出する際の問題点、経営管理上の課題などについてヒアリング・意見交換を行った。さらに、駐ミャンマー大使をはじめ両国の日本大使館経協班担当書記官、JETRO関係者、異なる業種の進出日系企業の経営者の方々とも意見交換会を行ない、中小企業誘致の上の問題点や最新の経済動向・課題などについて理解を深めた。

 ベトナムでは近年、特に都市部においてその経済成長は急速に拡大しており、自動車の数もこの2~3年間で急激に増加している。ベトナム中小企業に関しては、これまであった国営企業と民間企業が別々に定められていたものを統合し、あらためて「中小企業」の概念を定義した政令59号が2009年に新たに公布された。ただし、中小企業政策に関しては他にも様々な関係省庁が横断的に施策を講じないとうまく動かないのが現実で、まだまだ環境が整ったとは言い難いのが現状である。AFTAの関税撤廃が目前に迫る中、日本をはじめとする域内の進出製造業にとってもベトナム投資環境の優位性はまだ見出しにくいといわざるを得ないが、ベトナム政府においてはその危機意識は薄いと伺える。2011年には共産党大会があり、現大統領と首相がどうなるのか注目されているが、投資環境を激変させるような変化はないと見る向きが大勢である。リーマン・ショックから1年経た最近ではハノイ、ホーチミンの都市部において再び建設業を中心に韓国勢の投資が目覚しい。

 ミャンマーでは、現在の軍事政権下、輸出入の統制が行われているため、実質的に外貨の国外持ち出しができないことが新規の企業進出に二の足を踏ませる大きな要因のひとつになっているといえる。輸出で獲得した外貨の枠内(輸入ドル)でしか原材料輸入できないなどの外貨管理に絡む制約がある。現在も踏みとどまっている進出企業はさまざまな工夫でその対応を強いられているが、輸入代替産業にあっては厳しく、今後も撤退が続くと見られている。輸出入に関してはライセンス制で、首都ネーピードーの所管官庁の許可取得が都度必要であり、その申請手続きも非常に煩雑で時間もかかる。経営者はこういった部分にかなり神経を使う必要がある。委託加工(CMP)への課税も利益に対してではなく売上高の1割程度と高く、また関連法令も急に変わる事がある。安価な人件費が魅力である反面、経営上注意を払わねばならない部分が多くあるのがミャンマーの現状である。AFTAの関税撤廃が2015年から始まるゆえ、域内においてその優位性を如何に打ち出して行けるのかが今後の課題であるといえる。ただし行政の意思決定とその上にあるとされている軍政権内の意思決定が必ずしも連動しない(現軍政権は必ずしも外国からの投資を歓迎していないと見る向きもある)とされている部分がミャンマーのカントリーリスクを考える上で鍵であり、その判断は新規参入企業にとっても容易ではないといえる。目下2010年の末頃にあるとされている総選挙の動向が注目されている。
 その一方で、同域内における中国、韓国、タイなどの新興アジア勢の進出意欲は旺盛で、日本は若干出遅れ気味と見る向きもある。新たに海外進出する日系企業だけでなく、すでに域内の周辺新興国に進出済みの製造業を中心とする日系企業も、生産拠点の展開において、今後新たに域内最適化を進めると考えられる。そこで我が国もODAなども戦略的に活用しながら、進出企業の求めるニーズにあった環境整備に協力することが肝要である。また官民関係機関の連携・情報共有なども期待されるところであり、貿易研修センターにおいても少しでもその一翼を担えるよう努力したい。

 本ミッションには、具体的に以下の3つの目標を掲げていた。
 (1)現地に進出している日系(中小)企業をとりまく現状と課題の把握、(2)ミャンマーでのSEZ導入に向けて理解促進を狙った啓蒙セミナーの実施、(3)本年度実施のCLMV若手有望指導者招聘(ヤングリーダーシッププログラム)事業のフォローアップと次年度実施予定の同事業に向けてのネットワーク作りの3点を挙げることができる。

 1つめの成果である現地の中小企業をとりまく現状と課題の把握については、ミッションの報告書を作成し、関係者等に配布することで、広く情報の活用と共有に資したいと考える。2点目のミャンマーにおいて開催したSEZセミナーでは、日本の中小企業アドバイザーとして数多くの経験を持つ星野専門家より、SEZ導入の重要性について理解を深めてもらうためのセミナーを開催し、活発な質疑応答が行われ大変好評を博した。SEZを導入すると外国企業と、地元企業の競合を心配する参加者も一部にあったが、技術移転が進むことでミャンマーの産業レベルを押し上げるチャンスにもなりえる。また、域内関税の撤廃化に向けてミャンマーが周辺国との比較優位を狙うためには欠かせない施策となることなど、参加者の理解を得て、無事閉会した。3点目のネットワーク構築に関しては、21年度にアジア若手有望指導者招聘事業で日本の中小企業政策について勉強してもらったベトナム商工会議所(VCCI)中小企業振興センター(室)課長と、ミャンマー商工会議所(UMFCCI)の副会頭(中小企業振興分野担当)をそれぞれ訪問し、IIST専務理事、星野専門家との意見交換、並びに今回のミャンマーでのセミナー共催を通じて、人的及び組織間のネットワークをより強固なものにした。
 ミャンマーに関しては米国の経済制裁下にあって、表立った政府間交流も容易でない中、機動力ある民間団体としてIISTが我が国の通商政策に沿った補完的役割を担えたことは意義深い。


ベトナム計画投資省  (Enterprises Development Agency - ASMED) 訪問(ハノイ)

ベトナム計画投資省 (Enterprises Development Agency - ASMED) 訪問(ハノイ)

ベトナム商工会議所  (Vietnam Chamber of Commerce & Industry - VCCI) 訪問(ハノイ)

ベトナム商工会議所 (Vietnam Chamber of Commerce & Industry - VCCI) 訪問(ハノイ)


ミャンマー商工会議所(UMFCCI)訪問(ヤンゴン)

ミャンマー商工会議所(UMFCCI)訪問(ヤンゴン)

SEZセミナーでの講義風景(ヤンゴン)

SEZセミナーでの講義風景(ヤンゴン)


SEZセミナー閉会セレモニー(ヤンゴン)

SEZセミナー閉会セレモニー(ヤンゴン)

ミンガラドン工業団地内縫製工場 ファモソ・クロージィング(大栄既製服)視察(ヤンゴン郊外)

ミンガラドン工業団地内縫製工場 ファモソ・クロージィング(大栄既製服)視察(ヤンゴン郊外)



総務・企画調査広報部