第94回-1,2 中央ユーラシア調査会 「挑戦する国、モンゴル」モンゴル国商工会議所(MNCCI)会長兼CEO サンブー.デンベレル/Sambuu DEMBEREL、「モンゴル国商工会議所の活動」モンゴル国商工会議所 バーコード・物流局局長 ダライクー・ウヌルジャルガル/Dalaikhuu UNURJARGAL【2009/01/29】

日時:2009年1月29日

第94回-1 中央ユーラシア調査会
「挑戦する国、モンゴル」


モンゴル国商工会議所(MNCCI)会長兼CEO
サンブー.デンベレル/Sambuu DEMBEREL

 私の報告は「挑戦する国、モンゴル」というタイトルで、モンゴルは現在まさにその状況にある。特に世界的な経済、金融危機は非常に厳しく、チャレンジ力が問われている。政府や経財界が今までの経験や知識を共有し、知恵を出し合って立ち向かい、正しい方向へ進むことが求められる。日本の経済政策からも学べるものは学び、活かしていければと思う。
 モンゴルは資源依存型経済の国だが、資源に依存するビジネスには功罪がある。中長期的な視点に立てば、資源を有し、それに立脚した経済は安定していて望ましい。しかし資源に過度に依存して、他のビジネス・セクターをおろそかにする危険も孕む。90年代当初、私たちは市場主義経済に対し、非常に愚直で楽観的だった。市場こそが万能と考え、市場にできるだけ介入しない政策が採用された。この真逆にあるのが、政府こそがすべてを司るという立場だ。その結果、政府の存在が肥大化し、市場に介入しすぎる。こうした極端な立場に陥る原因は、政府などの公的、そして民間セクターの相互作用がうまく機能しないことだ。このためモンゴル国商工会議所は、政府と民間の橋渡し役として重要な役割を果たしている。
 モンゴルは内陸国で、これはモンゴル経済の最大のネックの1つだ。しかし、商工会議所ではこれを否定的にとらえるのではなく、「陸に閉じ込められたモンゴル」から「陸で他国とつながるモンゴル」へ舵を切るよう提言している。そのために必要なプログラムとして、「トランジット・モンゴル」計画に着手している。
 私はモンゴル経済には、(1)政府、(2)フォーマル・セクター、(3)インフォーマル・セクター、(4)貧困層-という4つのグループがあると考えている。そしてこの4つを結ぶのが、「エンパワーメント(empowerment)」と「起業家精神(entrepreneurship)」という「2つのE」だ。エンパワーメントは、政府によって人々に機会が与えられ、自由でよりよいビジネス環境が整えられ、企業間の公正な競争を奨励されることを意味する。そして私たちは、地域の共同体組織や零細企業、中小企業の経営者が起業家精神を高めることができるような計画も推進している。
 また以下の2つの点に注意を払うことも、大切だ。1つはいかに政府の歳出を少なくするか、政府のサイズを小さくしていくかだ。国のGDPの30%を超えるような歳出は、行うべきでない。同時にフォーマル・セクターの企業に、より好条件のビジネス環境を整備し公正に競争ができるような環境を整えることも重要だ。また私たちには国境を越えた貿易がスムーズに行われる環境の整備も求められている。
 モンゴルの社会政策も、多くの問題を抱えている。5~6カ月前だか、インフレ率は34%で、現在は22%あたりを推移している。この高いインフレ率の要因の1つには、政府や閣僚、議会の動きがからんでいる。またモンゴルは、国民の70%が35歳以下という非常に若い国だ。したがって雇用の創出や若者のエンパワーメントは社会政策の重要な柱となる。女性の社会進出もめざましく、年金受給者となるシニア層も無視できない存在だ。
 次にセクター別の状況だが、まず鉱業はモンゴルの主要輸出産業で、今後10~15年間の経済を支える重要な産業であり、社会経済に与えるインパクトも大きい。しかし依存しすぎると経済を崩壊させかねない危険性も孕む。銅の価格が世界的に下落している現在、鉱業における雇用の確保や鉱業に依存する都市の衰退をいかに食い止め、保護していくかが重要な問題だ。そして「持続可能な発展」のためには、農業、特に有機農業が重要な意味を持つ。政府の援助を受けて育成し、外国からの投資を誘致できれば、有機農業は将来モンゴルにとって競争力のある非常に有望な産業となりえる。例えば、ナノテクノロジーのような新しい分野における有望なプロジェクトの支援も重要だ。このほか日本へのカシミア製品の輸出も、まだ少量だが合弁で行えばブランド価値を高めていけると考える。
 環境問題も最優先課題の1つだ。ウランバートルでは大気汚染が問題で、商工会議所は「3つのC」原則を提案している。これは「クリーン(Clean)な環境、クリーンな食品、クリーンな技術」だ。21世紀、「経済(economy)」は「エコロジオノミックス(ecologeonomics)」となるのではないか。そしてこれは、21世紀の新しい科学分野となるかもしれない。

第94回-2 中央ユーラシア調査会
「モンゴル国商工会議所の活動」


モンゴル国商工会議所 バーコード・物流局局長
ダライクー・ウヌルジャルガル/Dalaikhuu UNURJARGAL

 モンゴル国商工会議所は非政府団体だが、政府の一機関のような役割も担っている。商工会議所の未来像は、開発途上にあるモンゴルの民間セクターで率先してイニシアティブをとる関係機関となること、そしてモンゴルにおける健全なビジネス、投資環境の整備を促進する主要な役割を果たすこと、またモンゴルの事業、経済に関連する各種政策の支援団体として主要な役割を果たすことだ。商工会議所は現在、国内で1500の会員規模を誇っている。
 さらに国際機関との連携を通じて国際規模のプロジェクトの実施に寄与し、合弁事業の可能性を探って、その実現化に寄与している。また地方の零細事業の振興にも力を入れているほか、「1つの県に1つの有機製品(1 organic product in 1 province)」を目指すプロジェクトにも取り組んでいる。輸出品に関しては、モンゴルでは7200を数える輸出品がEU向けに無税だが、商工会議所はこれらを72品目にまで絞込み、その輸出振興に力を入れている。
 さらに商工会議所は政府と民間のパートナーシップの強力なサポーターで、さまざまな諮問委員会を設置している。例えば、政府および民間セクター諮問委員会、首都首長行政および民間セクター諮問委員会や法務省との合同諮問委員会がある。そして商工会議所では約30の分野別、事業別専門評議会も組織されている。こうした専門評議会が組織された理由は、1つの中央集権的な組織では幅広く存在する各種セクターの事業者を手厚くサポートすることが難しいということだ。専門評議会としては、鉱物地理学者評議会、観光開発評議会、工芸評議会、そして持続可能な開発の鉱山セクター評議会、エネルギー評議会、輸入業者評議会などがある。専門評議会の活性化には力を入れており、こうした専門評議会はますます増える状況にある

左よりウヌルジャルガル局長、デンベレル会頭

左よりウヌルジャルガル局長、デンベレル会頭


開催風景1 開催風景2
集合写真
(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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担当:総務・企画調査広報部