第96回-2 中央ユーラシア調査会 「日本・タジキスタン合弁企業 ”AVALIN ”設立の経験」【COKEY】宏輝株式会社 代表取締役会長 【COKEY】宏輝システムズ株式会社 代表取締役 吉田 博【2009/06/17】

日時:2009年6月17日

第96回-2 中央ユーラシア調査会
「日本・タジキスタン合弁企業 ”AVALIN ”設立の経験」


【COKEY】宏輝株式会社 代表取締役会長
【COKEY】宏輝システムズ株式会社 代表取締役
吉田 博

1. 甘草と医薬用グリチルリチン
吉田 博     グリチルリチンをメインとする薬があるが、これは日本で考えられ日本でつくられ、世界に認められつつある非常に珍しいものだ。用途は抗ウィルスだ。ウィルスには色々あるが、これから何が現れるかわからない場合、とりあえずグリチルリチンを利用すれば、いわば抗体を獲得するまでの間、身の安全を確保できる。これは健康というよりも命を失う危険を回避できるというような免疫系に関わるもので、現状では薬理は全てわかっていない。
 漢方の体系は臨床の積み上げのようなもので、色々な処方があるが、例えばガマの油にグリチルリチンが入った甘草(カンゾウ)を入れると、ガマの油の毒が消える。シャクヤクでもそうだ。またナツメの実を甘草と一緒に煎じて飲むとヒステリーが治るといい、精神作用まで効果があるということだ。甘草はアレキサンダー大王の時代にも使われており、ある種の軍需物質だ。ご存知の通り、被爆をすると免疫力を失うが、チェルノブイリの原発事故のようなケースでも、子供達はこれによってとりあえず命を失わずに済んでいる。亡くなった方もいらっしゃるが、そういう知見が出ているようだ。
 今は漢方的な考え方ではなく、単一物質を取り出している。私達の企業ならびに製剤メーカーが先発で、「強力ネオミノファーゲンシー」という薬を出している。これは肝炎にかかったらまずお世話になるもので、重篤な喘息、じんましん、制癌剤の弊害の除去などでもそうだ。この薬は今、世界的な広がりを見せつつあり、私達は原末メーカーとして甘草だけをやっている訳ではないが、やるべきことをやらねばならない。本来は生産地として非常に大きい中華人民共和国が、近年は、砂漠化や資源の枯渇、濫掘の結果として採掘制限が行われつつある。

2. 中国、中央アジアでの状況、本村和子氏との出会い
 私達は13年前に新疆ウイグル自治区の首府、ウルムチに工場を建ててやってきた。しかし中国では採掘制限がなされるようになり、外国よりも国内を優先するという国の通達もあって、他に色々な手段を考えなくてはいけなくなった。そして1997、8年ごろ、カザフスタンやウズベキスタンへ行くことになった。
 最近はグーグルアースという誰でも見られるウェブ上の世界各地の地図があり、我々甘草のプロは非常に助かる。もう1つはキエフ、モスクワ、タシュケントに、昔のソ連科学アカデミーの優秀な方が集まっており、そこに甘草の資料がある。その書類をロシアの方々にお願いして集める。そして、現地へ直接行って調べるという方法もある。そのようにして調査し、資源の客観的な質量、あるいは経済性を判断する。
 そのような中、わが社の顧問を通じて本村和子氏と巡り合い、一緒にタジキスタンへ行くことになった訳だが、とにかくタジキスタンへの造詣が深い方だと感じた。私は金融、商業、産業のことはわかるが、マクロの部分は専門でない。タジキスタンでは通関などで金品を要求されたりするのだが、本村氏はそのようなときも「だめよ」といって済まされる。さらに私が驚いたのは、非常に高いレベルで色々な知己をお持ちでいらっしゃることで、それらの人たちの信頼が非常に厚いことを実感した。これは大変すばらしいことだ。

3. タジキスタンでのビジネス・モデル
 今のところ結果はわからないが、少なくとも会社をつくった段階だ。会社の名前はアバリーンといい、向こうではパイオニアという意味だ。私達はやはり日本企業なので、「技術とお金を出しましょう」といい、彼らには「資源を出してください」といっている。現地でのビジネス・モデルを考える必要があるが、本村氏は大変きれいにやっていかれる。そして過半の株は向こうの国、実際には民間の方だが、そちらで持ってもらうことになった。資本金は、本当は特別なプラントを入れるので大変なお金がかかり、当然、これまでの開発費用なども回収しなくてはいけないのだが、そのようなことをいったら理解しえないので、プラントは無償で貸すことになった。そうすれば、資本金も少なくて済む。
 だからといってこのような仕事では、牽制が効かないとお互いが理性的でいられないということがよくある。従って、お互いが有力で決定的な牽制手段を持ったらよいという考え方が、私の中には常にある。そのため向こう側は「採掘権を取り上げる」と言えばそれで済む話で、こちらは「プラントを引き上げる」と言えば済む話になっている。これならばきっと、双方が理性的になれるだろうという考えだ。また現地に保税区があれば税金の話が生じず、プラントを入れるときの課税について面倒な話が起きない。しかしながらタジキスタンでは、その種の合弁に関わる法律ができたばかりで、保税区が無い。そこでプラントは単純に貸すということになり、レンタル、リースを考えている。規模としてはまず、第1段階では工場1つから始める。

 皆さんよく言われるが、利潤の追求というのは必要条件の一部でしかない。マニュファクチャラーにはマニュファクチャラーの考え方、ものの見方がある。中堅企業というか、私達が工夫、努力をして従業員を雇い、その従業員と購買力を持った方々がいらっしゃって、その方たちが何を買うかという選択権を持っている。その意味において、私達の従業員を含めた企業に投票していただけるか、という発想だ。私達が支持、投票、評価を受けた分だけ、私達も人様のもの、つまり原料であれ、プラントであれ、そこにまた我々の意志に基づいて投票し、継続していくということだ。

(敬称略 / 講師肩書は講演当時 / 文責:貿易研修センター)

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担当:総務・企画調査広報部