2009年度アジア特別講演会(3)-1 ものづくり企業、中国ビジネスへの挑戦「中国への挑戦~販路開拓を目指す日本企業の取組方法及び注意点~」(独)中小企業基盤整備機構 経営支援専門員 高橋 勝彦 【2009/11/12】

講演日時:2009年11月12日、場所:西日本総合展示場 新館3階 303・304会議室

2009年度アジア特別講演会(3)-1
ものづくり企業、中国ビジネスへの挑戦
「中国への挑戦~販路開拓を目指す日本企業の取組方法及び注意点~」


(独)中小企業基盤整備機構 経営支援専門員
高橋 勝彦

主催:財団法人貿易研修センター
共催:九州経済産業局、(独)中小企業基盤整備機構、九州経済国際化推進機構

高橋 勝彦中国の社会情勢、外資政策
 中国では1987、88年ごろから、改革開放が進んできた。人口は13億2000万という統計が出ており、1980年前後から一人っ子政策が始まったため、人口のピラミッドはかなりひずみを持った形になっている。また農村と都市の格差、貧富の差が大きな問題だ。そして共産党幹部の汚職や腐敗も土地や金融絡みで常習化し、悪質化、高額化している。今後、中国へ出ようとする企業は、中国では政治、社会、経済的な混乱がまた起きる可能性があることを念頭に置き、検討されてはいかがかと思う。外資政策は、昨年から少し様相が変わった。以前は何でも歓迎という状況だったが、「先進技術、環境、省エネに関する企業に来てもらいたい」、「単純な加工貿易にはもう来てもらわなくて結構」となってきている。
 現在、日本企業は香港も含めると、中小企業が約6500社、大企業もほぼ同数で、計約1万3000社が中国に進出しているという統計がある。しかし実際はこれより多く、個人企業も含めて3万社ぐらいが中国に出ていると思われる。

日本企業の取り組みとアドバイスの事例
 次に日本企業の取り組み、そしてアドバイスの実例を紹介したい。まず「輸出をしていたが、急激に量が落ちた。内需が好調な中国を目指して攻めようとメール・オファーしているが、全く反応がない。どうすればよいか」という相談があった。やはり商売はフェース・トゥ・フェースでなければならず、1つの手段として「展示会、見本市に行ってはどうか」とお話した。また中国市場について分析し、現地へ行って確かめることも必要だ。2番目の例は、「重要な部品を日本から輸出し、中国で委託生産した電機製品を自社名義で中国で売ることはできるか」という相談だ。これについては以前はできなかったが、今は保税物流園区という特殊な保税区ができ、ここを通すとできるようになった。
 一方、中国市場への売込だが、現地のコンサルタント会社や、日本語のできる会計事務所や法律事務所に調査を頼む、専門の貿易商社に頼む、代理店があればそういうところを経由して市場調査するといった方法がある。買手、売手のマッチングは、日本貿易振興機構(JETRO)や営利会社のサービスがある。最近は「インターネットで商売できないか」という相談もよく受けるが、ネット・ビジネスをするには、中国ではICPという認可が必要になる。しかし、この認可は外資にはほとんど発給されていないので、結局この認可を持った中国企業の協力を仰ぎ、彼らのネット商店街に自分の会社を入れてもらうというやり方が大部分だ。では日本でネットを立ち上げてはいけないのかというと、これにもいろいろ制限がある。一番の問題は代金回収などで、これには大きな障壁があるため日本でやるのはあまりお勧めできない。
開催風景 中国で会社をつくるにあたっては、法律が変わってきている。例えば外資の商業企業には10万元という資本金の最低限度の制限があるが、実際はこれだけではできない。また中国で会社をつくる場合、独資か合弁のどちらかになる。今は会社をつくる場合、書類が整備されていれば2ヵ月程度で営業許可書がとれる。一方、税金については個人所得税が5~45%、企業所得税、つまり法人税は25%だ。また増値税というのがあり、これは日本の消費税のようなものだ。

中国での事業におけるリスクと注意点
 次に中国で事業を進める上でのリスクと注意点だが、まず売買の中で中国側パートナーの販売網に頼ったため未回収金が多発し、回収に数年を要して相当の焦げ付きが発生したという例がある。また私自身の話だが、新規取引先で取り込み詐欺に遭った。これは300万円ぐらいの金額で結局、公安や省政府に掛け合って現物を回収できたので損はなかった。また有る会社で増値税発票を紛失し、多大なロスを招いたケースもある。更には納入材料品質クレームで、品代の10数倍に上る間接損害まで請求を受けたということもある。これについては何とか良品との交換で済ませることができたが、契約の中でそういうことまで気を配っていかなければ、何が起きるかわからないというケースもある。
 会社の設立や解散に関するトラブルでは、合弁会社で中国側の国有企業が土地を現物出資し、その後、増資しようと手続きをしたら、その土地の使用権でまだ国から譲渡手続をしていないことが判明し、過去数年間の使用料を払わされた例がある。また会社がうまく行かず、清算しようとしたところ、従業員の福利奨励基金が使途不明になっており、中国側の誰かが使い込んでいたという例もある。さらに有る合弁会社で、中国側から出た購買課長を合弁会社の購買担当に置いたが、材料コストが高く利益の出ない状態が続いたことがある。中国では特に会社の運営で購買が重要で注意を要する。おそらく8、9割にはキックバック、リベートがからんでおり、こういう悪しき習慣が国有企業時代から続いている。ここのチェックはなかなか難しいが、兆しがあれば担当替えをする、仕入先を替えるなどするしかないが相当の抵抗が出るであろう。
 また不良社員の首切りに対しては、抵抗が大きい。昨年、中国では労務紛争による訴訟が28万件あったそうだ。訴訟が増えていることには理由があり、訴えの手続が無料になったり、昨年施行された労働契約法が比較的、労働者に有利な内容のものになったためだ。これらの訴訟に時間をとられて本業ができなくなることにもなりかねないので、労務管理は重要なテーマになる。
 さらに突然の法令、通達の変更や、運用の仕方の変更といったものが未だにある。税関や商品検査、検疫機関等の担当者が替わって、従来は許可されていたことが許可されなくなるということも往々にしてある。そして取引上、特に気をつけなければいけないのは、初めての相手の場合、営業許可証のコピーをもらって会社の内容を確認するということだ。また内販での与信管理で最大のポイントは代金回収で、日本人トップが先頭に立ち代金回収に走る必要がある。
 中国の人口は13億以上で個人主義、自己主張の世界で、人に物事を譲る、教えるなどという世相ではない。また日本でも当然コネは重要であるが、中国ではコネがあるかどうかで全く対応が違ってくる。中国でももちろん法令遵守は大事だが、よく周りの情況を把握・理解して臨機応変に対応することもひとつの知恵であろう。中国の人たちに負けないよう、ぜひ中小企業の方、2代目、3代目の方にがんばっていただきたい。

(文責:貿易研修センター・講師肩書は講演当時)

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担当:総務・企画調査広報部