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IEJ2011、当初予定通り開催 | 一般財団法人 貿易研修センター 国際交流部長 福良 俊郎【配信日:2011/6/30 No.0196-0801】

配信日:2011年6月30日

IEJ2011、当初予定通り開催

一般財団法人 貿易研修センター
国際交流部長
福良 俊郎


 東日本大震災の影響で、外国人の訪日や招聘事業等の実施見送りが相次ぐ中、貿易研修センターが実施機関となっている「国際教育者招聘事業(IEJ)」は、当初予定どおりの日程で開催される。教育現場の視察などを通して現在の日本を理解したいという参加者の意欲と、「生」の日本を見てもらうために協力を惜しまないという受け入れ側の熱意が、事業実施を後押しした。


30年以上にわたる歴史
 2011年のIEJは6月26日から7月7日まで、東京、奈良、京都、広島の各地を巡るかたちで開催される。プログラムはほぼ例年どおりで、日本の教育関係者との交流、小学校における模擬授業(デモ・レッスン)、歴史的施設の訪問、文化行事の体験、一般家庭でのホームステイなどを内容としている。

 IEJの歴史は古く1970年代に遡る。当時、日本企業が米国を中心に急速に海外進出を開始し、駐在員の急増に伴って現地の公立校に英語の話せない日本人子女が増加した。各地の学校は日本人子女を温かく受け入れ、現地社会への適応を助けてくれた。このため、1975年に米国南カリフォルニアの日系企業団体(JBA)の発意で、駐在員の子女を受け入れている現地公立校等の教師や関係者に感謝を伝え、また、日本人(生徒)の文化・歴史的背景、生活環境などについての理解を促し、授業・指導に役立ててもらうことを目的に日本に招聘するプログラムが開始され、今日まで30年以上にわたり継続されている。

 当初の対象は米国の教育機関のみだったが、その後カナダ、欧州にも拡大した。日本での受け皿は当初日本貿易振興機構(ジェトロ)が担ってきたが、2008年度に当センターが業務を引き継いだ。費用の大半は派遣団体が負担している。

多くの参加者から被災へのお悔やみと励まし
 IEJの受け入れ準備は毎年年明けとともに本格化する。現場の教職員を2週間近く日本に招聘し、上述のプログラムを実施するので、実施時期は現地の学校が夏休みに入り日本の学校が休みに入る前の6月末から7月初めが望ましく、2月には招聘者を、また4月にはプログラムの大体のスケジュールを確定する必要があるためだ。言い替えれば、IEJの実施時期には制約があり、変更は困難である。

 今回、当センターの担当者が関西方面に出張し、受け入れ機関の関係者と打ち合わせを済ませて帰京した直後に震災が襲った。

 震災直後は余震や原発事故の行方など見通し難の事項が多く、事業実施の可否を判断するのは困難だった。海外での報道は被害状況が中心で、惨状にショックを受けた、あるいは放射能漏れへの不安がぬぐえない様子の参加(予定)者もあった。このため、派遣機関や参加者との密接な連絡のもと、しばらく事態の推移を見守ることとし、日本国内の受け入れ協力機関にも状況への理解を求めた。

 この間、多くの参加者からお悔やみと励ましの言葉をいただいた。中には、今年の参加は諦めるので、可能なら事業実施に必要な費用を被災地への義援金に充当してもらいたいとのコメントもあった。また、過去の参加者が勤務する学校で、生徒が募金活動を熱心におこなっているといった情報も入ってきた。

日本の実情を見てもらいたい
 海外では当初、日本全体が被害を受けたかのような報道もあったようだが、関係国政府の「渡航情報」は日を追うごとに落ち着きを取り戻していった。米国を例にとると、国務省は震災直後に日本全体への「不要不急の」旅行・観光を控えるよう勧告。一時は政府関係者による日本からの自発的退去を認めていた。しかし、4月14日付で福島第一原発から50マイル(80キロメートル)以上離れた場所、特に東京、横浜、名古屋などに特段の危険はないと判定、自発的退去承認を撤回した。本稿執筆時点でも、避難指示は原発50マイル圏内のままに維持しているが、東北自動車道や東北新幹線の利用には問題がないとし、活動規制を原発周辺に限定している(5月16日通知)。

 当センターは、派遣機関および参加予定者の意思を個別に確認・尊重したうえで、4月末に事業実施を決定した。この時点で実施可能と判断した理由は、①十分な数の参加者が確保されたこと、②国際機関や関係国政府の多くはプログラムの実施地域である東京以西について渡航の制限や自粛を勧告していないこと、③国内の受け入れ体制には震災の影響がほとんどなく事業効果が期待できること、および④震災後の日本の実情を見てもらうことに意義があると考えたためである。

 参加者は当初予定の約30人から6割減の12人となったが、全員日本の「今」を見ることに強い意欲を示している。日本滞在中に、可能であれば被災地支援のボランティア活動に参加したいとの声も聞かれる。日本側関係機関も事業を継続する意義を強く意識し、例年にも増して協力的である。

 これまでのIEJ参加者は、帰国後の報告会などで、「実際に日本の教育現場を見て、教育者や生徒と接触したことで自国における教育の参考にすることができた」との表現で成果を語っている。また、習字の授業や伝統文化の課外授業に文化活動としての意義を認めている。

 派遣機関によっては、地元の先生や保護者を招いて参加者による発表会を開催するところもある。前述の一般生徒による募金活動も、こうしたフォローアップの効果と考えられる。今年のIEJ参加者にも、震災後の日本の実像をそれぞれの口から直に自国の同僚、生徒などに伝えてもらうことを期待している。


関連ページ
平成23年度 第36回 国際教育者招聘事業

IIST e-Magazine No.0198-0809 新しい発見に満ちた旅 ~IEJプログラムに参加して~



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