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3月11日 – 英国大使館の対応 | 駐日英国大使館 貿易・対英投資ディレクター スー 木下【配信日:2011/10/31 No.0200-0816】

配信日:2011年10月31日

3月11日 - 英国大使館の対応

駐日英国大使館
貿易・対英投資ディレクター
スー 木下

 3月11日に地震と津波が日本を襲ったとき、皆の胸に真っ先に浮かんだのは、役に立ちたいという思いだった。東京の英国大使館の場合、それはイギリス人の安全を確認し、彼らが望むのであれば英国への帰国を手助けすることだった。しかしほとんどの者はそれを望まなかった。ふるさとのように思うようになっていたこの地にとどまるほうを選んだのだ。

 捜索救助隊を含む公式の政府援助を提供することも、大使館の役目だった。英国企業も一役買いたいと申し出たため、数社に協力し、救援物資を持ち込めるように輸入規則の交渉を行った。通常であれば、日本の外務省との対話といえば中東の動向や気候変動に関する協力についてだが、3月の数週間というものはカップヌードルのコンテナ貨物(!)を中心に事態が回っていた。

広報の課題
 しかし善意や実際的援助が次々と寄せられる中、日本が別の難題に直面していることがやがて明らかになった。ここで本当に起こっている真実を伝えるというPRの課題だ。これは今も継続している。英国大使館は終始一貫して、自らの役割を果たしてこの問題に対応しようと努めてきた。

 最初の頃は、放射線リスクについて慎重な科学的根拠のあるアドバイスを提供することを自らの役割としていた。英国政府主席科学顧問のジョン・ベディントン卿は生の電話対話を行い、日本のイギリス人コミュニティーではちょっとした有名人になった。彼は何が危険でどのような予防措置をとればよいかを明確に示し、不安を和らげて物事を広い視野から見られるようにした。彼のメッセージはソーシャル・メディア・ネットワークによって伝えられ、遠くはブラジルやオーストラリアのオーディエンスにも届いた。

 それでも今なお神経を尖らせる国民に対しては、放射線に関して東京はロンドンと同じように安全であり、福島の発電所周辺の立入禁止区域を除けば避難する理由はないと言い聞かせる必要がある。私たちはイギリス人に提供している旅行のアドバイスを定期的に見直し、企業に日本を訪れるよう奨励する際にはこのアドバイスを示している。

 これに関連して、損傷した原発の整理は非常に大変な仕事だが、達成可能であるというメッセージを伝える必要がある。英国の政府と企業は力を合わせ、自国の核の遺産に対処した経験を日本と分かち合うとともに、廃炉と整理のプロセスを支援している。

 事態の進展にともない、これ以外に伝えなくてはならない話が二つある。日本の復興のスピードと徹底さ、そして外国企業が来日して日本の経済再生を共有する必要である。

日本の再生と復興
 一つ目の話については、私自身7月初旬に宮城県の名取市を訪れたときにその証拠を目の当たりにした。細長い沿岸地域は更地の建設現場のように見えた。きれいに線が引かれて小区画に区切られ、山積みされた建築資材と間違えそうな大きな塊がきちんと整頓して置かれていた。しかし津波が来る前の航空写真を見れば、ここがかつて2,500世帯から成る活気あふれる地域だったことがわかる。そして山積みのものはきれいに整理された処分用廃棄物だった。粉々になった電気製品の山、めちゃめちゃに壊れた車体の山、そして屋根瓦の山。


 しかしこの光景を津波の翌日に撮影した写真と見比べたとき、私はすでにどれだけのことが成し遂げられていたのかを思い知り、身が引き締まる思いがした。道路には何の障害物もなく、神社の入り口は真新しい木材を使って再建されていた。瓦礫の大半はトラックで運び去られていた。避難所に身を寄せていた1万人の住民は、全員新しい家を与えられていた。市役所の職員は学識経験者やコンサルタントの助けを借りて震災復興のまちづくりビジョンをすでに作成し、一般市民の意見を求めているところだった。


 これほどの決意、勤勉さ、そして共通の目的意識を示せる国がいったい他にあるだろうか。これが世界に是非伝えなければならない話の一つである。

ビジネス再開
 もう一つの話は経済の回復と、世界との通常取引および投資リンクの再開を求める日本企業の意欲についてである。貿易と投資は最も有効な成長の原動力であり、これこそ日本が今まさに必要としているものだ。

 私たちはこのメッセージを広めるためにできることをしてきた。大使を含め数人の職員は英国内で講演の仕事やビジネスクリニックを行い、日本がビジネス活動を再開していることを宣言した。ポール・スミス卿は4月に私たちのためにビデオメッセージを録画し、企業に対し日本を訪れて自らの目で日本が提供する機会を見るよう強く促した。日本政府が嵐のメンバーを起用して「Visit Japan」キャンペーンを始めたのは、このことにも触発されたのではないかと思いたい――もっとも、ターゲット層は若干異なるかもしれないが。

 6月にはブリティッシュ・エアウェイズと連携し、ヒルトン・ワールドワイドおよび日産自動車からの支援を受けて「がんばれ英日本!Reassure and Rebuild」キャンペーンを開始した。ブリティッシュ・エアウェイズは50枚のビジネスクラスの往復航空券を惜しみなく提供し、ヒルトン・ワールドワイドはロンドンと東京のヒルトンホテルでの宿泊を提供して、ビジネス客が再び旅行する後押しをした。

 私たちは日本企業を対象に、英日間の貿易・投資リンクを再活性化するためのビジネス計画を立てるよう求め、このコンペの賞品として20枚のチケットを用意した。嬉しいことに多種多様な企業から130件の応募があった。受賞企業には、ロンドンに初の事務所を開設しようとしているグリー、仙台に本社を置くベビー用品の輸入販売業者リヨンリヨン、イギリスの消費者に日本酒を紹介したいというはせがわ酒店のほか、生命科学、ICT、ファッション、飲食品、美容部門の会社が選ばれた。

 受賞企業はいずれも、日本市場の強さと外国のモノやサービスに対する需要を確信しているとし、英国企業とパートナーシップを築きたいと願っていると述べた。どの企業も英国訪問という機会を利用して、自分たちの自信を英国の人々に伝えることを固く誓った。

 2011年3月11日に日本をおそった悲劇は、決して忘れてはならない。しかし、世界は次に起こることを学び、日本のエネルギー、ダイナミズム、可能性に耳を傾けることが大切だ。これらは私たち全員が伝えるべき話である。

(原文:英語)

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