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東北観光の現状と復興 | 東北観光推進機構 海外事業部 担当部長 須磨 武【配信日:2012/11/30 No.0213-0870】

配信日:2012年11月30日

東北観光の現状と復興

東北観光推進機構 海外事業部
担当部長
須磨 武


 震災後、東北観光は厳しい状況にあるが、国内外からの支援を受けながら、復興に向けた取組みの中で、「復興ツーリズム」という新しい観光が行われ始めてきている。


 当機構では、本年9月から10月にかけて2回にわたり、東北運輸局との連携により、東北観光の魅力を宣伝するとともに、震災後の復興状況や安全性を認識して頂き、海外からの観光客増加を目的として、海外の旅行会社及びメディア関係者(韓国、台湾、中国、香港、タイ、マレーシア、アメリカ、フランス)計43名を受入れ、5コースに分けて東北の観光地を視察して頂いた。中国、韓国とわが国との政治問題の影響により、両国からの参加が心配されたが、ほぼ当初の予定通り東北へいらして頂き、各国からの参加者が和気あいあいと東北観光の魅力を満喫し帰国された。

【東北観光の現状】

 東日本大震災後の観光への影響について、観光庁の「宿泊旅行統計調査」によれば、東北への宿泊者数は、被災県では復興需要が続いている。各県別の比較では、復興需要の有無により濃淡が出ており、特に観光客中心の宿泊施設で厳しい状況が続いている。
 今年の夏の東北6大まつり(青森ねぶた祭り、盛岡さんさ踊り、秋田竿灯、仙台七夕まつり、山形花笠踊り、福島わらじ祭り)では、「観光で東北を応援する」という機運が一般の方々に浸透し、入込数で869万人(対前年比102%)となった。(ただし、平成22年比は、93%)

青森ねぶた

青森ねぶた

 一方、東北への外国人宿泊者数は、全国レベルに比べ回復が遅れている。当機構の取りまとめでは、今年の1月から6月までに、外国人139,020人が東北に宿泊している。(前年対比92%、平成22年対比48%)国別では、中国19,550人(前年対比133%)、米国19,040人(前年対比163%)、タイ3,900人(前年対比244%)と増加しているのに対し、韓国19,770人(前年対比57%)、香港8,880人(前年対比65%)、台湾30,420人(前年対比79%)等と回復が遅れている。主な要因としては、震災時の原子力発電所事故による放射能に対する不安や海外メディアでの報道等による風評、円高等の影響である。
 中国については、沖縄に続き東北の被災三県への個人観光客に対し数次ビザ発給が本年7月から実施され、東北へのインバウンド効果を期待していた矢先に、日中間の政治案件が発生し、それ以降、日中の地方自治体間の相互交流事業の取りやめや地方空港での中国への定期便運航停止といった影響があり、中国からの観光客は伸び悩んでいる状況にある。
 韓国については、昨年の原子力発電所事故以降、東北への観光客が大幅に落ち込んだうえに、日韓の政治案件が発生し自治体間の友好交流事業の取りやめなど影響はあるものの、韓国の旅行会社の中には東北への観光ツアーを催行しているところもあり、徐々にではあるが回復の兆しが出始めているように感じる。
 一方、東南アジアのタイでは、経済発展やローコストキャリア(LCC)の就航などにより、中間層、若年層に海外旅行が広がってきている。また、本年6月からの日本への数次ビザ発給開始などでその流れはさらに加速していきそうな状況であり、東北へのインバウンドにおいても今後の伸びが期待できる。

【東北観光推進機構の取組み】

 当機構は平成19年6月に設立された仙台市にある団体であるが、昨年の震災直後の3月29日に東北観光ワーキンググループを東北運輸局、東日本旅客鉄道、東北経済連合会ほか、東北の観光関係者と立ち上げ、風評被害払拭のための情報発信、自粛ムード払しょくのための旅行気運の醸成、誘客・創客の支援に取り組んできている。
 海外からのインバウンド回復に向けて、海外の旅行エージェントやマスコミに正しい情報発信を行うため、震災後に職員を台北、上海、シドニー、ソウル、香港、北京に派遣し、海外から寄せられた温かい支援にお礼申し上げるとともに、地元のエージェントやマスコミに対して、風評とは違う東北の真の姿・現状を正確に丁寧に伝えるよう努めてきた。
 また、これまでに北京、香港、台北、シドニー等での旅行博ブースに出展するとともに、観光庁のプロモーション事業とも連携し、東北の魅力、安心・安全をアピールしてきている。
 震災後の海外メディア等の影響による風評が少なからずあることから、当機構では冒頭に記したとおり、海外の新聞・雑誌・テレビ関係者、ブロガー等を東北に招へいし観光地等を視察して頂き、正確な情報発信を図っている。

【復興ツーリズム】

 東北の被災地では、従来の観光とは一味違った「復興ツーリズム」が行われ始めている。国内外から多くのボランティアや支援要員の方々が被災地で様々な活動を行って頂いているが、被災地に入り、その状況を見て支援して頂くとともに、周辺の観光地も旅行し楽しんで頂くというものである。
 こうした被災地の視察やボランティア活動は教育効果も期待されることから、中学・高校などの修学旅行で被災地を訪れる取組みも行われている。当機構においては、首都圏などの学校関係者やエージェントに対し教育旅行についてのセミナーを開催したり、東北に招請し、語り部による震災体験や防災意識を高める教育プログラム紹介などを行っている。

 東北には震災直後から国内外のボランティアなど多くの方々のご支援を頂き、また、昨年10月末に福島市でアジアのスーパーモデルによるビューティショーを開催して頂いたり、多くのアーティストが被災地を訪れ活動するなど日本、そして東北に心を寄せる方々のご厚意による自発的な取組み・活動を通して、東北に勇気を頂き、少しずつ復興に向けて取組んでいるところである。東北の観光は厳しい状況にあるが、東北の自然、歴史、文化、食、温泉、そして人を愛する方々のご声援に応えるためにも、今後も東北の魅力を正確に伝えアピールしていくよう努めてまいりたい。

海外旅行エージェント招へい震災プログラム(宮城県気仙沼市)

海外旅行エージェント招へい震災プログラム(宮城県気仙沼市)

海外向け宣伝映像撮影(秋田県角館武家屋敷)

海外向け宣伝映像撮影(秋田県角館武家屋敷)


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