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大震災から2年を経た東北経済 ~復興速度差が広がり、課題は多様化~ | 経済産業省 東北経済産業局 局長 山田 尚義【配信日:2013/03/29 No.0217-0885】

配信日:2013年3月29日

大震災から2年を経た東北経済 ~復興速度差が広がり、課題は多様化~

経済産業省 東北経済産業局
局長
山田 尚義


 東北経済は震災による落ち込みから徐々に回復しており、全体で見れば、復興は着実に進展しています。復旧・復興の進捗度に地域差が生じ、抱える課題や施策ニーズも多様化しつつあると考えています。今後は、これまで取り組んできた施策に加え多様な施策メニューを用意し、地域の実情に応じたきめ細かな対応を図るとともに、東北経済全体の発展を促進してまいります。


 東北地方から関東地方までの広範囲にわたる未曾有の大災害となり、特に津波により太平洋沿岸部へ甚大な被害をもたらした東日本大震災から2年が経過しました。
 政府はこの間、がれき処理、復興計画策定、インフラ整備などを進めました。産業振興に関する分野では、4次にわたる補正予算を組み、「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」(グループ補助金)の制度化、中小企業基盤整備機構における仮設工場・仮設店舗等の無償提供制度導入、二重ローン対策として産業復興機構等による債権買取仕組みの導入等といった復旧・復興支援事業を確実に進めてきました。また、福島原発周辺地域に対しては、ふくしま産業復興企業立地補助金、風評被害対策の一環としての放射線量検査補助、グループ補助金等に重点を置いた施策を展開しました。

 関係者の大きな努力により震災からの復興は着実に進み、東北経済は震災直後の大きな落ち込みから徐々に回復し、全体で見れば、復興は着実に進展しています。マクロデータでみると、東北地域の鉱工業生産指数は、震災直前の平成23年2月において全国(98.5)を上回る99.7から、震災時の平成23年3月に全国(82.5)に比べ64.2と大きく落ち込みましたが、1年後の平成24年3月には全国と同じ水準まで回復しました。その後、円高や欧州経済の不審等の影響があったものの、約2年が経過した平成25年1月には、88.3(全国89.7)と順調に推移しています。(下図参照)

鉱工業生産指数(推移)  個人消費については、大型小売店販売額が震災時の平成23年3月が前年比で▲22.4(全店舗ベース)と大幅に低下したが、それ以降、復興需要に支えられ、平成23年5月から14か月連続で前年比を上回り、その後も堅調に推移しています。雇用については、有効求人倍率が平成23年2月:0.51、震災時の平成23年3月:0.49が平成24年12月には全国と同じ0.72となり、1月から13か月連続で全国を上回っています。
 このほか国直轄の河川対策(堤防)や国道、港湾など、産業振興に直結する基幹公共インフラは、計画に対して進捗率95%を超えています(復興庁HPから)。

 格闘を続ける被災地、被災企業の中でも成果を上げ始めたものがあります。事業を再開できた企業のうち約3割は売上げが戻っています。東北経済産業局が平成24年9月に調べたグループ補助金交付先の売上げ状況を見ると、手ひどい被害を受けた水産・食品加工業の中でも、6.5%の企業は震災前より売上げが増加しており、復興需要を享受する建設業の場合は、54.2%が売上げを増加させています。(下図参照)

業種別売上状況  同じ「被災地」という言葉で括られてしまう地域の中でも、被害の大きさや地域の産業構造等によって、復興の進捗度に地域差がありました。平成24年経済センサス-活動調査による市町村別事業所数・従業者数の動きを見ると、震災前に比べ50%以上減少している地域がある一方、事業再開や地域の復興が急速に進んだ結果、震災前に比べてそれらがあまり減少していない地域もあります。(:656KB)

 被災から2年を経て、地域が抱える課題は復興への段階に応じて変化し、それに併せて、施策ニーズも多様化しつつあると考えています。
 多岐にわたる課題の中でも、地域再生にとってエネルギーとも言うべき重要な役割を果たすのが地域産業の復興です。東北経済産業局はこれまで、産業復旧の基礎となる、企業活動の継続や事業再開を支援することに重点を置いた取り組みを行ってまいりました。今後はこれら施策を着実に実施するとともに、地域によっては復興段階の取り組みが本格的に始まることを踏まえ、その段階で必要と考えられる企業の事業展開、企業誘致や工場用地整備の支援、建設資材不足への対応等多様な施策メニューを用意し、地域の実情に応じたきめ細かな対応を図っていきます。

 また、今回の震災及び、それに伴う原子力発電所事故による避難者の多くは、東北域内に避難しています。

東北域内に留まった避難者  被災地の復興は東北全体で支えていくことが必要であり、東北全体の経済発展なくして被災地の復興なしと言っても過言ではありません。そしてその鍵は、自動車産業集積の拡大、企業や地域のイノベーションが活発になる環境の整備、地域資源の有効活用などにあると考えています。国も様々な施策を活用して東北経済全体の発展に取り組みます。

 最後に、東北の魅力について改めてPRしたいと思います。
東北といえば「人財」と言われます。こつこつと仕事に打ち込む東北人に惹かれて立地する企業が多く、東北6県の平成24年3月新規学卒者(高校)の県外就職率が全国平均を上回っているなど、東北で優れた人材を安定的に確保できる状況が続いています。
 暮らしやすい気候と豊かな自然も著名です。平均気温(過去30年間の平均。以下同じ。)は、主要都市(東京・名古屋・大阪)に比べ3.4~4.5℃涼しく、8月の最高気温は27℃台です。高い持ち家率や短時間の通勤・通学環境も整っており、自治体のサポートもしっかりしています。
 1月の最低気温は-1.7℃ですが、交通・物流の重要なファクターである道路の雪対策として支障を生じさせない除雪体制も整えています。例えば、高速自動車道の平成23年11月から4ヶ月間の通行止め割合は、雪起因0.4%、交通事故起因0.2%。一般国道は、5~10cm程度の降雪量で除雪するほか、路面凍結が予想される朝・夕には凍結抑制剤を散布しています。
 国内外とのアクセスも良好です。国内外の主要都市と豊富な定期航空路・航路を持ち、我が国の重要拠点の一つとなっています。また、国内立地選定理由に、本社・他の自社工場や関連企業、市場への近接性が多く挙げられています。
 東北での事業展開は、自社の発展と東北復興への貢献の双方に繋がるものと確信しています。東北へのお越しをお待ちしています
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