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宮城県産業の早期再生と富県宮城の実現に向けて | 宮城県 経済商工観光部 部長 犬飼 章【配信日:2013/05/31 No.0219-0891】

配信日:2013年5月31日

宮城県産業の早期再生と富県宮城の実現に向けて

宮城県 経済商工観光部 部長
犬飼 章


 早期の産業再生に向けて、我が県の産業の現状を十分に踏まえながら計画的に施策を展開し、「富県宮城の実現」につなげていきます。


 宮城県は、東日本大震災の巨大地震と巨大津波によって1万人を超える死者・行方不明者が発生し、沿岸部の広範囲にわたり9兆円を超える未曾有の被害を受けました。
 震災から2年2か月余りが経過した現在、国内外の多くの皆様からのご支援と数え切れない励ましの言葉に支えられ、復旧・復興に向けた県民一丸となった懸命な取組により、津波被災地の一部を除き、公共インフラなどは震災前の姿を取り戻しつつあり、また、県内経済も緩やかに回復しております。
 津波被災地においても、膨大な量の震災がれきの処理に一定の目処がついたのをはじめ、災害公営住宅の整備や防災集団移転促進事業といった新たなまちづくりに向けた槌音も徐々に響き始めるなど、復興に向けた動きは着実に進展しています。これまで皆様から賜りましたご支援に改めまして深く感謝申し上げます。

 しかし、壊滅的な被害を受けた沿岸部では、未だに10万人以上の方々が応急仮設住宅での不自由な生活を強いられ、県外避難者も8千人を数えています。

 また、県内の商工業や観光、雇用分野に目を転じると、沿岸部では大規模な地盤沈下により土地の嵩上げが大幅に遅れているなど、震災復興計画を策定した当初には想定していなかった事態により、沿岸部を中心とした事業者の事業再開や商店街復興に遅れが生じており、さらには販路の喪失や長期化する風評被害の影響等により、本県産業は極めて厳しい状況に直面しています。

 例えば、県内の事業者の営業再開状況をみると、内陸部が96.5%であるのに対し、沿岸部では78.1%にとどまっており、沿岸部と内陸部の地域間格差が発生しています(平成25年3月末現在)。
 また、中小企業等復旧・復興支援事業費補助金(グループ補助金)では、平成25年3月までの間に179グループ、3、470事業者に約2、207億円の交付を決定していますが、地盤嵩上げ等の遅れにより、補助金による事業の進捗率は、平成25年3月末の時点で、平成23年度交付決定分が約78%、平成24年度交付決定分が約21%に止まっております。
 さらに、被災地における事業者数の減少も顕著で、平成21年に6、016であった県内製造業の事業所数は、平成24年には5、161まで減少しています。

 雇用分野では、有効求人倍率は、平成25年3月時点で、全県で1.29倍、石巻、気仙沼でも1倍を超えていますが、沿岸部を中心に賃金や雇用形態等の雇用条件の不一致により生じるミスマッチに加え、業種・職種間のミスマッチや被災地特有のミスマッチが生じております。

 県の震災復興計画では、10年間の計画期間を「復旧期」、「再生期」、「発展期」に区分していますが、その中では、産業復興を大きな柱の一つと位置付けています。平成25年度は、「復旧期」の最終年度に当たりますが、先に記したとおり、沿岸部の産業復興については、インフラ整備が進んでいないことなどにより、大きく遅れているのが現実です。

 このため、県では、商工業、観光、雇用分野について、3年後(平成27年度末)までに目指すべき姿を設定し、産業再生を加速させるため、計画的に取り組むこととしました。

<目指すべき姿>
1 ものづくり・商業
• 沿岸部を中心とする被災事業者の完全復旧、新たな雇用の創出に向けた企業立地の実現と県内企業の生産水準の回復を目指す。
• 沿岸部の復興まちづくりの進捗状況に合わせ、地域住民の生活の利便性と地域コミュニティを支える商店街の再形成を目指す。
• 本県産業を担う企業ニーズに合致した多様な人材育成を図り、早期復興に資する人材の確保を目指す。

2 観光
 風評の早期払拭と多様な魅力を持つ宮城の観光の再生を実現し、定住人口が減少する中、観光客の誘致により交流人口の拡大を図り、地域経済の活性化を目指す。

3 雇用
 被災者の生活安定のため、雇用の維持・短期的な雇用の確保と安定的な雇用の実現を目指す。

 県では、震災前から、産業振興により県経済の成長を図る「富県宮城の実現」を掲げ、第一次産業から第三次産業までバランスのとれた産業構造を目指し、宮城県の弱点であった第二次産業(製造業)の集積を補うため、国内外からの企業誘致と県内企業の育成による製造業の集積促進(富県戦略)を進めてきました。
 震災復興においても、被災事業者への復旧支援に取り組む一方で、本県が将来にわたって持続的に発展していくため、富県戦略を推進し、企業誘致と地元企業の発展を一体として、更なる産業の集積を図っていかなければなりません。

 このため、県では、復興特区制度として、平成28年(2016年)3月末までの期間、思い切った税制上の優遇策が講じられたのを受け、被災自治体としていち早く復興推進計画の認定を受け、県独自の企業立地奨励金や低利貸付金等の制度を活用しながら、国内外からの企業誘致活動を積極的に展開しております。さらに産学官連携による県内企業の技術向上・競争力強化や商談会開催等による販路開拓・取引拡大への支援等に取り組みを進め、地域経済の活性化につなげていきたいと考えております。
 宮城県では、震災前にトヨタ自動車関連企業による自動車製造工場や、東京エレクトロンの半導体製造装置の工場立地が決定し、震災後にそれぞれ稼働しました。企業誘致に当たっては、これら自動車や高度電子機械の関連産業をはじめ、地元で強みを持ちながら震災で大きなダメージを受けた食品、木材、船舶関連産業、さらには次代を担う新たな産業である医療・健康、クリーンエネルギー、航空宇宙の関連産業の集積・振興に集中的に取り組んでおります。

 また、県では、新たな制度設計や思い切った手法を取り入れた取組も行っております。その一つが、仙台空港の民間運営委託を契機とした空港周辺地域の活性化に向けた取組です。

復興のシンボルとして民間運営委託を契機とする周辺地域の活性化を目指す仙台空港

復興のシンボルとして民間運営委託を契機とする周辺地域の活性化を目指す仙台空港

 震災で壊滅的な被害を受けた仙台空港とその周辺地域を、国内外からヒト、モノ、資金を引きつける「グローバルゲートウェイ」として再構築することが、復興のシンボルとして、本県復興の息吹の発信につながることから、国の空港経営改革の動きと合わせて、知事が先頭に立って取り組んでおります。

 今年度は、民営化に向けた関係機関への説明や調整のほか、「仙台空港600万人・5万トン実現サポーター会議」を開催し、仙台空港の民間運営委託に向け機運の醸成を図ってまいります。

DCのマスコットキャラクター『むすび丸』とロゴ

DCのマスコットキャラクター
『むすび丸』とロゴ

 また、今年4月から、JR東日本と連携した大型観光キャンペーン「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」を開催しています。宮城の代表的食材であるお米と海苔で作った「おにぎり」をモチーフにした「むすび丸」をマスコットキャラクターに、6月末まで、県内各地でさまざまな観光イベントが行われます。観光は、第一次から第二次、第三次産業までが幅広く関わる総合産業として、経済波及効果や雇用効果の大きい産業分野であり、市町村や関係団体、そして地域の皆様とともに、観光を核とした地域づくりを産業の枠を超えて一丸となって推進し、このキャンペーンを成功に導きながら観光の再生を進め、「観光王国みやぎ」の実現に繋げてまいりたいと考えております。

 国内外から宮城県を訪れる観光客の皆様に、笑顔で、宮城県の魅力、そして、復興支援への感謝の気持ちをお伝えすることがテーマです。是非この機会に宮城県に足を運んでいただき、被災地の今の姿、宮城県全体の姿をご覧いただければ幸いです。

 宮城県の早期の産業復興、そして富県宮城の実現に向けまして、今後も全力で取り組んでまいりますので、皆様の一層のご理解とご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

仙台・宮城の観光情報
仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会公式サイト:
http://www.sendaimiyagidc.jp

企業立地ガイド:
http://www.pref.miyagi.jp/sanritu/ritchi_guide/index.html

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