| 最新号 |この記事のカテゴリー: 経済政策 |
IIST e-Magazineのバックナンバー:| カテゴリー検索 | キーワード検索 | |
2010年度以前 (IIST ワールドフォーラムメールマガジン) のバックナンバー:| キーワード検索 | 時系列検索 |

  • このエントリーをはてなブックマークに追加


IIST e-Magazine (本記事の英語版はこちら)

平成26年版通商白書(前編)~新たな成長モデルへの転換を目指す世界と日本~ | 経済産業省 通商政策局 企画調査室【配信日:2014/09/30 No.0235-0942】

配信日:2014年9月30日

平成26年版通商白書(前編)
~新たな成長モデルへの転換を目指す世界と日本~

経済産業省 通商政策局 企画調査室


 「通商白書」は、我が国の対外経済政策に関する年次報告書として1949年に発行が開始され、今年で66回目の発行となる。
 通商白書2014では、世界経済の安定的な成長のためには、構造改革や成長戦略の重要性が増しているとの認識のもと、欧州、米国、中国、ASEAN等主要国における成長戦略・構造改革や経済構造の変化を分析した。加えて、我が国及び東アジアにおける貿易投資状況の分析も行った。その上で、我が国の国内外のビジネス環境の整備に資する政策としての国際展開戦略について述べている。本稿では、このうち、我が国及び東アジアにおける貿易投資状況の分析及び国際展開戦略について概要を示す。


我が国の貿易・投資動向
 2013年の我が国の貿易収支は、11.5兆円の赤字と過去最大の赤字となった。輸出額は3年ぶりに増加したものの、火力発電用の化石燃料の輸入額増や好調な内需等を背景に輸入額が4年連続で増加したことによる。
 2013年の輸出動向についてみてみよう。2012年11年以降、為替が円安方向に推移する中、輸出数量の増加は弱めの動きにとどまった。この背景として、新興国の需要が減速したことや、円安後も企業による違いはあるものの企業が価格をあまり引き下げなかったことなどが指摘されている。
 このような企業の輸出価格の設定動向について2014年1月に行われたアンケート調査を元に明らかにする。2012年11月以降為替が円安方向に推移する中、(1)円建てでの輸出価格は引き下げないものの、現地通貨ベースでは安く評価されること、(2)現地通貨ベースでの価格を引き下げたことにより、輸出数量が増加したと回答した企業は一定程度存在する。一方で、価格改定を行っていない企業も多くあり、アンケートに回答した企業のうち8割以上が現時点では価格を引き下げる予定はないとしている。価格改定に慎重な理由として、現時点では「価格を引き下げても売上増加が見込めない」、「価格改定は製品のモデルチェンジ等の際に行っているが当面はその予定がない」等を挙げている。こうした価格設定方針も背景となって、2013年の輸出数量の増加が弱めの動きとなったと考えられる(第1図)。

第1図 輸出価格の引き下げを行う予定がない理由 (208KB)

 次に、ここ数年の貿易構造の変化について見ていく。貿易構造の変化を、2005年、2010年、2013年の品目別収支から確認すると、鉱物性燃料における赤字幅が大幅に増加する一方で、一般機械、電気機器などで黒字幅が縮小していることが指摘できる(第2図)。

第2図 主要品目別貿易収支の比較(2005、2010、2013年) (244KB)

 続いて貿易動向の変化を、輸出競争力の変化という観点から貿易特化係数を用いて見てみよう。貿易特化係数は各産業がどれだけ輸出に特化しているかを示す指標で、貿易黒字額(輸出-輸入)/貿易総額(輸出+輸入)で表される。白書においては乗用車(HS803)、自動車部品(HS8708)、一般機械(HS80)、電気機器(HS85)、精密機器(HS90)、鉄鋼(HS72)について、日本、ドイツ、韓国、中国の貿易特化係数及び輸出額の対前年伸び率の推移を示した。本稿では一例として、一般機械(第3図)と電気機器(第4図)についてグラフを示す。2000年、2005年、2010年及び2013年の動きを見ると、一般機械については、中国の貿易特化係数がプラスに転じている。これはパソコンの輸出増加が大きく寄与している。電気機器についても中国の貿易特化係数がプラスとなり、輸出額も大きく増大している。中国や韓国の成長の影響等もあり、輸出競争力について相対的な優位性が低下していることが示されているといえよう。
 最後に我が国の経常収支について簡単に述べる。2013年の経常収支は、1985年以降で過去最小の黒字となった。サービス収支は赤字幅が縮小し、第一次所得収支は黒字幅を拡大したものの、貿易収支の赤字幅が拡大したことによる。サービス収支に含まれる知的財産権等使用料及び第一次所得収支(旧所得収支)の増加は我が国の海外事業活動の拡大によってもたらされている。

第3図 日本、ドイツ、韓国、中国の一般機械(HS84)の貿易特化係数・輸出額伸び率(前年比)、輸出額の推移 (248KB)

第4図 日本、ドイツ、韓国、中国の電気機器(HS85)の貿易特化係数・輸出額伸び率(前年比)、輸出額の推移 (246KB)

 次回は、東アジアにおける貿易投資の深化、我が国企業と東アジアの関わり及び我が国の国際展開戦略について述べる。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
(本記事の英語版はこちら)


| 最新号 |この記事のカテゴリー: 経済政策 |
IIST e-Magazineのバックナンバー:| カテゴリー検索 | キーワード検索 | |
2010年度以前 (IIST ワールドフォーラムメールマガジン) のバックナンバー:| キーワード検索 | 時系列検索 |