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平成26年版通商白書(後編)~新たな成長モデルへの転換を目指す世界と日本~ | 経済産業省 通商政策局 企画調査室【配信日:2014/10/31 No.0236-0946】

配信日:2014年10月31日

平成26年版通商白書(後編)
~新たな成長モデルへの転換を目指す世界と日本~

経済産業省 通商政策局 企画調査室

東アジアにおける貿易投資の深化及び我が国企業と東アジアの関わり

1. 東アジアにおける貿易投資の深化
 東アジアと世界主要地域との貿易フローを俯瞰すると、東アジアは国際的な生産分業が発達し、東アジア域内の貿易では中間財の比率が高く、欧米向けには最終財の比率が高い(第1図)。これは、東アジアの中で、日本・韓国から中間財が中国・ASEANに輸出されるとともに、ASEAN域内、中国・ASEAN間においても相互に中間財が輸出され、組み立てられた最終財が中国・ASEANから欧米へ輸出されることを示唆している。2000年から2012年の変化を見ると、貿易額が拡大し、特に中国の貿易額が大きく増加している。

第1図 東アジアと世界の主要地域との貿易フロー(2012年) (292KB)

 次に、以上に述べた貿易構造の元でどのような変化があるか、東アジアの最終財(消費財及び資本財)の輸出先の推移を見ていく。消費財については、米国、EU向けともリーマン・ショック直後の2009年は輸出額が落ち込んだが、2010年以降は回復に向かい、特に東アジア向けが大きく上昇している(第2図)。輸出先の地域シェアを見ると、東アジアのシェアが上昇している。資本財については、東アジア向けの輸出額は、1990年代から米国、EU向けをおおむね上回り、2000年代以降、伸びが大きくなっている。特に中国、ASEAN向けが大きい(第3図)。このように、最終財輸出における東アジアのシェアは緩やかではあるが上昇しており、域内の需要に基づく経済圏に向けた動きが見られる。

第2図 東アジアの相手別輸出の推移(消費財/金額) (255KB)

第3図 東アジアの相手別輸出の推移(資本財/金額) (255KB)

2. 我が国企業と東アジアの関わり
 我が国の長期的な直接投資の推移を見ると、1980年代後半に大きく増大している。2005年以降の業種別残高の推移を見ると、製造業、非製造業共に拡大しているが、非製造業の伸びが高い。近年は、特に金融・保険、卸・小売、鉱業、通信等が拡大している。このような海外展開に伴って、我が国企業の稼ぎ方にも変化が生じている。貿易の面では、北米等への輸出に加えて、東アジアの国際的な生産分業に向けての中間財輸出が大きく拡大し、貿易以外の面では海外現地法人の生産活動とそれに伴う配当金(国際収支上は、所得収支に区分される)やロイヤリティ収入(国際収支上は、サービス収支に区分される)が拡大してきている。その動向を、日系現地法人の統計を元に詳細に見てみよう。
 まず日系海外現地法人の立地地域については、アジアのシェアが上昇しており、2012年度には6割を超える。特に中国のシェア拡大が大きい。売上高としても、アジアが最大で約45%を占める。このような活動を通じて得られた利益から、日本の出資者に対して配当金が支払われる。また本社の技術やブランドなどを利用する場合には、ロイヤリティが送金される。配当やロイヤリティの支払額は増加の傾向にある(第4図)。業種別に見ると製造業の割合が高い(第5図)。

第4図 日系製造業現地法人(製造業)の日本出資者向け支払の推移 (186KB)

第5図 日系現地法人の日本出資者向け支払 (186KB)

 続いて日系製造業の調達、生産等の活動を見てみると、東アジアにおける生産は現地調達率が上がるものの、日本からの輸出額は減少していない(第6図)。一方で、現地販売比率は増大し、アジアにおける研究開発比率も2012年度には北米のそれを上回るなど、我が国企業のアジアにおける事業活動は深化している。

第6図 日系アジア現地法人(製造業)の調達先 (288KB)

 ここまで、我が国企業の事業活動について明らかにしてきたが、次にこれらの事業活動や我が国の政策が東アジアにおいて果たしうる役割について述べる。通商白書本文においては、中国及びASEANにおける新たな成長モデルの模索について述べた。このような成長モデルの転換においては、現地における裾野産業の育成、地場企業の能力強化のための高度人材育成、ハード・ソフトインフラ整備の促進、非関税障壁の撤廃による取引コストの低減等、企業の活力をいかすための事業環境整備を進めることが重要な役割を果たす。先に述べた我が国企業のアジアにおける事業展開の深化は、技術、ビジネスモデルやノウハウを提供するかたちで事業環境整備に貢献するとともに、高度化する消費者のニーズにも応えることができると考えられる。

我が国の国際展開のあり方について
 我が国の貿易収支が3年連続で赤字を計上し、経常収支の黒字幅が縮小する中、我が国産業の競争力強化に向けて国内外のビジネス環境整備がますます重要となっている。この観点から、(1)経済連携の推進、(2)新興国等への戦略的な取組、(3)海外の優れた人材・企業の呼び込みの3本柱からなる国際展開戦略について述べる。

1. 経済連携の推進
 自由貿易の拡大、経済連携の推進は、日本の通商政策の柱であり、特にこれからは、TPP、RCEP(アールセップ)、日中韓FTA、日EU・EPA等の広域的EPAを推進し、世界に「経済連携の網」を張り巡らせることで、アジア太平洋地域の成長や大市場を取り込んでいくことが、日本の成長にとって不可欠といえる。「日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)」においても、「FTA比率(貿易額に占めるFTA相手国の割合)を現在の19%から、2018年までに70%に高める」ことを決定しており、引き続き交渉を進めている。

2. 新興国等への戦略的な取組
 新興国の需要の獲得は、我が国企業が世界で拡大する需要を捕捉して我が国に富を還流するため、また、我が国からの製品輸出・部素材調達を促進する基盤づくりのために必要である。
 それに当たり、2013年から、経済発展度合い、我が国企業の進出状況、他国企業との競争環境を踏まえ、新興国を3つのグループ(「中国・ASEAN」、「南西アジア、中東、ロシア、中南米」、「アフリカ」)に分類した上で、各地域において取組を進めている。

3. 海外の優れた人材・企業の取り込み
 世界各国の外国企業誘致競争が激化する中、諸外国と比べ後れをとっている対内直接投資を活性化させることは、新たな刺激によるオープンイノベーションの推進につながり、また、地域経済活性化の観点からも重要である。
 そのため、「対日直接投資推進会議」を司令塔とし、外国企業からの意見を踏まえた規制・制度改革、ジェトロ、在外公館や先進的な地方自治体とも連携した誘致活動を展開する。
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