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連載 キーワードで知る日本 「再生可能エネルギー買い取り制度」 【配信日:2014/11/28 No.0237-0953】

配信日:2014年11月28日

連載 キーワードで知る日本
「再生可能エネルギー買い取り制度」

 太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーでつくった電気の買い取りを大手電力会社に義務付けている制度。購入費用は電気料金に上乗せされるため、結果的に国民が負担している。東京電力福島第1原発事故を教訓に、原発依存の見直し機運が高まる中、再生エネの早期普及を目指して2012年7月に導入された。

 再生エネの発電事業者は、用地確保や施設の計画をチェックされ、政府認定を受ける。その上で、電力会社に送電網への接続を申し込むが、この時点で約束された買い取り価格が最長20年間維持される。基準となる買い取り価格は政府が毎年度見直すが、発電コストを勘案し、発電事業者が一定の利益を得られる水準に設定している。

 発電事業者に有利な仕組みになっているのには理由がある。太陽光、風力、地熱といった再生エネは、気象条件など環境の変化で発電量が変動するため、ビジネスとして採算が取れるかどうかの判断が難しい。しかし、発電した電気を固定価格で確実に買い取ってもらえる保証があれば事業計画を立てやすく、参入への呼び水になる。

 その思惑通りに、ゼネコンや通信会社など、業態の区別なく大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設ブームが起き、再生エネ導入に弾みがついた。半面、買い取り価格が相対的に高い太陽光に偏る形で事業者が急増。買い取り価格は、太陽光パネルなど設備の価格下落を反映して徐々に引き下げられるため、年度末に駆け込み申請が殺到する事態も起きた。

 その結果、制度開始からわずか2年で、一部の電力会社では供給量を大幅に上回る買い取り申請が寄せられ始めた。送配電網の容量を超える電力が一気に集まると、大規模停電など不測の事態が起きる恐れがあるとして、東北電力や九州電力など大手電力5社が新規受け入れを中断した。

 これに慌てたのが、再生エネ発電への参入を目指していた事業者だ。受け入れ中断を決めた電力各社は、経済産業省からの「丁寧な説明を」との要請を受けて、管内各地で事業者向け説明会を開催。多くの会場では参加者が定員を上回り、「なぜもっと早く説明しなかったのか」「突然の中断は理解できない」などと不満の声が上がった。

 なかでも原発事故で甚大な被害を受けた福島県は、再生エネの普及を復興の大きな柱に据えており、不安を募らせた。10月初め、任期満了を1カ月後に控えた佐藤雄平知事(当時)が、経産省で小渕優子経産相(同)と会談。電力会社に対して受け入れ再開を促すよう強く要請した。

 事態打開を図るため、経産省は総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会で、改善策の検討に乗り出した。まず、5人の学識経験者で構成する作業部会を設置。現行制度の下で電力会社の受け入れ量を拡大できないかどうか、技術的な検証作業に入った。

 並行して制度の見直しにも着手。政府認定の一時停止や、太陽光に比べて発電量が安定している地熱や小型水力の優先的受け入れを検討する。また、認定を受けても資金不足で発電を始めない業者や、用地転売を目的に認定を受けただけの「悪質事業者」を排除する条件の整備も進める。

 電力会社への接続申請時に決まる買い取り価格については、太陽光パネルの値下がりを待って施設を建設すれば利幅が増えるため、事業者が発電開始を渋る一因になっている。このため、価格決定を申請時から発電開始時に変更することや、価格自体の大幅引き下げなども議論する。経産省は年末までに結論を取りまとめる方針だ。

この記事は専門のジャーナリストに執筆をお願いしています。
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