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IIST 東北インダストリアルツアー(2014年9月30日~10月2日)に参加して | ドイツ連邦共和国大使館 経済担当公使参事官 シュテファン・グラープヘア【配信日:2014/11/28 No.0237-0954】

配信日:2014年11月28日

IIST 東北インダストリアルツアー(2014年9月30日~10月2日)に参加して

ドイツ連邦共和国大使館 経済担当公使参事官
シュテファン・グラープヘア

 私はこの夏から在京ドイツ大使館で経済科学部長として勤務しています。貿易研修センター(IIST)主催によるこのツアーは、私にとって首都圏以外の日本について、また2011年に起きた恐るべき大震災後の東北地方の復興状況について知る初めての機会でした。他国の外交官と共に参加できたこのツアーは貴重な経験で、今後の日本での職務に大変役に立つ新たな知見を多く得ることができました。

 私達参加者はツアーの最初に、緩やかながら継続的に回復している東北地方の経済状況に関するブリーフィングを受けました。いかに地元の人々が努力を惜しまず自信をもって将来を見据え、企業が市場でチャンスを再び掴もうと努めているかということに感銘を受けました。

 ツアーを企画されたIISTの皆様の多大なるご尽力により、3日間のツアー中に訪問する企業は非常に入念に、そしてバランス良く選び抜かれていました。1日目は盛岡セイコー工業の最先端工場を訪問しました。この工場では、最高水準のテクノロジーと職人技が駆使され、精巧さを極める熟練技師の手により製造される時計は、まさに匠の逸品です。他方ムーブメントの製造には、非常に複雑な工程を処理する最先端の機械が投入されていました。次の訪問先では日本の伝統工芸品である南部鉄瓶の製造現場を視察しました。南部鐵器製造メーカー岩鋳の各製造工程では、多くの職人が一部簡単な道具を使って象徴的な形の鐵器を作っていました。国外での販売も増えており、色彩をより多様にして更に多くの海外顧客の開拓を目指しているようです。

 次に、達増拓也 岩手県知事を訪問しました。外務省勤務の経歴もある知事は、東北地方が直面する政治課題について説明してくださいました。東北では再生可能エネルギーの導入が強く推進され、重要な政治目標として掲げられている事実は、私にとって非常に興味深いことでした。

 一日目は素晴らしいレセプションで幕を閉じましたが、各界の代表の方々との会話の機会を多く持つことができ、その日に得た知見を更に深めることができました。もちろん多彩で美味しい郷土料理のビュッフェや民族舞踊も楽しみました。

 2日目のテーマは鉱業の現状と課題でした。鉱業地域が構造転換に直面しているのはドイツでも同様ですが、これには行政のサポートと、新たなビジネスモデルのチャンスと捉える企業の認識が必要です。そのことからも小坂町の取り組みは印象深いものでした。まず私達は、金属鉱業研修技術センターより、日本だけではなく世界の鉱業に関する包括的な見解と深い経験に基づいた説明を受けました。また、小坂の国際資源大学校で知識を深めている海外からの留学・研修生と非常に有意義な交流も行いました。小坂製錬株式会社を視察した際には、金の延べ棒を手にしながら、「リサイクル」の意味や巨大なビジネスチャンスに繋がる可能性にあらためて気づかされました。主に米国から購入する携帯電話やパソコンといった使用済家電製品から、貴金属や他の価値ある資源が得られるのです。このような新たな鉱業のビジネスモデルは「都市鉱山」と呼ばれ、成果を収めています。

 私達の最後の訪問先は弘前でした。この地域は、私が東京のスーパーで見つけて感動した真っ赤な大玉のりんごの生産地であると知りました。非常に美しい景色が広がっていました。弘前の葛西憲之市長は心のこもった盛大なおもてなしで歓待してくださいました。「スカイバンケット」での夜のレセプションや、60種1300本以上のりんごの木が目の前に広がる弘前市りんご園での昼食会は交流やネットワーク作りに役立ちました。

 弘前でも伝統と巧みな職人技を兼ね備える企業を2社訪問しました。ブナコ株式会社は、ブナの木を使った家具やインテリアの製造において、モダンなデザインと高品質の両者を追求しています。会社の社長が工房を案内された際に、私達自身が、薄く帯状にプレスされたブナ木材から器や椀を試しに作ってみるよう言って下さったのは、嬉しいサプライズでした。私達のグループにはすぐにでも会社に雇ってもらえそうな天性の才能がある人もいましたが、大半は本来の職業が外交官で良かったと安堵していました。というのも、密に重ねたブナの木材から短時間で見栄えのするものを作るのは、全く容易ではなかったからです。同様に包丁や刀を作るのにも長年の経験と職人技が必要だということを、最後に訪問した二唐刃物鍛造所の真のものづくりを通じて学びました。

 IISTの皆様には、素晴らしいスタディツアーを企画頂いたことを、深く感謝いたします。大きな経験と伝統を財産として活かし、経済的にも発展し続けている東北の姿を、参加者全員が深く胸に焼き付けることができました。


(原文:ドイツ語、 (116KB))


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