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連載 キーワードで知る日本 「産業競争力強化法」 【配信日:2015/01/30 No.0238-239-0958】

配信日:2015年1月30日

連載 キーワードで知る日本
「産業競争力強化法」

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の第3の矢である成長戦略に盛り込んだ施策を実行するための法制面での裏付けとなる法律で、2014年1月20日に施行された。日本経済の活性化を妨げる要因として「過剰規制」「過小投資」「過当競争」の3点を挙げ、規制改革の推進と産業の新陳代謝の促進を通じてその是正を目指している点が特徴。政府は同法に盛り込まれた事業再編を促す仕組みを使い、出光興産による昭和シェル石油買収交渉など石油業界再編の背中を押した。
 産業競争力強化法では、事業再編を円滑に進めるために、政府が必要に応じて特定の事業分野について過剰供給構造に陥っていないか調査する権限を認めている。
 経済産業省は2014年6月、この条項に基づき、石油業界の市場構造調査を実施。当時の茂木敏充経済産業相は調査実施を発表した記者会見で、「石油業界の構造改革を進め、収益基盤を安定化させることは、エネルギーセキュリティー(エネルギーの安全保障)に関わる重要な政策課題だ」と語り、業界再編への強い意欲を示した。
 市場構造調査の結果まとめられた報告書は、ガソリンなど石油製品の需要は2014~18年度の5年間で7.8%減少すると指摘。石油精製業は「本格的な過剰供給構造に陥る恐れが大きい」として一段の能力削減を求めた。
 さらに「『資本の壁』や『地理的な壁』を越えた事業再編に積極的に取り組むことが期待される」と述べ、業界再編の必要性にも踏み込んだ。
 日本国内の石油需要は、少子化に伴う人口減少や省エネルギー技術の進歩を背景に、着実に縮小が進んでいる。東日本大震災後、原発の稼働停止により、代替電源である石油火力発電向けの需要が一時的に増加する特殊要因はあったものの、2013年度の国内石油需要は、2000年度に比べて約2割減少した。
 こうした事態に対して、石油元売り各社も生産体制の再編を段階的に進めており、1980年代に最大49カ所を数えた製油所は現在23カ所まで集約された。だが、国内全体の原油処理能力は、なお需要を日量65万バレル程度上回る過剰供給構造が残っているのが現実だ。
 このまま供給過剰構造が解消されず、国内の価格競争で石油元売り各社がいたずらに体力をすり減らせば、日本の死活問題であるエネルギー資源確保にも支障が出かねない。このため経産省は、調査報告書を踏まえ、2017年3月末までに精製能力を1割削減させる規制を導入。再編に向けて業界側に「圧力」をかけた。
 石油元売り大手5社のうち、いち早く動きが表面化したのは、業界3位のコスモ石油と同4位の東燃ゼネラル石油。千葉県の京葉臨海工業地域の両社の製油所を結ぶ配管を建設した上で、2016年度中にも統合すると今年6月に発表した。さらに12月に入って、2位の出光興産が、5位の昭和シェル石油の買収に向けて交渉していることが明らかになった。
 産業競争力強化法には、政府が事業再編計画を認定すれば、税制優遇や金融支援を受けることができるという「アメ」も用意されており、再編を進める石油元売り各社による適用申請も想定される。

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