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大震災から5年目の東北の復興、再生、課題 | 経済産業省東北経済産業局 東北経済産業局長 守本 憲弘【配信日:2015/04/30 No.0242-0970】

配信日:2015年4月30日

大震災から5年目の東北の復興、再生、課題

経済産業省東北経済産業局 東北経済産業局長
守本 憲弘


 大震災から4年が経過し、東北地域全体の経済指標では回復がみられるが、沿岸部や原子力被災市町村では回復が遅れている。本格復興のためには産業振興が重要な柱であり、関係機関と連携を図りつつその取組を支援していく。


1. 序章

 今回寄稿の機会をいただくにあたり、未曾有の大災害とは言いながら、震災から4年を経過した今でも国内外を問わず様々な形で東北の被災地域への支援をいただいており、この場を借りて深く感謝を申し上げます。

 震災から4年を過ぎた東北地域では、復興庁の調査によれば岩手県・宮城県のがれき処理は1年前に終了し、国道の復旧は約99%が完了、住宅の自主再建は平成27年3月現在で約11万件に上ります。その一方、災害公営住宅の完成率は2割にも満たない状況であり、いまだ23万人もの人々が避難生活を送っています。また、平成26年12月現在でまちづくりの復興工事が終了したのは2%に過ぎません。特に、福島県の原子力災害被災12市町村のうち避難指示区域が設定された11市町村では、全域で解除されたのは1市のみであり、インフラ・生活環境において、進捗と停滞が混在しているのが現状です。

 一方、経済に目を向けますと、東北地域の鉱工業生産指数の平成27年1月の確報値( 268KB グラフ参照)は震災前の平成23年2月(103.9)以来初めて100を超え100.3となり、平成22年の水準まで回復したと言えます。電子部品・デバイス、医薬品、輸送機械などは堅調に推移しており、東北の製造業を牽引しています。しかし、沿岸被災地域の主要産業である水産・食品加工業では、売上げが震災前の7割程度以下と回答した事業者が5割を超え、うち約3割は売上げが半分以下など復興の度合いに差が見られます( 360KB 平成26年6月実施グループ補助金アンケート調査 別表参照)。

2. 被災地域における新たな動き

 甚大なダメージを受けた東北地域を立て直すには、既成の枠にとらわれない様々な工夫とアイディアが、また、まちづくりにおいては住民を巻き込んだ一体的な取組が重要です。こうした中、被災地では様々な新しい取組や動きが始まっています。

 岩手県で実施している水産加工事業者へのカイゼン指導もその一つです。同県では、平成23年度から沿岸広域振興局が主体となり、労働力不足が深刻化している水産加工事業者に対しカイゼン(トヨタ生産方式)の導入を支援し、生産性・効率性の向上を図るとともに、待遇の向上による労働力確保を目指す取組が行われており、段取り替えの時間の短縮、歩留まり向上、生産性向上等の具体的な成果が出てきています。また、宮城県でも販売力の強化を目的に、県内水産加工事業者や水産加工品について、バイヤーや消費者等に情報を発信するデータベースを作成し、県のホームページでの公表を開始しました。
 まちづくりでは、宮城県女川町の、JR女川駅前を中心にテナント型商業施設や物産センターなどを整備することを目的とした「まちなか再生計画」が昨年12月に被災地の先陣を切って総理大臣からの認定を受けました。まちなか再生計画の認定を受けると、被災前に商売をしていた人達だけでなく、新たに事業を興す人も一体となった取組を支援することができます。このほか、今年3月には岩手県山田町も認定を受けており、さらに宮城県石巻市、南三陸町、岩手県大槌町、陸前高田市なども申請を検討しています。
 このほか、福島県でも国の支援制度を活用し、原子力災害により甚大な被害を受けた地域等において住民の帰還等を加速するための商機能の回復を目的とした商業関連施設の整備事業の動きが川内村、広野町、南相馬市で始まっています。

3. 支援サイドの課題と取り組み

 こうした地域の新しい動きに対して総合的に支援するために、行政側でも自治体、支援機関を巻き込んだよりわかりやすく、効果的な体制整備が求められています。

 経済産業省では、平成24年11月から全国各地の商工会・商工会議所等に加え、税理士や地域の金融機関等を認定支援機関(平成27年2月3日現在で895機関が東北地域で認定済)として認定し、支援の担い手の裾野の拡充、支援能力の向上等に取り組んでおり、平成25年9月以降、支援機関等同士が連携して事業者支援を行うためのプラットフォームの形成を促進していますが、各支援機関の支援レベル・質・専門分野、活動内容等は、機関毎・地域毎のバラツキが課題となっていました。
 これら支援機関格差を縮小し地域の支援体制を強化するため、平成26年度から、地域の支援機関と連携しながら様々な経営相談に対応する「よろず支援拠点」を各都道府県に整備しています。
 更に中小企業庁では、平成26年10月に小規模企業振興基本計画を策定、その中で、(1)需要を見据えた経営の促進、(2)新陳代謝の促進、(3)地域経済の活性化に資する事業活動の推進、(4)地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備の4つの目標を掲げており、特に(4)については、認定支援機関が中小・小規模企業の身近なかかりつけ医(ホームドクター)として、更によろず支援拠点をホームドクターをバックアップするための総合病院として、公設試験研究機関や中小企業再生支援協議会などを専門病院と考え、それぞれが役割を果たしつつ支援のリソースやノウハウを共有することで地域ぐるみの総力を挙げた支援体制の構築を目指しています。既に東北地域では、これら関係者が集まって具体的な連携の実現に向けて検討が始まっている自治体もあり、支援機関の連携は東北地域に限らず全国共通の課題であることから、今後東北地域で支援体制が構築され、東北モデルとして全国に発信されることが期待されます。

 このほか、民間の知恵と自由な発想に基づく新たな支援の動きも始まっています。震災後に衆目を集めるようになったクラウドファンディングもその一つです。平成24年12月1日に公表された一般社団法人MAKOTOによる「Challenge Star」は、復興起業家支援に重きを置いた東北初のクラウドファンディングです。
 同法人のクラウドファンディングは、産業競争力強化法に基づき市町村が策定する「創業支援事業計画」において、いくつかの市町村の認定計画の中で創業支援事業者として位置づけられています。
 被災地支援では、官民が協力して復興の仕組みをしっかり確立し、それを集中的に投入しながら、長期に亘る産業振興のための体制を作っていく、こうした取組が今後の復興の鍵になると考えています。

4. 東北へ是非お越し下さい!

 日本は、東西・南北にそれぞれ約3,000kmに渡る国土を有し、気候は亜寒帯気候から亜熱帯性気候が含まれ、世界でも希に見る四季に富む国です。これを表するように、日本には「二十四節気」という言葉があり、四季の他に様々な季節が存在し、そこには地域固有の風物詩として多数のお祭りが存在しますが、ある民間の調べでは、東北地域だけで500近くにのぼる祭りがあるそうです。東日本大震災後は、復興と鎮魂の催事として、東北地域の代表的な6つの夏祭り(青森ねぶた祭、盛岡さんさ踊り、仙台七夕まつり、秋田竿燈まつり、山形花笠まつり、福島わらじ祭り)を一同に集結させた「東北六魂祭」を開催し、毎年盛況を博しています。

 東北地域は、祭りのほかにも様々な観光資源、歴史・文化資源、伝統工芸品、農林水産物を有する地域です。東北経済産業局では、昨年12月に一般社団法人東北経済連合会、東北観光推進機構、東北運輸局との協同により、新潟県を含めた東北7県の協力を得て、東北地域の魅力発信ツールとして「東北地域広域プロモーション映像 Treasureland TOHOKU JAPAN【日本東北】~ WELCOME TO TOHOKU」を制作、Youtubeにて公開しています。映像は日本語、英語、中国語、タイ語バージョンもあり、各知事からの熱いメッセージも収録されています。

 被災地ではいまだ様々な課題を抱え復興道半ばではありますが、国内だけでなく海外の方を含め、魅力溢れる東北を観光やビジネスで訪れていただき風光明媚な季節とともに、皆様のご支援をいただきながら着実に進行している復興の様子を是非肌で感じていただければ幸いです。

 これからも引き続き東北地域を宜しくお願いいたします。
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