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連載 キーワードで知る日本 「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」 【配信日:2015/04/30 No.0242-0971】

配信日:2015年4月30日

連載 キーワードで知る日本
「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」

 中国が主導して2015年中の設立を目指している国際金融機関。アジアの途上国を対象に、鉄道や発電所、港湾、道路などのインフラ整備に資金を供給し、支援対象国にとどまらず、域内経済全体の成長加速を促す。国内総生産(GDP)世界2位の中国が、経済力をバックにアジア域内での影響力を一段と強める狙いがあるとみられる。

 中国は2015年3月末を期限に、AIIBの設立協定交渉に臨む「創設メンバー」を募った。先進7カ国(G7)では、英国、フランス、ドイツ、イタリアが参加を表明。韓国とオーストラリアも名を連ね、インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)、中東諸国も加わって計57カ国に達した。相次ぐ賛同には自国企業を開発に関与させ、利益を享受したいとの思惑が透けて見える。

 一方、日本と米国は慎重な立場を貫いている。現時点ではAIIBの組織運営や融資審査が不透明なためだ。国際通貨基金(IMF)や世界銀行、マニラを拠点とするアジア開発銀行(ADB)など、既存の国際金融機関との協調を要請。中国が独断で野放図な資金供給を展開すれば、世界経済の混乱要因になる恐れがあると警戒する。

 当初は中国も、IMFなど従来からの枠組みの中で存在感を高めていく戦略だった。リーマン・ショックで先進国中心の金融秩序が揺らいだことを機に、IMFは中国をはじめ新興国の議決権を拡大する改革案を決定。ところが、最大出資国である米国の議会が中国の発言力が強まることを恐れて承認を拒み、今も実現のめどが立たない。

 AIIBと役割が重複する可能性があるADBに関しても、出資比率の筆頭には日米が並ぶ。歴代総裁のイスは1966年の設立以来、日本人が独占。つまるところ、中国は現体制下では影響力を発揮する余地がない。今回の中国の動きについて、日本政府内には「選択肢を失った中国が現状に見切りを付け、独自の国際金融機関設立に舵を切った」(経済官庁幹部)との指摘がある。

 並行して中国は、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカを加えた新興5カ国(BRICS)で、均等出資による「新開発銀行」創設でも合意した。金融危機に備えて立ち上げる「外貨準備基金」には410億ドルを出資し、議決権の4割を握ることも決まった。世界最大の外貨準備を保有する中国が国際金融の舞台で独自路線を歩む。

 G7の一部を含む主要国がAIIBに賛同したことや、IMFのラガルド専務理事が「AIIBの創設を含め、さまざまな取り組みを歓迎する」と評価したことで、中国は自信を深めているもようだ。日本は沖縄県・尖閣諸島問題など対中外交上の懸案を抱え、AIIBへの参加は容易ではない。仮に参加しても十分な発言権を得られる保証はなく、中国が構築し始めた新しい金融秩序に難しい対応を迫られている。

この記事は専門のジャーナリストに執筆をお願いしています。

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