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日本の小売業、東南アジアに出店加速 =イオン、高島屋は積極的―市場縮小で= | 時事通信社 時事総合研究所 客員研究員 山川 裕隆【配信日:2015/07/31 No.0245-246-0980】

配信日:2015年7月31日

日本の小売業、東南アジアに出店加速
=イオン、高島屋は積極的―市場縮小で=

時事通信社 時事総合研究所 客員研究員
山川 裕隆


 6億人の巨大市場、ASEANに進出する日本の小売業が増加している。中でもイオンは昨年から今年にかけてベトナムやカンボジア、インドネシアに相次いで出店。また、百貨店やコンビニ、専門店なども出店を加速させている。


 日本企業の東南アジアへの進出が加速している。小売業も例外ではない。特に進出に積極的なのは大手スーパーのイオンだ。同社は2015年5月30日に、日本のスーパーで初めてインドネシアに1号店をオープンさせた。2014年はベトナムやカンボジアにも出店、さらにミャンマーにも進出することを検討している。大手百貨店では、高島屋がベトナムやタイに進出する計画だ。日本の消費市場は少子高齢化で縮小するためで、他のスーパーや百貨店、コンビニエンスストア、専門店なども東南アジアに出店するケースが増えそうだ。

イオンのベトナム第1号店

イオンのベトナム第1号店

大勢の客で賑わうイオン1号店

大勢の客で賑わうイオン1号店

◇中国で閉店相次ぐ
 2013年ごろから日本企業の中国への進出が鈍化傾向にある一方で、工場や店舗の閉鎖が続いている。小売業では、大手百貨店の三越伊勢丹が東北部の大都市瀋陽市にあった店舗を閉店、また、大手スーパーイトーヨーカ堂が北京にある4店を閉店、さらに大手家電量販店のヤマダ電機が天津と南京の2店を閉めるなど店舗閉鎖が相次いでいる。帝国データバンクがまとめた日本企業の中国進出調査結果によると、2015年5月末現在1万3256社となり、3年弱で1138社も減った。賃金の大幅上昇や2012年に発生した尖閣諸島問題を機に日中関係が悪くなっていることなどが理由だ。
 
◇6億人の巨大市場
 一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)に進出するケースは逆に増加している。ASEANは10カ国で構成され、人口は約6億人で欧州連合(EU)よりも約1億人多い。ASEANは所得が増加しており、生産拠点だけではなく、消費市場としても注目されている。
 イオンが今年5月に進出したインドネシアの人口は、日本の2倍の約2億4000万人だ。世界第4位の人口を擁し、もちろんASEANでは最も人口が多い国だ。1人当たりの国内総生産(GDP)は3500ドルを超えている。3000ドルを超えると自動車や家電が売れると言われており、まさにそうした時代に入っている。こうした点に着目し、イオンは日本の他のスーパーや百貨店に先駆けて同国に進出した。
 イオンの1号店の大型ショッピングセンター(売り場面積は7万7000平方メートル)は首都ジャカルタ郊外にオープンした。地上4階建てのモールには核テナントの総合スーパー「イオン」のほかに、専門店約280店が入っている。そのうち、47店が日本企業だ。ユニクロや学習塾の公文、家電量販店のベスト電器、旅行代理店のJTBとHISのほか、日本のラーメン店や寿司店など外食の店舗も数多く出店している。イオンは2016年度末までに大型ショッピングセンターを同国に5店出店する計画だ。

◇カンボジアにも出店
 イオンは2012年度に日本、中国、東南アジアの3本社体制に移行し、アジア事業を拡大している。東南アジアではマレーシアに最も早く進出しており、58店出店している。昨年は人口9000万人のベトナムの大都市ホーチミンに1号店、南部ビンズオン省に2号店をオープンさせた。今年は首都ハノイにも出店する計画だ。また、昨年はカンボジアの首都プノンペンにも1号店を出店した。ベトナム、カンボジアのいずれも日本のスーパーとしては初の進出だ。
 すでにシンガポールに進出している高島屋は当初の計画より遅れているが、2016年にベトナムのホーチミンに1号店をオープンさせる。同国に日本の百貨店が進出するのは初めてだ。出店する場所は日本の東京・銀座のような場所だ。ベトナムの1人当たりのGDPは2000ドル弱だが、ホーチミンは3倍以上で購買意欲は強い。同社はタイの首都バンコクにも17年に出店する計画で、東南アジアへの進出を加速させる。
 また、東急百貨店が6月に、バンコク郊外に2号店を出店した。バンコクには三越伊勢丹も進出している。同社はシンガポール、マレーシア、タイに出店しており、ベトナムやインドネシアでも事業が可能かどうか検討を進めている。

◇セブンのタイ店舗数世界2位に
 タイには日系のコンビニも出店している。特に多いのがセブンーイレブンで、2015年3月末現在、8334店に上っている。店舗数は日本(1万7569店)の約2分の1弱で、米国(8124店)を抜き世界第2位だ。今年は約600店増やし、2018年末までに1万店を目指す。ファミリーマートもタイに、4月末現在1188店あり、1000店を超えている。同社の海外店舗数を国・地域別で見ると、台湾(2957店)、中国(1332店)に次いで第3位だ。タイには、両社に比べ店舗数はまだかなり少ないが、ローソンも出店している。
 
◇ユニクロも出店加速
 東南アジアに出店しているのはスーパーや百貨店、コンビニだけではない。最近は専門店の出店も増加している。カジュアル衣料のユニクロを展開しているファーストリテイリングは2013年6月、インドネシアに1号店を出店した。東南アジアでは最大級の店舗(総面積2680平方メートル)だ。東南アジアではシンガポールやマレーシア、タイ、フィリピンにも出店しており、同社の柳井正会長兼社長はASEANについて、「中国以上の経済圏ができる可能性がある」と期待を示しており、今後、同地域に出店を加速させる方針だ。このほか、無印良品もタイやインドネシア、フィリピンなどにも進出しており、専門店の東南アジア進出は加速しそうだ。
 
◇日本のコンビニ、ベトナムで苦戦
 ただ、東南アジアに進出しても苦戦している企業もある。ベトナムに進出したファミリーマートやイオン系のコンビニ、ミニストップだ。いずれも、提携していたベトナム企業と提携を解消しており、当初の目標だった店舗数を大幅に下回っている。提携する際は相手企業について、念には念を入れて調査することが必要だ。また、今後、東南アジアで欧米企業や韓国企業、東南アジアの企業との競争が激しくなることは必至だ。このため、日本の小売業は好立地の場所を選ぶことはもちろんだが、進出先のニーズにあった商品や特徴ある商品を陳列するなどきめ細かな対応が求められる。
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