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東北復興5年を経たこれまでの課題と今後の展望について 東北経済産業局 局長 守本 憲弘【配信日:2016/04/28 No.0254-1007】

配信日:2016年4月28日

東北復興5年を経たこれまでの課題と今後の展望について

東北経済産業局 局長
守本 憲弘


 東日本大震災の発生から5年が経ち、被災地域のインフラ整備や商業・まちづくり再生が着実に進展している。東北の更なる復興に向け、今後も関係機関との連携を図りつつ、ソフト面の支援をより充実していく。


〇はじめに
 東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から、丸5年が過ぎました。東北の被災地域に対する国内外の方々の御支援・御努力に対し、改めて深く感謝を申しあげます。

 震災から5年を過ぎた東北地域では、被災地域のインフラ整備が着実に進展しています。復興庁の調査によれば、被災した直轄国道・鉄道・港湾は、平成28年1月末時点で、それぞれ9割以上が復旧完了しており、岩手県・宮城県・福島県の災害廃棄物の処理も、同時点で約99%が完了しています。

 それに伴い、各地で具体的な商業・まちづくり再生に向けた取り組みが進んでいます。宮城県女川町では、他の自治体に先んじて内閣総理大臣から「まちなか再生計画(※)」の認定を受け、平成27年12月にJR女川駅前にテナント型商業施設が完成しました。これにより、まちは賑わいの回復に向けた第一歩を踏み出しました。この他にも6市町がまちなか再生計画の認定を受けており、これから本格的なまちづくりが進んでいきます。

2015年12月 JR女川駅前 テナント型商業施設オープン

2015年12月 JR女川駅前 テナント型商業施設オープン

(※)まちなか再生計画の認定を受けると、被災前に商売をしていた人達だけでなく、新たに事業を興す人も一体となった取組を支援することができます。

 しかしながら、思うように復興が進まない地域があるのも事実です。特に福島県の原子力被災12市町村のうち、避難指示区域が設定された11市町村では、避難指示の全域解除に至ったのは田村市(平成26年4月)と楢葉町(平成27年9月)のみとなっています。また、福島県全体では、平成28年2月末時点で未だ9.9万人もの方々が避難を余儀なくされているほか、農産品や観光地などへの風評被害も根強く残っており、引き続き、きめ細やかな支援が必要です。

〇被災地域における課題と復興に向けた取組
 東北地域の経済状況を見てみると、震災後大きく落ち込んだ「鉱工業生産指数」や「百貨店・スーパー販売額」は、ほぼ震災前の水準まで回復しているものの、沿岸被災地域や福島県避難指示区域では、未だに回復が遅れています。

 このような状況のもと、震災からの早期復興を果たすためには、ハード面での復旧にとどまらず、新商品の開発や販路開拓等といったソフト面での支援を充実させ、産業としての活力を回復・向上させることが重要です。

 中でも、津波被害を受けた太平洋沿岸部の基幹産業である水産加工業の復興は欠かせません。多くの企業が、施設・設備を復旧したものの、一度途切れた販路の回復がままならず、震災前の売上げが戻っていない状況です。( グループ補助金事業者の売上回復状況(東北4県))

 そのため東北経済産業局では、商工団体・支援機関・行政機関による「三陸地域水産加工業等振興推進協議会」を立ち上げ、水産加工業等の広域連携による海外展開の推進等、世界三大漁場である「三陸地域」が水産に関する世界のトップブランド・産地として認知されることを目指し、三陸地域の水産加工業等の発展や地域活性化に資する取り組みを行うことで、地域の復興を後押しして参ります。

新鮮で美味しい東北の海産物(写真提供:末永海産(株)

新鮮で美味しい東北の海産物 (写真提供:末永海産(株))

 同時に、まちのにぎわい創出・活性化のためには、他地域からの交流人口を拡大していくことが必要です。震災以降、被災地では人口減少が進んでいるほか、国内外からの観光客の落ち込みにも悩まされています。観光庁の調査によれば、被災3県の観光宿泊者数は、平成25年時点において、いずれも震災前の水準まで回復しておらず、特に福島県では震災前の約7割まで落ち込んでいます。( 被災3県の観光宿泊者数)

 そこで当局では、「震災復興ツーリズム」に係る取り組みを推進すべきと考えています。県域を越え、被災地全体として防災観光の受け入れ体制を構築した上で、例えば、南海トラフ巨大地震などの大規模な災害発生が想定される地域の自治体・学校等を被災地に招くことで、東日本大震災の教訓の伝承、風評被害の払拭、交流人口の拡大に繋げて参りたいと考えています。

 このほか、福島県の産業に目を向けると、昨年、中小企業者等に対する支援体制強化を目的に、「福島相双復興官民協議会」・「オールふくしま中小企業・小規模事業者経営支援連絡協議会」が設立されました。これらの事業者支援を、引き続き関係機関と一体になって取り組みつつ、「福島イノベーション・コースト構想」・「福島新エネ社会構想」による高度な産業技術の集積を図ることで、福島の一刻も早い復旧・復興に尽力して参ります。

〇東北へ是非お越しください!
 東北地方には、青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県の6つの県があり、それぞれが魅力的な観光資源で溢れています。四季折々の美しい風景のもと、豊かな自然の恵みを活かした「食」、エネルギッシュで盛大な「祭」、心休らかに癒され、日本のおもてなしの心に触れることが出来る「温泉」など、東北でしか経験することができない、たくさんの魅力で溢れています。

 最近では、東北の日本酒の人気が国内外で高まってきています。当局では平成27年来、酒蔵を核とした広域観光を推進する「東北酒蔵街道プロジェクト」の支援をしております。国税庁の調査では、東北には250もの酒蔵が存在しています。平成27年に開催されたミラノ万博でも大変好評でした。

 お酒の他にも、東北地方は様々な農林水産物、伝統工芸品、さらには歴史・文化遺産、祭り等の観光資源を有しています。これら地域特有の豊富な地域資源を活かしながら、被災地では次々に新しい産業・取り組みが生まれ、復興に向けた歩みを続けています。皆様も是非、東北に足をお運びいただき、東北の魅力と復興の様子を、肌で感じていただければ幸いです。

 これからも東北地方を、引き続きよろしくお願いいたします。

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