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シリーズ:「地域の活性化(6)」 「北海道沼田町の挑戦!!」 地方創生(コンパクトエコタウン)と雪中商品戦略 北海道沼田町長 金平 嘉則【配信日:2016/05/31 No.0255-1010】

配信日:2016年5月31日

シリーズ:「地域の活性化(6)」
「北海道沼田町の挑戦!!」 地方創生(コンパクトエコタウン)と雪中商品戦略

北海道沼田町長
金平 嘉則


 北海道沼田町では、住民が主体となった「農村型コンパクトエコタウン構想」や地域資源である「雪」を活用したまちづくりを行い、地域活性化に取り組んでいます。


1. 沼田町の地方再生の取り組み
 北海道沼田町は、空知管内の最北部に位置し、人口3,208人の農業(主は水稲)を基幹産業とした町で、最盛期には石炭産業に潤い人口が2万人を有した町でありましたが、昭和44年の炭鉱閉山により急激に人口が減少し、現在に至っております。
 平成23年5月に町長に就任し、翌年から取り組んだJA北海道厚生連が運営する「沼田厚生病院」の一般病院から無床診療所化が地方創生の取り組みの第一歩でありました。
 平成25年5月「沼田町の医療福祉体制の今後を考える町民懇談会」を開催し、旧中学校跡地4.6haの用地に、町立診療所、デイサービスセンター、地域交流センター、小規模多機能居宅介護施設、高齢者生活支援ハウス、子育て住宅、一般住宅、公園等を整備する内容を柱とした基本的な考え方を住民に説明いたしました。
 正に、沼田町の10年後、20年後を見据えた社会資本整備の必要性について提案し、事業をスタートすることが出来た重要な年であります。
 
2. 沼田町農村型コンパクトエコタウン構想の誕生
 国や北海道への構想説明の中で、社会資本整備の手法として推進していたのは、「コンパクトシティ」であり、人口3,200人の沼田町では、取り組めないことから敢えて「農村型コンパクトエコタウン構想」と名付けました。
 平成26年3月に、内閣府が「地域活性化モデルケース」の募集を行った際に、本構想を提出したところ、最終的に全国33件のモデル事業として認定されました。現在は、地方創生の先行的な取組みとして位置づけがなされ、「地域再生法の一部を改正する法律」が平成26年11月に成立し、沼田町は、地域活性化に取り組む地方自治体を国が一体的に支援する「地域再生計画」を平成27年4月に提出し、6月に認定を受けました。  
 さらに、9月には各府省庁の補助金等の対象とならない事業が交付対象となる「地域再生戦略交付金」の交付決定を受けたところであります。

3. 地方創生と農村型コンパクトエコタウン構想の意義
 今まさに地方創生の時代にあって各市町村は地方版総合戦略を策定し、それは沼田町が消滅可能性都市にならないことであり、特に10年後の2025年が後期高齢者人口のピークを迎えるとの予測があり、今こそ10年後を見据えたまちづくりが必要との認識に立っています。
 今、国の地方創生に係る動向としては、(1)地域包括支援システムの構築 (2)ネウボラ(子育て世代包括支援センター) (3)小さな拠点づくり (4)コンパクトシティ (5)日本版CCRC(健康な段階からの地方への移住)等が推進されており、沼田町のコンパクトエコタウン構想は地方の小さな自治体の挑戦として、社会資本整備を町の政策の重要な柱と捉え、必要最小限の施設を現状に沿った計画で整備を目指していきたいと考えています。
 この構想を推進するにあたり特に重視したことは、「構想への住民参加」であります。単なる「箱モノ整備」ではなく、人と人のつながりを重視した「コミュニティデザインの手法」を取り入れて、住民とのワークショップによる住民主体のまちづくりを実践し、住民の主体的な活動が今後の施設整備に活かされるよう更なる協働のまちづくりを目指して、この構想が生きた構想となるよう取り組んで参りたいと思います。

住民主体のまちづくり

住民主体のまちづくり

4. 雪中米海外輸出の取り組み(JAPANブランド育成支援事業(経産省) 等)
 日本国内では人口減少や超高齢化社会などから、コメ市場の行く末を案じ、平成17年、雪中米を初めて台湾に輸出をいたしました。
 台湾では、白米の試食販売に取り組んだところ、大変好評で日本の米の美味しさが現地で認知され、雪中米の一定数量の販売実績に結び付いたところですが、台湾をはじめ、日本以外の国では家庭で米を炊飯調理する文化がなく、一般小売業において精白米のニーズがさほど大きくないため、販売数量は伸び悩んだところであります。
 併せて、日本における米の輸出ブームで、海外市場において日本の他産地との競合が激しくなり、今後も大きな伸びは期待できない状況であったことから、新たな日本の食文化を広めることにより、日本米の市場を拡大させることが急務と考え、世界初の省エネとエコな雪の冷熱エネルギーを活用し、独自の保存技術で生まれた高品質米「雪中米」を核とし、商工会が中心となり、農協組織も参加する中で、雪中野菜等沼田町の特産品を活用した加工食品について海外での販路開拓を目指すことを目的に平成23年度に「地域企業立地促進等事業費補助金(地域中小企業海外販路開拓支援事業)」の採択を受け、「雪中米」と「雪中野菜」を活用した新商品開発を目指すため、マーケティングアドバイザーの三宅曜子氏の指導のもと、生産者と商工業者との連携、及び女性中心の商品開発チームを立ち上げ、事業推進活動の基礎となる人材育成と異業種連携体制を整え、新たな市場開拓に向け取り組みを開始したところであります。
 本事業では雪中米を活用した新商品試作品「和風及び洋風あんかけごはん」「おこげのお茶漬け」を持ち込み、台湾の大型量販店にて試食イベントを開催。
 2日間で試食とアンケートに400名弱の方々にご協力をいただき、試食した90%の方が高評価の回答であったことから、大きな自信につながったところであります。特に、全国でも類を見ない商工会が米の生産者であるJAに呼びかけ、JA女性部と商工会女性部の連携により加工食品の開発を行ったもので、マーケティングアドバイザーの三宅曜子氏にご指導とご提案をいただいたことから農商連携の先進事例として高く評価を受け、JETROの石毛理事長様からも海外展開事業の注目される取り組みであると激励を受けたとお聞きいたしたところであります。
 平成24年度においては、JAPANブランド育成支援事業の採択を受け、留萌地域の水産品を原料に使用するなど工夫や商品性を高め「おこげリゾットトマトスープ味」「おこげリゾット海鮮スープ味」を作り上げ、加えて町農産加工場の商品を贈答向けの商品として市場性をリサーチするために翌年2月、アメリカ・ロサンゼルスにて、日系スーパー及び商社に対して試作品および既存の「雪中米」や「雪なごり(日本酒)」など沼田町産商品を持ち込み提案したところですが、多種多様な民族がいる北米大陸で、味及び材料などを再検討する必要が生じた結果となりました。
 また、台湾においても市場調査を行い、一般消費者向けの試食アンケートを実施するなど、国や地域によっては味や食材が受け入れられないことが判明したため、更に工夫を重ね、翌年度アメリカ・サンフランシスコで開催された「ファンシーフードフェア」に玄米入りの雪中米ディップを出品し、現地バイヤーに対するアプローチの実施などを経て、昨年には「玄米とまとソース」に改良し、沼田町と業務連携を結ぶ食品会社コーミ(株)(本社:名古屋市)に製造委託し、商品の完成を見たところであります。今後は完成した商品を地元農産加工場で製造し、町民挙げて国内外に積極的に販路を拡大しつつ沼田町を世界中にPRしていきたいと思っています。

JAPANブランド(アメリカ トーランス 2015年2月)

JAPANブランド(アメリカ トーランス 2015年2月)

町長・雪中商品

町長・雪中商品

5. ふるさと名物応援宣言
 沼田町では平成27年8月10日に施行された、改正中小企業地域資源活用促進法に基づき新たに設けられた制度により、平成27年12月15日北海道第1号となる「ふるさと名物応援宣言」を行ったところであります。
 この宣言は、『「輝け雪のまち沼田町」の雪中商品~雪は沼田の宝物~』と題して、「雪中米」や「雪なごり(お酒)」、「雪中みそ」等々、沼田町のふるさと名物、雪冷熱を活用した「雪中商品」に対し、沼田町をはじめ、全国に広がる沼田町ファンの方々からも応援いただき、沼田町が取り組んでいる「雪と共生するまちづくり」が更に推進することを目的としたものであります。

6. 今後の展望
 今後においては、沼田町における6次産業化を更に推進することで、多様化する消費者ニーズに応え、併せて地元農産物のブランド化、高付加価値化の確立に努めます。
 このことが新たなビジネスの創出や雇用の場の確保等といった地場産業への波及にも十分期待されることから、民間企業との連携を図りながら地域活性化に努めてまいります。


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