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シリーズ:「インバウンド観光推進」(No.2) 「丘の上は、世界とつながる素敵な扉」 ~2600人の小さな村の国際交流~ (株)丘の上のわくわくカンパニー 代表取締役 服部 佐知子 【配信日:2016/11/30 No.0261-1027】

配信日:2016年11月30日

シリーズ:「インバウンド観光推進」(No.2)
丘の上は、世界とつながる素敵な扉
~2600人の小さな村の国際交流~

(株)丘の上のわくわくカンパニー 代表取締役
服部 佐知子


 ひがし北海道、鶴居村の丘の上にある小さなファームレストラン「ハートンツリー」。世界中の青年をボランティアとして受入れ、18年目を迎え述べ600人を超える若者との交流は、いつもワンダフル !


タンチョウ(雪裡川朝靄)

タンチョウ(雪裡川朝靄)

 丹頂鶴が雪原で優雅に舞う。新緑の丘陵で草を食む乳牛。手つかずの原自然が神秘的な釧路湿原。タンチョウと酪農、湿原が地域資源の東北海道にある、2600人の小さな村、鶴居村。

 私たち家族が、大阪よりこの北の大地に移り住んで26年。阿寒連峰から釧路市の夜景まで一望できる小高い丘の上に、小さなファームレストラン ハートンツリー(heartntree)をオープンして、早18年。今では、地元の牛乳をふんだんに使ったオーガニック料理の提供をはじめ、チーズ工房にゲストハウス、料理教室やハーブ農園と、安心安全な生活づくりに家族、スタッフみんなで切り盛りしています。

 調理師学校でも、おしゃれで優しい気持ちにしてくれる西洋料理を目指した私のテーマは、地場産の食材で世界の料理を創ること。食を通じて世界の豊かな暮らしをおすそ分けしたいと。それには色んな国のお料理を勉強したい。特に西洋のお母さんがつくる家庭料理やハーブづくりを学びたい。

 そんな折、様々な国々の方々と交流できる素敵なお話しを聞きました。世界中の青年たちがボランティアとしてお手伝いしながら、ひとつ屋根の下で暮らす国際交流の仕組みWWOOF(ウーフ)を知り、すぐさまホスト登録しました。18年前、初めて我が家に来てくれたのは、イギリスの好青年ジム君。日本語が堪能でとても紳士的で本当の家族のように接してくれました。おばあちゃんが作るとっておきのパイ、初めて聞くハーブや野菜のこと、今でもはっきり覚えています。外国人を迎え入れ、家族のように暮らす我が家のスタイルができた瞬間です。

 あれから、アメリカ大陸、ヨーロッパ、オセアニアにアジア圏と様々な国の青年たちがこの丘の上で生活を共にしました。色んなハプニングも笑って過ごせる貴重な体験です。今年は延べ600人を超え、私たち家族、スタッフの素敵なライフワークとなりました。

 レストラン事業が、オーガニック、地場産品を活用していることから遠くからお越しいただくお客様も多く、15年前からコテージ風ゲストハウスを新設し、宿泊事業にも参入いたしました。夕陽と朝日を見て、丘陵地帯を散歩し、ゆっくりとミルク料理を食べていただく、のんびり過ごす旅の提供は、後の長期滞在型観光づくりのきっかけとなりました。これには、海外ボランティアも大活躍です。笑顔と身振り手振り、言葉を超えた交流が生まれました。そしてこんな田舎で青い目の若者たちと交流するという、考えもしなかった驚きがお客様に大変好評でした。まさにここならではの国際交流型観光のスタートです。

 いつの間にか、自然に私たちの子供ようになってくれました。言わば600人の子供が世界中にいるのです。かなり痛快な気持ちです。ご承知の通り、彼らはITの申し子で、ネット社会のことはもう何でも知っています。特にSNSの便利さ、活用性の高さを教えてくれたのも彼らでした。今では普通にビジネスに取り入れるフェースブックをいち早く教えてくれました。また、様々な言語で自国のお友達に常に情報配信してくれ、それが友達の友達という形で外国人宿泊者の増加にもつながりました。今では全体の20%程が外国からのお客様です。今でいう口コミの世界版ですね。親孝行な子供たちからの素敵なプレゼントです。

 私の主人は、鶴居村観光協会事務局に勤務しておりまして、仕事柄常に鶴居村の特性やヨーロッパのようなバカンスの必要性などをある時は、熱く論議するわけです。宿泊していただいた外国人のお客様や我が家の世界中の子供たちを見て感じることは、しっかり自分の時間で過ごしていること。雨の日でも歩いて4km先の町まで散策し、暖炉の横で読書を楽しむと。ここならではの、ここにしかない観光のヒントが見えてきます。私たちはのんびり、自分ペースで過ごす旅、長期滞在型観光が、この地にふさわしいと考えます。「2600人の小さな村で暮らす旅」が重要なのです。

 憧れの外国の料理、ハーブやガーデンと暮らしや習慣を肌で感じ、大好きなことが小さいながらもインバウンドビジネスにつながり大満足です。これからはこの思いを地域の方々と共有しながら、日本で最も美しい村のおもてなしを広めようと計画中です(鶴居村は、日本で最も美しい村連合に加盟しています)。

ガーデンパーティ

ガーデンパーティ

 その上では、地域との連携もなくてはなりません。鶴居村とは、今後益々増加すると予想される訪日外国人観光客対策として、鶴居村らしい商工観光振興事業構築に向け、私たちも積極的にかかわっています。鶴居村観光協会とは、長期滞在型観光を想定した宿泊施設とガイド業、飲食店との連携を更に進める。鶴居村商工会とは、多種多様な形で世界中の方々におもてなしをしたいと日々、切磋琢磨しながら、乳製品を用いた和食メニューの開発と普及などに取り組んでいます。

 そして、今年(2016年)当社が地域産業を活用した事業活動の促進「釧路湿原における食育、環境、交流を組み合わせた新たな滞在型観光事業の創出と推進」について評価いただき、北海道経済産業局より地域産業資源活用事業者として認定いただきました。ファミリーというキーワードで今までコツコツと取り組んできた成果を認めていただいたことのようで感激です。家族、スタッフそして助けてくれたボランティアのみんな、国内外の素敵なお客様のおかげと感謝の気持ちでいっぱいです。

 時々、村人が、外国の方を村で見かけると「服部さんファミリーの方?」と、声をかけていただく光景がよくあるとお聞きします。とても素晴らしくみんなが応援してくれていると思わずにっこりしてしまいます。

 18年前に始めた丘の上の小さなレストランの小さな扉が、外国とのつながる、大きな扉となり、心地よいさわやかな風が流れています。これからまた、どの国のどなたとお会いできますでしょうか。楽しみ、楽しみ。

仮装大会

仮装大会

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