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平成29年度国際教育者招聘事業(IEJ) (2) 協調性を重んじるコミュニティーが好まれる日本と個人主義優先のアメリカ シルバースパー小学校(米国、カリフォルニア州 ランチョ パロス ベルデス) 校長 マルタ ユバノイズ・リチャードソン | 日本の歴史、文化、教育に浸るまたとない機会 シャイリー パテル 生活指導 ディレクター ノバイコミュニティー学校区(米国・ミシガン州)【配信日:2017/10/31 No.0272-1058】

配信日:2017年10月31日

平成29年度国際教育者招聘事業(IEJ) (2)


 IISTは2017年6月18日~6月29日に日本人子女教育に携わる欧米の先生方・教育関係者を招聘する「IEJプログラム」を実施しました。前271号に続き、今回は2名の先生による記事をご紹介します。


協調性を重んじるコミュニティーが好まれる日本と
個人主義優先のアメリカ

シルバースパー小学校(米国、カリフォルニア州 ランチョ パロス ベルデス) 校長
マルタ ユバノイズ・リチャードソン

 大きな幸運に恵まれ、IEJプログラム(国際教育者招聘事業)に参加できたことに、私たちは皆、感謝している。このすばらしい旅により、豊かで多様な日本文化への理解が深まった。

 私たちは公立の小学校と私立の中学校・高等学校を訪問した。学校訪問を通じて、教育が日本文化において、いかに重要な位置にあるかということを、はっきりと知ることができた。教師は心から尊敬されている。親たちは、子どもが教師からのサポートを受けながら、最高の教育機会を得るために最善を尽くすことに余念がない。

 典型的な日本の学校年度は、約240日。一方、カリフォルニアでは正規の授業日数は180 日だ。日本の生徒は週5日、さらに土曜日も半日登校し、多くは塾にも通っている。塾とは課外勉強のための民間の教育機関で、放課後や週末に授業を行う。日本の教育文化の特徴は、期待されているレベルが高く、チームワーク、尊敬、成功、勤勉さにある。日本では、生徒でいることは、まさにフルタイム・ジョブといえよう。

 私たちは、日本の教育システム、特に授業が非常に伝統的なスタイルで行われていることにとても驚いた。教壇では一人の教師が講義をし、教室には情報機器は一切ない。コンピュータ、iPad、投影用プロジェクター、スマートボードはどこにも見当たらない、ただ黒板とチョークがあるだけだ。しかし、授業の成果は信じられないほどすばらしい。また、日本の学校では、生徒の就職、高等教育への進学に向けて、実に素晴らしい準備がなされており、調和のとれた方法で行われている。

 日本の社会は、穏やかな個人と集団内の協調で形成されており、人々は個々の事情よりも協調的なコミュニティーの存続を優先する。これは、通常個人主義が何より優先されるアメリカでは真に新しい考え方である。

品川区立 立会小学校にて (東京)

品川区立 立会小学校にて (東京)

 東京の小学校では、私たちは授業(※模擬授業)を行うかたわら、日本の給食を参観することができた。それどころか、昼食時間の参観にとどまらず、生徒と一緒に給食を食べる体験もした。

 日本では、生徒は一から手作りされた新鮮な食事を口にする。生徒に出されるすべての食品は給食スタッフがその場で調理する。また、生徒は互いに給仕し合い、食後はきれいに片づけをし、それらを通して、協力やマナーを学んでいる。私も給食を試食させてもらったが、おいしかった。日本でのランチタイムは、生徒の教育の一環であり、教育と切り離されたものではない。生徒は出されたものを何でも食べるし、給仕を受ける間、全員に配り終えられるまでは手を付けずに礼儀正しく待っている。

 訪問した多くの学校で、私たちは音楽が日本の教育システムの重要な要素であることに気づいた。訪れたすべての学校には楽団があり、生徒は様々な楽器を演奏していた。

広島市立 基町小学校にて (広島)

広島市立 基町小学校にて (広島)

 日本の生徒は15~20分ほどかかっても徒歩で通学する。校長先生が全員一緒に歩いて通えるように、近所の生徒同士を組み合わせるのだが、それは健康的なライフスタイルや日々の運動の奨励にも貢献している。

 私たちは、子どもたちが交代で教室や校舎を掃除する様子を、心から楽しんで見学した。用務員の手を借りずとも、トイレ、廊下、教室はピカピカだ。 日本では教室は生徒のものであり、単純明快だ。アメリカではあたりまえの授業ごとの移動はなく、生徒は自身の教室に留まり、各教科の教師がそこにやってくる。例外は保健体育、家庭科、音楽、特定の理科の授業、あるいは何であれ学習のために机以外のものを必要とする科目である。

 生徒は上履きと屋外用の靴を使用し、トイレに入る時には専用の靴(※スリッパ)を履く。外に出る時は日よけの帽子をかぶる。全員に玄関先の下駄箱が割り当てられている。(だが、本をしまうロッカーはない。本や所持品はすべて教室に置いている。) 通常の上履きに加え、多くの場合運動靴も必要だ。また、体育の時間には体操服に着替える。

ホストファミリーと

ホストファミリーと

 最後になるが、私たちはホームスティを心から楽しんだ。ホストファミリーは、歓迎の気持ちを私たちに伝えるため、また日本の文化やライフスタイルを私たちに教えるためにあれこれ手を尽くしてくれた。私たちはみな、様々な経験をしたが、それらはすべて非常に実りあるもので、日本文化に関する理解がとても深まった。

 この経験は、永遠に忘れられないものとなるでしょう。そして、私たちが多くの積極的な貢献を行うことで、日本人の生徒がアメリカの学校システムへ容易に切り替えられるようにする機会を与えてくれた。いかなる言葉を以てしても、この本当に貴重な経験への感謝の気持ちは言い尽くせない。すばらしい経験や学びの機会を与えてくれたすべての方々に感謝している。

※は、編集者注
(原文:英語)


日本の歴史、文化、教育に浸るまたとない機会

ノバイコミュニティー学校区(米国・ミシガン州) 生活指導 ディレクター
シャイリー パテル

 私たちは、プログラム最終日のフェアウエルディナーでスピーチを求められた。アメリカの教育者にこのようなすばらしい経験をさせてくれたIEJプログラム(国際教育者招聘事業)の関係者への感謝の念は言葉では言い尽くせないが、私は次のように思いを伝えた。

 「参加者を代表し、このプログラムを計画し、支援し、すばらしい思い出に残る経験をさせていただいたことに感謝申し上げます。私たちは、参加者間のみならず皆さま方とも協調的な関係を築くことができました。日本の歴史や文化、教育を通じた、まさに生涯忘れることのできない旅となりました。」

 私たちは小学校、中学校・高等学校、寺院等の歴史的な施設を訪問し、さらには、ホストファミリー宅でホームステイをさせていただいた。滞在中のこうした一つ一つの体験が、何世紀にも及ぶ日本の伝統、文化、コミュニティー、ライフスタイルに関する理解を深めるチャンスを与えてくれた。

 私たちが訪問した学校では、あまりにも温かい歓迎を受け、あたかも自分たちが非常に有力な教育者のグループであるかのような思いにさせられた。各学校で受けた親切や配慮に、私たち参加者は皆、感激し、元気づけられた。生徒は親切で礼儀正しく、彼らからは自分の学校の文化やコミュニティーに対する強い誇りが感じられた。

 ある学校では、子どもたちが、美しく繊細な、幸福と幸運の象徴である折り鶴を私たちにプレゼントしてくれた。日本の文化は、子どもたちが非常に早い年齢から、自ら物事を進めるスキルを育成するきっかけを作り出すというのはまちがいないようだ。

品川区立 立会小学校にて (東京)

品川区立 立会小学校にて (東京)

 私にとって学校訪問のハイライトの一つは、生徒たちが協力しながら給食を準備する様子を見学できたことだった。彼らはリーダーシップ、平等精神を発揮し、とりわけ共同社会において、役割を分担する仕組みを作り上げていた。

 今回の旅を通じて、私たちはこれまで経験したことがない日本の文化や伝統に浸るまたとない機会を得ることができた。たとえば東京では、日本の素晴らしい着物の着付け体験において、優雅で恭しい貴重なひとときを過ごすことができた。

 私たちはまた、東京の他に、広島、京都、奈良、斑鳩といった日本の地方都市を訪問する機会があった。受入れ先の配慮や事務局の熟練したサポートのおかげで、短い期間ではあったが、私たちは各地域の真髄に触れることができ、人々の精神や豊かな歴史に対する理解を深めることができた。

斑鳩における歓迎式典にて (奈良)

斑鳩における歓迎式典にて (奈良)

 個人的には広島がとても印象深く、広島がいかにしてその平和記念都市としての歴史を継承しつつ、まことに現代的な国際都市を構築する礎としてその経験を生かせているのか、ということに感銘を受けた。宮島—「神々の島」—では、鹿と人間とのつつましやかな友情や平和的共存に心を奪われた。

 今回の旅を通じ、私たちは日本の歴史や文化に浸り、多くのすばらしい思い出で心を満たすことができた。それらの思い出をアメリカに持ち帰り、教育関係者たちと共有している。人間的成長と同時に、最も重要なこととして、これらの思い出や経験は、日本文化に関するより強い理解を私たちに与えてくれたし、今後ここアメリカで暮らす日本人家族や生徒とより緊密に連携することを可能にしてくれるでしょう。

(原文:英語)


関連ページ
平成29年度 第42回 国際教育者招聘事業



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