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ASEANの新車販売、2017年は333万台~日本市場の3分の2の規模に 時事総合研究所 客員研究員 山川 裕隆 【配信日:2018/5/31 No.0279-1077】

配信日:2018年5月31日

ASEANの新車販売、2017年は333万台
~日本市場の3分の2の規模に

時事総合研究所 客員研究員
山川 裕隆


 国民所得が増えているASEANでは、自動車市場が拡大傾向にある。2017年のASEANの新車販売台数はインドネシアとタイの2大市場に支えられ約333万台となった。今後も増加を続け、2020年には400万台近くにまで達する見通しだ。


 総人口約6億3000万人を擁する東南アジア諸国連合(ASEAN、10カ国で構成)の新車販売台数は2012年から6年連続で300万台を超えている。ASEAN自動車連盟によると、2017年のASEAN(カンボジアとラオスを除く)の新車販売台数は前年比5%増の333万9693台で、日本市場(約500万台)の約3分の2に相当する規模だ。域内の国民所得は増加傾向にあり、自動車を購入する層が今後増えることは必至で、ASEANはいずれ日本を上回る自動車市場になりそうだ。

ASEAN新車販売台数(合計)  ASEAN自動車連盟がまとめたASEANの新車販売台数によると、2012年は347万3288台で初めて300万台を突破した。主因は(1)タイの新車販売台数が前年比81%増の143万6335万台と大幅に増加した(2)インドネシアも同25%増の111万6212台で、100万台を初めて超えたーことが挙げられる。2013年はさらに増加し、354万9506台となった。2014年から2年間は前年を下回ったが、2016年から再び増え続けている。

ASEAN新車販売台数(主要5か国) インドネシア、4年連続域内トップ

 2017年のASEANの主要8カ国の新車販売台数を見ると、トップはインドネシアで107万9534台(前年比2%増)、2位はタイで87万1650台(同13%増)、3位はマレーシアで57万6635台(同1%減)。以下、フィリピン(前年比18%増の42万5673台)、ベトナム(同7%減の25万619台)、シンガポール(同5%増の11万6148台)、ブルネイ(同15%減の1万1209台)、ミャンマー(同97%増の8225台)が続いている。

 インドネシアは2014年(120万8019台)にタイ(88万1832台)を抜き、ASEANでは2017年まで4年連続首位を維持している。インドネシアは、人口が2億6000万人でASEANの国では最も多く、タイ(6800万人)の約4倍だ。2016年の1人当たり国内総生産(GDP)は3605ドルだ。3000ドルを超えると自動車が売れると言われており、インドネシアはまさにモータリゼーションの時代が到来しているわけだ。

 インドネシア市場での日本車のシェアは95%を超えている。同国は7人乗りの多目的車(MPV)が人気車種で、全体の約4割を占める。旺盛な需要に対応するため、日本メーカーは同国で既存工場の拡張や新工場を設けるなど増産に向けた動きが活発だ。

自動車が増え続けるインドネシア

自動車が増え続けるインドネシア

タイ、2017年増加に転じる

 ASEANでインドネシアに次いで自動車の販売が多いのがタイだ。同国の新車販売台数は新車購入奨励策により2012年は143万6335台(前年比81%増)と急増。その後、2013年(133万672台)から2016年(76万8788台)まで4年連続で減少した。しかし、2016年10月のプミポン前国王の死去に伴う買い控えが終わった2017年は2ケタ増に反転。同国で人気があるのはピックアップトラックと小型乗用車で合わせると全体の約8割を占めている。

 ASEANで新車販売台数第3位はマレーシアだ。同国の新車販売台数の推移を見ると、2010年(60万5156台)に60万台を突破、その後、2015年(66万6674台)まで60万台を超えていた。しかし、2016年(58万124台)と2017年(57万6635台)の2年間は国内景気の低迷により60万台を割った。人口3100万人のマレーシアはインドネシアやタイに比べて乗用車の比率が圧倒的に高い。

 人口1億人を超えるフィリピンは2014年に23万4747台で、初めて20万台を突破。その後も順調に増え続け、2017年は40万台を超えた。同国はASEANでは4番目に新車販売台数の多い国になった。それに次ぐのが人口9200万人のベトナムだ。2015年以降20万台を突破しているが、30万台には達していない。

域内市場、2018年は350万台前後

 2018年のASEANの新車販売台数はどのくらいになるのだろうか。主要国のインドネシア、タイ、マレーシアはそれぞれ約112万台、93万台前後、60万台強でいずれも前年に比べ増加する見通しだ。景気が回復しているタイの新車販売台数は2018年1月~3月は順調に増加している。インドネシアではMPVの新モデル投入により、その需要が期待されることやインフラ投資などによって商用車の需要が見込まれている。マレーシアでは2018年は好調な成長が見込まれ、消費者マインドが高まることから、3年ぶりに60万台を突破する可能性が強い。

 一方、新車販売台数が不透明なのはフィリピンとベトナムだ。これまで好調だったフィリピンは2018年1月からの物品税の引き上げで、新車販売台数に影響が出始めている。このため、2018年は42万台を超えた2017年を下回ることも考えられる。ベトナムでは同国政府が1月、輸入車に関して生産国側の品質認証の提出などを義務付けたことから、自動車輸入が制限され、販売にも影響している。この状態がこのまま続くのか、それとも同国政府が規制の見直しを行うのかによって、販売台数も左右されそうだ。いずれにしても、ベトナムでは中所得者層の増加による消費志向は高まっており、2018年はほぼ前年並みの25万台前後になりそうだ。

 このほか、シンガポールやブルネイ、ミャンマーを加えると2018年のASEANの新車販売台数は350万台前後になる見込み。ASEANでは所得が増加し、新車の購買意欲が高まっており2020年には400万台近くまで増えることが予想される。


執筆者プロフィール
時事総合研究所客員研究員 山川 裕隆

時事総合研究所 客員研究員 山川裕隆
青森県五所川原市生まれ。青山学院大学法学部卒、1975年に時事通信社に入社、編集局に配属。旧通産省や農水省などを担当したほか、自動車や流通(百貨店やスーパーなど)、旧大蔵省のキャップを歴任。経済部次長や岐阜支局長などを務めた後、国際室次長に就任してベトナム速報の立ち上げに貢献。2012年からは時事総合研究所客員研究員として、東南アジア各国を時々訪問し、現地に進出している日本企業などを直接取材している。内外情勢調査会の地方支部などで東南アジアに関する講演も行っている。


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