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平成30年度国際教育者招聘事業 (IEJ) (1) 夢がかなった! ウォールド・レイク統合学区 小学校(米国ミシガン州)教師 ブレンダ レイモンド、マルティン・ルーサー・キングJr. 小学校(米国ミシガン州) 校長 メアリー クーパー【配信日:2018/9/28 No.0283-1088】

配信日:2018年9月28日

平成30年度国際教育者招聘事業 (IEJ) (1)
夢がかなった!

ウォールド・レイク統合学区 小学校 (米国ミシガン州) 教師
ブレンダ レイモンド

マルティン・ルーサー・キングJr. 小学校 (米国ミシガン州) 校長
メアリー クーパー


 IISTは2018年6月24日~7月5日、日本人子女教育に携わる欧米の先生方・教育関係者を招聘する「IEJプログラム」を実施しました。このプログラムは、海外の教育者に、日本の教育環境、歴史・文化に触れて頂き、その経験を現地の教育現場で活かして頂くことを目的としています。今年の参加者31名のうち2名のプログラム参加報告を、本号と次号の2回に分けて掲載します。


はじめに

 12日間+4つの訪問地域+学校訪問3校+息をのむほどの美しさ+格別なおもてなし+ 貴重な学び = 生涯の思い出となる旅!!!

 日本への旅は、期待をはるかに超えるものだった。全米、カナダ、ブリュッセル(ベルギー)から集まった教育者たちとの出会いと学びは、参加者たちの学習の輪を広げ、新しい友と出会い、互いに学び合う機会を与えてくれた。私たちミシガン州からのグループはしっかりと絆が結ばれ、真の友人になった。この旅は、まさに有意義な経験だった。私たちには、日本人の家庭で過ごし、日本の学校について学び、教壇に立つ(編者注:プログラム中に模擬事業を行った)経験も用意されていて、この美しい国の文化や食べものを堪能し、人々の素晴らしさを知る時間も頂いた。

鈴乃屋(東京)で着物の着付けを体験するデトロイトのグループ。

鈴乃屋(東京)で着物の着付けを体験するデトロイトのグループ。

学校訪問

 外国の学校を訪問することは、多くの教育者が望むことではあるが、なかなかそのチャンスは訪れない。私たち教育者グループのほぼ全員が持った感想は、日本の学校について予想していたことには多くの誤解があったということだ。真っ直ぐに並んだ机、教師主導、自己完結的であるなどは、日本の学校を視察し、自ら教える機会を得るまで抱いていた誤解の一部である。

 3つの異なる学校を訪問したことで、私たちは、まさに子供は子供であることを認識し、日本の学校生活は米国の学校生活をどこか彷彿とさせるものだと気づいた。当然、違いもある。しかし、米国の子供たちと同様に、日本の子供たちは私たちの年齢を尋ね(私が58歳というと、ええっと驚いた!)、誕生日や好きな色を聞いてきた。

 模擬授業(編者注:全て英語で行われる)では子供たちは積極的に英語を学ぼうとし、おやつを余分にもらったときには歓声を上げていたし、鼻血を出している子を助ける少女もいれば、廊下で一人泣いている子もいた。授業ではOHPやインタラクティブ動画が利用されていた。どれもこれもすべて米国の学校で日常的に見られる光景だ。

 日本の学校が米国と比べて際立つ側面がいくつかあった。協調性、共同体(コミュニティー)、勇敢さ(リスクテイキング)を重視していることは、訪問した3校において、いずれも明らかだった。

1. 共同体として校舎をきれいにする責任

 立会小学校の玄関に入り、靴を脱いでスリッパに履き替えた瞬間に、学びは始まった。生徒と教師は、清潔さがこの学校の名誉の一つだと考えているため、きれいにすることに気を使っている。市内と同様に、学校の廊下もごみは散らかっていなかった。

給食を配膳する生徒たち

給食を配膳する生徒たち

2. 共同体として食事をとる責任

 教室での給食の様子は、見ていて感心しきりだった。6~7人の生徒が白衣と帽子を着用して、クラスメートと見学者に食事を配る。この生徒たちは協力し、何か問題があっても上手く解決していた。教師は横に控えており、必要に応じて助言していた。1年生を受け持つ先生は、最小学年である生徒たちに一生懸命に手順を教えているようだった。全員の配膳が終わるまで、誰ひとり食べ始めない。

 生徒は4~5人の班に分かれて、静かに会話しながら給食を食べていた。誰かが食べないものがあれば、元の深鍋に戻し、他の生徒が自由にとって食べる。食べものをいっさい無駄にせず、残飯も出ず、全員が満足していた。

3. チャレンジする機会

 運動場では、生徒たちが遊んだりふざけ合ったりして賑やかに活動していた。
休み時間に一輪車に乗る立会小学校(東京)の生徒たち

休み時間に一輪車に乗る立会小学校(東京)の生徒たち

子供たちが一輪車に乗っている光景に、私たちは皆驚いた。しかし実をいうと一輪車はまさに日本人を象徴している、根気、バランス、忍耐、勇気、信頼の遊具である。これは完璧主義者のためのものではない。果敢に挑戦するリスクテイカーのための活動なのである。一輪車に乗るということは、一般には何度も何度もトライしては失敗し、転ぶということを意味する。しかし、それによって子供は肉体、精神、感情、社会性において本当に成長できるのだと私たちは気がついた。

4. 学級運営と学習を行う共同体としての責任

 生徒の朝礼は、学校の共同体意識を育むのに一役買っていた。子供たちは明らかに朝礼での行動と期待される振る舞いの練習を積み重ねており、そのことが朝礼を円滑に進め指導の時間を最小限に留める役に立っていた。朝礼はまた、その日の学校生活の雰囲気を作り上げるものであった。教師はクラスの生徒の様子を注意深く観察し、生徒の着席のしかたによって、態度を直す必要があればその生徒に耳打ちで指導することもできた。

 教室内では、生徒は二人一組で机を並べていた。生徒達は後ろを振り返って話をする機会をしばしば与えられ、クラスメート同士で学習を共有していた。英語の模擬授業でも見られたように、生徒たちは別の生徒が困っていれば互いに助け合うよう促される。奈良女子大学附属小学校では、生徒の一人が「学習係*」として教師と共に授業を進行していた。教室の騒がしさが一定レベルに達すると、その生徒がタンバリンを鳴らすのだ。

 他にはクラスノートをつける係の生徒もいた。このレベルの協調と相互関係は、私たちが予想もしないことだった。

(*編者注:奈良女子大学付属小学校では、教科ごとに2、3名の児童が「学習係」として、教師と共に授業を進行する。この「学習係」は持ちまわりで、全ての児童が行う。)

5. 共同体として児童の安全な登校を確保する責任

児童の安全な登校
 全校生徒による安全で系統だった徒歩通学は、日本の日常生活に見られる円満な協調性の典型だった。生徒達は集団で歩いて登校し、友だち同士おしゃべりをしながらも上級生は下級生に目を配る責任をもち、通学路に毎日ボランティアで立って安全な登校を見守る高齢者にはきちんと挨拶をしていた。この日課に加わるのは実に素晴らしい経験だった。

日本の美と輝き

 日本の美しさと壮麗さは圧巻である。京都の竹林、禅の庭、金閣寺から水田や山並みまで、息をのむような景色に囲まれた。宮島の緑に包まれた豊かな山々と神社は、私たちの記憶から消えることはないだろう。日本人は自国の美しさを維持するために努力を惜しまないが、そのことがはっきりわかる行動の一つは、ごみ拾いを欠かさないことである。国を大いに尊ぶ日本人の精神ゆえに、都市であっても野球のスタジアムや地下鉄にごみ一つ落ちていなかった。今日私たちの目は何に釘付けになるのだろうとわくわくするのが毎朝の楽しみであり、その期待が外れたことは一度もなかった! 

 美しく盛り付けられた食事から、圧倒されるほど見事なデパートの飾りつけまで、細部へのこだわりはあらゆるところに行き渡っていた。東京の夜景も見どころだった。光り輝く東京タワーと夜の灯りは美しかった。

宮島の五重塔と京都の竹林

宮島の五重塔と京都の竹林

奈良の東大寺で仏教の僧侶とともに

奈良の東大寺で仏教の僧侶とともに

ホストファミリー

 ホスピタリティという言葉をウェブスター辞書でひくと、「客、訪問者、見知らぬ人に対する温かく寛大な迎え入れともてなし」とある。この説明では、私たちが親切なホストファミリーから受けた丁重な扱いを到底表しきれない。

 ホストファミリーは私たちが快適に過ごせるようにとベッドを明け渡し、自らは畳の上で眠った。ある家庭では、訪問者側は日本語が少ししかわからず、ホストファミリーは英語が少ししかわからなかったが、グーグル翻訳のおかげで会話が成立した。食事は愛情と思いやりをこめて用意されており、私たちの食事制限にも配慮が行き届いていた。最終日、学校まで送ってもらい自動車から降りるとき、ホストファミリーの一人は日焼けしないようにとゲストの頭上に日傘をさしかけてくれた。私たちのホストファミリーは、ホスピタリティを絵に描いたような人たちだった。

斑鳩で私たちを迎えるホストファミリー

斑鳩で私たちを迎えるホストファミリー

知り合いを探し求めて

 旅をするときは、世界のどこにいようとも、知っている人を探すものである。この生涯の思い出となる旅の間、知り合いには会わなかったが、子供たちやホストファミリーは、私たちの学校の日本人生徒や家族に似ていると気づいた。子供たちのいたずら好きな陽気さから大人たちの礼儀正しさまで、日本の人々や文化への理解を深めることに歩みを進める旅だった。

 9月に自分の学校に戻ったら、日本の家族とこれまで以上に気持ちが通じるだろう。「オハヨウゴザイマス」と挨拶するだけでなく、有意義なやり方で現地の学習環境に貢献したいと思う彼らの望みが十分に理解できるだろう。この素晴らしいおもてなしの国で目にした同じ価値観を、自国でも組み込んで具現化するよう努力していこう!

アリガトウゴザイマス、IIST!

東京ドームで読売ジャイアンツの試合を観戦!

東京ドームで読売ジャイアンツの試合を観戦!



執筆者プロフィール

ブレンダ・レイモンド
ブレンダ・レイモンド(Brenda Raymond)は教員として米国ミシガン州ウォールド・レイク統合学区で小学校1年生を教えている。教職歴30年間に100人以上の日本人生徒を教えてきた。旅行と教育に情熱を注ぐ生涯学習者である。ブレンダは日本での指導を余すところなく楽しみ、この来日経験が得られたことに感謝している。

メアリー・クーパー
メアリー・クーパー(Mary Cooper)は、ミシガン州アナーバーのアナーバー・パブリックスクールに属するマーティン・ルーサー・キング・ジュニア小学校の校長を務めている。教職に就いてから36年が経ったが、このうち8年間は校長を務め、これまでの学びのすべての歩みを愛してきた。メアリーは今回、31人の素晴らしい教育者たちと生涯の思い出となる旅を経験する機会に恵まれた。


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