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配信日:2004年3月15日

韓国における日本大衆文化の開放

日本貿易振興機構ソウルセンター
次長

鈴木 一司


韓国では 1998 年の金大中(キム・テジュン)大統領の登場により、段階的な日本大衆文化の開放が開始され、 2004 年1月 1 日からは第4次の文化開放が実施されている。

 現在、韓国を訪問する日本人は年間 230-240 万人、平均 2 泊 3 日の日程とすると1日平均 2 万人近い日本人旅行者が韓国に滞在していることになる。一方、日本を訪問する韓国人は年間 130-140 万人であるが、日韓の人口比( 1.2 億人と 0.5 億人)や韓国人の日本訪問には VISA が必要であることを考えると韓国人の日本に対する関心は高い。
このように国民レベルで太い交流がある日韓両国であるが、歴史的背景を理由に韓国における日本の大衆文化の開放は長年にわたり制限されてきた。

しかし、 1998 年の金大中(キム・テジュン)大統領の登場により、段階的な日本大衆文化の開放方針が打ち出され、以後4次にわたる開放が実施されている。

最近 5 年間の文化開放の進展は少し複雑であるが詳細に振り返ってみたい。韓国政府の慎重な政策決定方針が窺える。

【部分開放が中心の第1次、第2次開放】
98 年の第1次開放では漫画が全面開放され、また、映画が部分開放された。
映画は、日韓共同制作映画及びカンヌ・ベネチア・ベルリン各映画祭とアカデミー賞の4大映画祭のいずれかで受賞した日本映画が対象となった。ただし、映画の中に劇場用アニメ映画は含まれていない。また、映画の開放とは映画館での上映を開放することを意味しており、テレビでの日本映画放映が開放された訳ではない。
99 年の第 2 次開放では、映画の追加開放と大衆歌謡公演の部分開放(= 2000 席以下の室内で行われる公演に限定)が行われた。
映画は4大映画祭以外の国際映画祭受賞作品の全てと国際映画祭受賞作以外の日本映画(ただし、後者は、観覧に年齢制限がないものに限定)が追加開放された。今回も映画の中にアニメ映画は含まれず、映画館での上映に限定された。劇場用アニメ映画は青少年に影響が大きく、テレビでの放映は国民への影響が大きいと判断されたからである。
第 1 次、第 2 次開放は、開放といっても制限の多い部分的な内容であった。 

【本格的な開放となった第 3 次開放】
2000 年の第 3 次開放では、大衆歌謡公演が全面開放された。
次に、映画の追加開放が行われた。国際映画祭受賞作品以外の日本映画の上映について、「 12 歳以上観覧可」及び「 15 歳以上観覧可」の映画が追加開放された(「 18 歳以上観覧可」の映画は未開放のまま)。
映画では初めて劇場用アニメ映画が開放対象となり、国際映画祭・国際アニメ映画祭受賞作品に限定して映画館における上映が開放された。
この他、CD・レコード等の音盤は、日本語歌唱音盤以外のもの(すなわち、日本で作られた演奏音盤や第3国歌唱音盤等)が開放され、ゲームでは PC ゲーム、オンラインゲーム、店舗用ゲームが開放された。

また、初めて放送分野が開放対象となったが、その内容はスポーツ、ドキュメンタリー、報道番組に限定された。放送は全国民に影響が及ぶと判断されたため、映画館での上映が概ね開放された日本映画についても地上波放送での放映は開放されなかった。しかし、視聴者限定の有料放送であるケーブルテレビや衛星放送においては、第1次から第 3 次迄の文化開放により国内で上映された日本映画の放映が可能となった。

【全面開放が増加した第 4 次開放】
2004 年 1 月 1 日からの第 4 次開放では、映画(映画館での上映)、音盤(CD・レコード)、ゲームが全面開放された。これは、「 18 歳以上観覧可」や「制限上映可」の日本映画や日本語歌唱音盤、家庭用ゲーム機用ビデオゲームが開放されたことを意味する。
ただし、劇場用アニメ映画は 2006 年 1 月 1 日から映画館での上映を全面開放することとされた。韓国内で育ちつつあるアニメ産業が定着するための最小限の猶予期間を設定したためであり、韓国文化観光部は現在「アニメ産業中長期育成計画」を策定中である。
また、放送分野では追加開放が行われた。

ケーブルテレビと衛星放送では、生活情報番組、教養番組、日本語歌唱、韓国内の映画館で上映された日本映画・劇場用アニメの放映が全面開放され、ドラマについては、日韓共同制作ドラマ及び「全年齢視聴可」、「 7 歳以上視聴可」、「 12 歳以上視聴可」のドラマが開放された。
地上波放送では、上記のうち、生活情報番組、教養番組、韓国内映画館上映の日本映画(劇場用アニメを除く)が全面開放された。一方、日本語歌唱は日本人歌手の公演中継と日本人歌手の韓国国内放送出演に限定され、ドラマは日韓共同制作ドラマに限定された。
  第4次迄の文化開放で、韓国国民が対価を払って楽しむタイプの日本大衆文化は基本的に開放されたと考えることができる。

【第5次以降の開放について】
  第5次以降の文化開放はその実施の時期等は未定であるが、国民が対価を払うことなく家庭で楽しむことができる地上波テレビ放送分野での娯楽型番組(バラエティーショー、トークショー、コメディ等)の開放が主な対象となるものと思われる。また、ビデオに関しては、第4次迄の文化開放により国内で上映された日本映画・劇場用アニメ作品のビデオに開放分野が限定されているため、更なる開放が期待される。
第5次文化開放が最終開放となるのか、第6次以降の開放が続くのか韓国政府当局の政策判断が注目される。


 
 
 

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