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配信日:2005年4月15日

高師附属中蹴球部創立80年の歴史と日本のサッカー

センチュリー・リーシング・システム株式会社
理事

林 嘉宏


東京高師附属中(現筑波大学附属中、高)は明治21年(1888年)の開校、日本のサッカーの草分けで蹴球部も昨年創部80周年を迎えた。この機会に日本サッカーのひとこまをサッカー部の歴史と共に振り返る。

 東京高等師範附属中学(略して「附属」、のちの東京教育大学附属中・高、現筑波大学附属中・高)が開校したのは明治21年(1888年)、今年は創立117年となるが蹴球部も昨年(2004年)80周年を迎えた。この機会に歴史を振り返ることにしたい。卒業生の一人として憧れの海兵型の制服がなくなり往年の面影が見られないのは残念であるが学業と共にスポーツの盛んな学校としても知られている。対校試合ではほとんどのスポーツで一斉に実施される春の学習院、女子学習院との院戦(学習院では附属戦と呼んでいる)が最大のイベントで、新しい学制になってから55年、戦前の旧制時代を含めると種目によっては111年の歴史を持つ。次に古いのは大正9年(1920年)に始まった端艇部の開成とのボートレースで早慶レガッタより古く日本最古のボートレースである。

 その中で校技としての地位を占めていたサッカーでは戦後の昭和22年(1947年)から湘南高校との対校戦がスタートした。前年の第1回国体予選を兼ねた東京蹴球選手権で附属は1対0で五中(小石川)を破り優勝したが国体東日本予選で湘南に1対3で敗れ本大会出場はならなかった。この年湘南は国体で優勝を果たしておりその湘南に対戦を申し入れて始まったもの。この定期戦は本年58回目だが成績は互角である。生徒の誇りは東京高等師範ならびに同附属中学が日本の蹴球の草分けであることだろう。明治36年(1903年)東京高等師範が出版したサッカーの指導書(翻訳)「アソシエーション・フットボール」にも参画したといわれている。講道館柔道の創始者として名高い嘉納治五郎が当時東京高等師範ならびに附属中学の校長として明治26年(1893年)から15年間在籍していた時代にスポーツを奨励しいろいろな運動部の礎が築かれたものである。

 現在の財団法人日本サッカー協会の前身である大日本蹴球協会は大正10年(1921年)に創設された。附属の資料ではその前後の記録も残されておりたとえば大正9年(1920年)2月の第3回関東中等学校蹴球大会では青山師範に2対2で敗退しているがこれは当時同点の場合はコーナーキックの数によるというルールがあったからの由。このようなサッカーの揺籃期の大正13年(1924年)正式な運動部として発足、翌年の第2回東京高師主催中等学校ア式蹴球大会で暁星を3対1で破り優勝した。この大会の出場校は19チーム、中には五中(小石川)、暁星、独協、早実、成城、浦和、横浜二中(希望ヶ丘)などの名前も見える。この後昭和5年(1930年)までこの大会に6連勝した。さらに戦後は国体には3度、インターハイには戦前を含め4度出場し昭和34年(1959年)にはベスト4に入っている。

 近年日本のサッカーはJリーグの成功を一つの転機として大躍進を遂げているが意外と知られていないのが昭和30年代の蹴球協会の地道な努力である。東京で開催された第3回アジア大会(1958年)の準備の一環としてその前年スウェーデンから「グラスホッパー」というクラブチームを招待して戦後初の国際試合が行われたが、この時期蹴球協会は中高生の団体を無料にして底辺の拡大に努め、他方頂点の強化にドイツからクラマーコーチを招聘した。これらの成果がメキシコオリンピックの銅メダルであり実業団チームによる日本リーグのスタートであったといえる。今でこそ芝生のグラウンドは当り前であるがこのアジア大会では急いで作った小石川サッカー場の芝生の養生が間に合わず急遽麦を蒔いて芝生の代用にしたというエピソードも伝えられている。

   競技人口が急増したのは昭和60年(1985年)頃である。この年高校のサッカー部の登録チーム数が3678校となり初めて野球部の数を上回ったが、東京都内の少年サッカークラブが1年で50チーム増えて246チームになったことも象徴的な出来事であった。これは見るスポーツより自らプレーするスポーツへの関心が高まったことと実際にプレーしてみてその楽しさが認知されたこと、即ちサッカーの面白さが根底にあると考えられる。サッカー人口の増加と技術的な進歩により日本もアジアではそろそろワールドカップの常連になってしかるべきだと考えられるがなぜか安定感に欠けているような印象がある。試合の流れのつかみ方、即ち勝ち方にもう少し工夫が必要と思われてならない。
 
 
 

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