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配信日:2008年7月1日

「ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会 最終報告書」の公表について

経済産業省 経済産業政策局 新規産業室
室長補佐

林 勇樹


ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会は、2008年4月30日、「ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会 最終報告書」を取りまとめ、公表いたしました。

 ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会(委員長:松田修一 早稲田大学ビジネススクール教授)は、2007年9月より8回にわたり、ベンチャー企業に係る諸課題について検討してまいりました。本報告書は、2007年11月に「ベンチャー企業の資金調達に関する中間報告」を公表した後、新たに、(1)ベンチャー企業創業人材の発掘・育成、(2)ベンチャー企業の成長、(3)ベンチャー企業と既存企業 の3つのテーマについて検討を行い、取りまとめたものです。

 今後の我が国経済のより一層の発展のためには、新しい技術やビジネスモデルを有し、大きなビジネスリスクをとって新規事業に挑戦する中小・ベンチャー企業の創出・成長が極めて重要です。経済産業省では、これまでも中小・ベンチャー企業の創出・成長に向けて最低資本金規制の撤廃をはじめとする各種支援施策を整備してきたところであり、また新興株式市場の開設、ベンチャーキャピタルの成長等により、中小・ベンチャー企業を取り巻く制度的枠組みも急速に整備されてきており、我が国の中小・ベンチャー企業の創出・成長環境は、飛躍的に向上してきたと言えます。しかしながら、2000年頃には世界的なITブームに乗って我が国でも多くのIT・サービス系ベンチャー企業が注目されたものの、我が国全体として見ると、開業率(新規開業企業数の現時点企業数に占める割合)は、5.2%(2004年〜2006年平均)と、廃業率(廃業企業数の現時点企業数に占める割合)の6.2%(2004年〜2006年平均)を大きく下回っており、米国(10.2%)、英国(10.0%)、フランス(12.1%)(いずれも2004年データ)と比しても低水準にとどまっています。また、新興株式市場の上場環境の悪化等、懸念すべき状況もみられます。

 こうした状況を踏まえ、本報告書では、次の6つの課題を抽出し、その対応策を示しております。

課題1 起業スキルの不足
 日本人で起業スキルがあると考えている人は15.2%であり、42ヶ国中、ロシアについて下から2番目となっています。このため、本報告書は、(1)大学・大学院での起業家教育の拡充や(2)ベンチャー創業にフォーカスした起業支援の充実 を対応策として挙げております。

課題2 グローバル級ベンチャー企業の不在
 大企業もベンチャー企業も、世界第二位の経済力と1億2千万人の市場に安住しており、日本のベンチャー企業で海外展開している企業は1/3となっています。このため、本報告書は、(1)海外展開に積極的に取り組むためのベンチャー企業の意識改革や(2)ベンチャー企業による海外展開への国の積極支援、(3)外国人人材の活用  を対応策として挙げております。

課題3 起業家を育てる文化の欠如
 起業家の「ひよこ」を育てるエンジェル投資家がいない状況となっております。このため、本報告書は、(1)エンジェル税制の抜本強化と利用促進や(2)エンジェルネットワークの組織化・活性化、(3)エンジェル投資家ファンドの造成 を対応策として挙げております。

課題4 資金力に乏しいベンチャーキャピタル
 日本のベンチャーキャピタル業界の投資規模は、欧米の1/5以下です。投資先1件当たりの投資額も小さく、世界級ベンチャーの不在や小型上場の原因にもなっております。このため、本報告書は、(1)年金基金からの出資の拡大や(2)ベンチャーキャピタル投資の情報提供 を対応策として挙げております。

課題5 機関投資家不在の新興株式市場
 機関投資家不在の新興株式市場は、流動性が低く株価も不安定。新興株式市場で、合理的な価格形成に基づく適正な規模の取引が行われないと、新興株式市場を「出口」とするベンチャーキャピタルも、ベンチャー投資ができなくなってしまいます。このため、本報告書は、(1)プロ向け市場の整備や(2)アナリスト紹介制度、ベンチマーク指標等の整備、(3)機関投資家への情報提供 を対応策として挙げております。

課題6 IPO至上主義からの脱却
 日本ではベンチャー企業はIPOを目指すものという常識があります。ベンチャーキャピタルもIPOを前提に投資しており、新興株式市場のIPOが困難になると、未上場ベンチャー企業の資金調達も困難になってしまいます。このため、本報告書は、(1)コーポレートベンチャリングの推進や(2)ベンチャーキャピタル・ベンチャー企業間の投資契約の改善 を対応策として挙げております。

 経済産業省としては、本研究会で取りまとめられた政策課題への対応に向けて努力して参りたいと考えております。
 
 
 

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