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配信日:2010年6月21日

航空機ビジネスミッション in US
ミッションから見えた中小企業の課題と今後

経済産業省 近畿経済産業局 産業部 製造産業課
課長補佐

西野 聡


近畿経済産業局では、川下企業や関係機関との連携により、技術力のある中小企業の航空機分野への参入支援、サプライチェーンの強化に取り組んでいます。米国(シアトル)への「航空機ビジネスミッション」の派遣を中心に、その活動を紹介するとともに、中小企業の課題と今後について展望します。

○関西国際航空機市場参入等支援事業
 近畿経済産業局では、平成21年3月に策定した「関西国際航空機市場参入等支援事業」(協働プログラム)に沿って、川下企業(川ア重工業(明石)、島津製作所(京都)、新明和工業(神戸)、住友精密工業(尼崎)など)や日本航空宇宙工業会をはじめとする関係機関との連携の下に、中小企業等の市場参入支援、関西の航空機分野におけるサプライチェーン強化等を目指した事業を展開しています。
 これまでに、1)情報提供事業(ガイダンス・セミナー(延べ1,100名参加)、整備工場見学会、川下メーカー工場見学会等)、2)指導事業(専門家による中小企業への訪問指導(47社)、事業提案ブラッシュアップ塾等)、3)マッチング事業(個別マッチング、合同提案会(24社提案)、海外ミッション等)を実施するとともに、日本全国の航空機市場参入への取組を調査し、「航空機産業参入事例集」をとりまとめました。

関西国際航空機市場参入等支援事業ホームページ
http://www.kansai.meti.go.jp/3-5sangyo/kokuuki/kokuukitop.html

○航空機ビジネスミッション in US

 (財)貿易研修センター及びジェトロとの共催により、航空機産業への新規参入・本格参入を目指す中小企業等を支援するため、3月1日から5日間の日程で、米国シアトルにミッションを派遣し、ボーイング社を含む米国大手航空機関連メーカーとのビジネス交流の機会を提供しました。
[ミッションの構成](19名)
(団長)
榊 達朗   川崎重工業且ミ友(元川崎重工業且謦役岐阜工場長)
(顧問)
岩村 順一 岩村コンサルティング事務所代表(元双日シアトル支店長)
(企業)
6社
シャープ(株)、ハードロック工業(株)、鞄c中(以上大阪府)、(株)I.S.T(滋賀県)
三益工業(株)(東京都)、(株)ヒロコージェットテクノロジー(広島県)
(主催者)
経済産業省、近畿経済産業局、(財)貿易研修センター、ジェトロ大阪本部
[主な内容]
(1) 周辺サプライヤー訪問
 以下の4社を訪問し、各々工場見学、参加企業のプレゼン、意見交換を実施しました。
 
1) Aviation Technical Services(ATS):MRO事業者
2) Primus International(プライマス):機械加工等メーカー
3) Heath Tecna Inc.(ヒーステクナ):内装品メーカー
4) NABTESCO Aerospace Inc.(ナブテスコ):油圧機器の販売・サービス
(2) ボーイング社訪問
ボーイング社による事業説明、意見交換、エバレット工場視察、787ギャラリー視察を行いました。
(a)
ボーイング社及び周辺サプライヤーへの訪問を通じて、米国の民間航空機製造ビジネス等への理解を深めることができました。特に、米国における様々な分野のサプライヤーの事業戦略、設備投資、サプライチェーンなどについて理解することができ、参加企業が自社の戦略を検討する上での有益な情報を入手することができました。
(b)
訪問先企業でのプレゼンテーション、意見交換を通じて、参加企業が、次のステップにつながる情報を入手することができ、将来のビジネスチャンスの可能性を見いだすことができました。
(c)
その他、参加企業同士の交流促進、現地で交流した駐在員とのネットワーク形成につながりました。

シアトル・訪問先のロケーション
 
(ボーイング社との意見交換)

○ミッションから見えた中小企業の課題等
 今回のミッションは以上の成果がありましたが、日本の中小企業の課題も浮き彫りになりました。例えば、今回訪問した米国のサプライヤーは、ある企業では設計能力と提案能力を高めることで日本も含めた顧客の信頼を勝ち取っています。別の企業では、技術力をコアに、企業買収による事業拡張、国際事業への展開とグローバルなサプライチェーンの構築を行っています。
 これに対して、日本の中堅・中小企業は、モノづくり技術には優れていますが、一貫生産のための体制整備、コスト競争力強化のためのグローバルなサプライチェーンの強化、受注のための設計力と提案力の保有といった戦略的取組が不足しています。

 また、航空機産業への新規参入に際しては、参入の分野・ステージ別に体制整備を進めていく必要があります。分野としては、供給先別(機体・エンジン・装備品等)、提案タイプ別(サプライチェーン参加型・バリュー創出型)、提供タイプ別(新素材・工程外注・機械加工部品・複合材部品・装置・治具・サービス等)に様々なパターンがありますので、それらに応じてユーザーニーズを適確に把握し体制整備と提案を行う必要があります。

中小企業の参入分野(イメージ図)

 例えば、最近のバリュー創出型の参入事例としては、コミー(埼玉県:航空機の手荷物入れ等の鏡)、デルタ工業(広島県、航空機用座席)などがあります。このような企業をはじめ、タイプ別の参入事例や中小企業の体制整備における課題については「航空機産業参入事例集」としてまとめておりますのでご参照下さい。

ステージ別参入準備・体制整備(イメージ:機械加工)(PDF:77KB

航空機産業参入事例集ホームページ
http://www.kansai.meti.go.jp/2kokuji/koukuuki2010jirei/kukuuki2010jirei.html

○今後の取組について
 近畿経済産業局では、「関西国際航空機市場参入等支援事業」を近畿経済産業局全体の重点施策である「関西メガ・リージョン活性化構想」に位置づけるとともに、2010年度以降3年間のロードマップを作成しました。
 今後、川下企業の協力の下に、中小企業への指導、中小企業連携による部品のキット供給をモデル的に推進するとともに、海外展示会への出展支援を中部経済産業局などとともに重点的に実施していきます。このような取組を継続して、将来に向けて、関西から国際民間航空機市場への供給拡大を図ります。

関西メガ・リージョン活性化構想ホームページ
http://www.kansai.meti.go.jp/7kikaku/21FY_MEGA/mega_rolling21.html



 
 
 

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