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配信日:2010年11月22日

持続可能な高齢化社会の追求―貴重な日本訪問と国際協力の可能性

中国老年学学会
国際部主任

王燕妮(ワン・エンニ)


(財)貿易研修センターは、2010年9月6日から11日にかけて、9カ国から参加した海外のオピニオンリーダーを対象に、「日本の少子高齢化への産業界の対応」をテーマに、第39回「リーダーシッププログラム」を実施しました。以下、中国王燕妮さんに、プログラムの所感をご寄稿いただきました。

 10年前に老年学と老年医学を主題にした研究を本格的に始めてから、世界で最も高齢化の進んだ社会のひとつであり、わが国中国と比較して著しい類似性がある日本は、私にとって非常に重要な国になりました。しかし、これまでは、日本の人口政策と関連産業を外部から知ることしかできず、2006年に日本を短期間滞在した時でさえも、高齢化の問題と解決策の表面にかろうじて触れただけでした。よって、私の好きなテーマで開催される第39回「リーダーシッププログラム」に今回参加できて、大変嬉しかったです。

 1日目から、経済産業大臣政務官と意見交換し、政策立案者や研究者の見識を聞く機会がありました。ここでは、興味深い観点がありました。他国の大半が、高齢化の社会福祉面を重視しているのに対し、日本はさらにもう一歩踏み込んで、高齢化が産業界に与える非常に幅広い影響や関り合いを考慮して取組みを行っているようです。私達は、お会いした皆さんから、高齢者を含む老齢人口、若年層、そして小さい子供たちに十分な支援サービスを提供する際直面する課題について、大変率直な話を伺うことができ、深く考えさせられました。

 2日目の午前を一言で表すと、「魅力的:チャーミング」です。パロに初めて会った人はみなそう感じるでしょう。この日の午前中に見学・学習したことは、この世界一の癒しロボットだけではありませんでしたが、パロは確かに、最も批判的なオピニオンリーダー達でさえも優しい気持ちにさせました。自宅や介護施設で、パロが様々なレベルの障害をもつ高齢者を助けてきた様子を見て、私は、中国にいる認知症や他の症状を患う何百万という高齢者のことを考えました。私たちはいつパロを導入できるのでしょうか。もっと重要なのは、パロや、その他(独)産業技術総合研究所全ての開発プロジェクトの背後にある、デザインの考え方や人間らしいアプローチから、私たちが学ぶのはいつになるかということです。

 日本IBM(株)訪問前に、日本の労働力に占める女性の割合が低く、出生率の低下に大きな影響を与えていることは学んでいました。この大多国籍企業の歴史の内側を見てみると解決策があるように思えました。日本の伝統的な地元企業も、日本IBMの後を追うことはできるのでしょうか。あるいは、海外の人が考えるように、日本の経済界は、このような大きな文化的変化に抵抗を示しているのでしょうか。

 同日の(株)ニチイ学館は、同社の沿革、戦略、目覚ましい成長に関する有益なプレゼンテーションを披露してくれました。同社の介護施設を訪問したことは忘れがたいものとなりましたが、施設ではプレゼンテーションで示された説明が生き生きとよみがえりました。施設の案内は細部まで配慮が行き届いていました。同様に介護でも、熱心に、細かい気配りをもってお世話しているにちがいないと私は思います。同社の在宅ケアサービスと研修事業を見学する時間がなかったことが残念でしたが、これは再訪のよき理由となります。

 名古屋市のトヨタ自動車(株)と日進医療器(株)を訪問したとき、伝統産業が高齢者の移動と、自立した生活を支援するために、どれほどの技術革新、開発を行えたのか理解できました。私たちは、プロセス最適化と労働者の専門技術を通じて、世界的に有名な日本の品質保証を垣間見ることができました。非常に高度な自動化に人間性を加える。おそらくこれが、私たち全員が学ぶべき品質保証の最良のモデルでしょう。

 全体として、今回の滞在から、日本の産業はすでに高齢者のための先進的な製品・サービスを開発していることを知りました。将来の高齢化社会で私達は、複合的・国際的に、国境を越えて、力を合わせて働くことが要求されます。技術革新に重点を置けば、高齢者の現実的で早急なニーズに対応する市場志向型のソリューション分野で、日本がリーダーシップを取ることは可能です。今回の滞在を通じてできた新しい友人とともに、国との間での協力の可能性を探っていけることを楽しみにしています。

 プログラム全体から学び、体験を通じて、IISTの主催者チームと、プログラムに参加した仲間のオピニオンリーダーの皆さんとも親しくなりました。様々な国籍で上手く構成されていましたが、グループはたちまち仲良くなることができました。素晴らしいプログラムを実施していただき感謝します。ビジネス、リサーチ、あるいは文化の視点からも、リーダーシッププログラムは、非常に有益で大変勉強になり、本当に貴重な、忘れられない滞在となりました!

 
 
 

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