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配信日:2011年1月20日

日本企業のアジア進出、今年はさらに加速

時事通信社
国際室次長

山川 裕隆


日本企業のアジアシフトは止まらない。少子高齢化で市場が縮小しているのに加え、円高が拍車をかけている。「中国リスク」があっても、今後売り上げが期待できる内陸部や上海周辺などへの日本企業の進出は続いている。また、2010年夏ごろからは東南アジアやインドへの進出も活発化しており、11年はさらに加速しそうだ。

 日本は少子高齢化で、消費市場は縮小している。このため、日本企業は活路を求めてアジア進出を加速させている。中国への日本企業の進出は内陸部や東北地域、上海で依然増え続けている。また、尖閣諸島事件などによる「中国リスク」で、タイなど東南アジアへの日本企業の進出も2010年夏ごろから増え、インドへの自動車関連企業の進出も活発になっている。日本企業のアジアシフトは円高もあって、11年にはさらに進みそうだ。
 国際協力銀行が10年12月に発表したわが国製造業企業の海外事業展開に関する調査によると、有望国ランキングでは中国、インド、ベトナム、タイなどの順で、上位4カ国は昨年の調査と変わらなかった。6位にはインドネシアが入り、昨年に比べ2つ順位を上げた。アジアへの日本企業の注目が一段と高まっていることがこの調査から読み取れる。
 中国で商品を製造して、日本や欧米などに輸出する日本企業は賃金アップや税制などの優遇措置の撤廃などで、業績が厳しくなっている。このため中国から撤退したり、工場の再編を進めた企業もある。一方、中国国内で商品を販売する日本企業は中国人の所得増に支えられ、売り上げを拡大。輸出型企業が苦戦する一方で、内需型企業が躍進する構図は今後ますます鮮明になりそうだ。内需型企業の代表的な業種は自動車や家電、化粧品だ。
 日本企業の10年の中国への進出地域を見ると、所得が上昇し、消費が活発になっている内陸部や東北地域への進出が目立っている。ローソンが10年7月に内陸部の大都市、重慶に日本のコンビニとして初めて店舗を出店。小型モーターを製造している日本電産は同年10月に重慶、成都、武漢、長春、鄭州の内陸5カ所に販売拠点の支店を設立した。ヤマダ電機も同年12月に東北地域の大都市、瀋陽に店舗を開設した。日本の家電量販大手が中国に本格的に進出するのは初めてだ。11年6月には天津に2号店を開業する。
 一方、巨大消費市場の上海には依然として小売業や外食、サービス業の進出が続いている。外食の「ロイヤルホスト」中国1号店が10年11月に上海にオープン。高島屋も12年に上海に進出するほか、大手スーパー、ユニーも早ければ12年にも上海に出店する計画だ。
 東南アジアへの日本企業の進出も10年夏ごろから加速している。ジェトロ関係者によると、同年7月ごろから自動車部品の3次、4次の中小メーカーのタイへの進出が増えているという。タイは東南アジアのデトロイトといわれるほど、自動車の生産が盛んな国だ。10年の生産台数は過去最高の165万台前後となる見通しだ。このまま推移すると、11年は200万台に近い台数になるものとみられる。このため、ブリヂストンがタイ子会社の第2工場を拡張させる計画を発表するなど、自動車関連企業の増産の動きも活発化している。
 同様な動きは人口約2億3000万人のインドネシアでも見られる。10年の自動車の新車販売台数は70万台前後、2輪車は700万台超といずれも過去最高になりそうだ。このため、自動車やバイクなどの生産ラインを拡張する動きが活発だ。食品や家電でも増産する日本企業が増えている。また、外食や小売業のインドネシア進出も増加している。吉野家や無印良品が同国に進出、ファーストリテイリングもユニクロを11年に開設する計画だ。
 人口約8700万人を擁するベトナムでは、高島屋が12年に商都ホーチミンに出店するほか、ユニクロもベトナムに出店する計画だ。このほか、イオンやローソンなどもホーチミンに進出するため準備を進めている。また、インドへの日本企業の進出も自動車関連の企業を中心に10年から急増している。
 日本は少子高齢化で消費拡大は期待できない。このため、11年も中国の内陸部や東北地域、上海周辺への日系企業の進出は増える一方で、消費市場が拡大を続けるタイやインドネシア、ベトナムなど東南アジアやインドへの進出も増え続けるものとみられる。


 
 
 

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