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配信日:2011年2月21日

第4回若手有望指導者招聘事業

カンボジア王国 商業省副長官

エム・ソポアン


(財)貿易研修センターでは、メコン地域の貿易・投資及びその他地域の経済活動の活性化と我が国とCLMV諸国との経済関係強化を図るため、カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナムの若手指導者を我が国に招聘する「CLMV若手有望指導者招聘」事業を平成18年度より実施しています。第4回目となる今回のテーマは「企業誘致」として、各国から計12名を招聘し、東京、福岡、佐賀においてプログラムを実施しました。本稿では、その招聘者のお一人であるカンボジア商業省副長官エム・ソポアン閣下による事業についてのご寄稿をご紹介します。

 カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV)は、経済統合の加速化にともない東南アジア諸国連合(ASEAN)に参加した。1990年代初頭、東南アジアに対する世界の認識が高まったのと同時に地域の大国である中国とインドからの競争が激しくなったことから、経済統合に向けたASEANの取り組みに拍車がかかった。こうした統合努力は、CLMV諸国のASEAN加盟後に特に加速した。 しかし、ASEANの経済統合が円滑かつ効果的に進むためには、ASEAN先行加盟6カ国と新規加盟国の開発格差を縮める必要がある。カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムのような開発途上国は、他国からの投資が経済成長の主力エンジンの一つとして非常に重要な役割を担い、失業と貧困を減らしてきたことを認識している。日本の経済産業省(METI)と財団法人貿易研修センター(IIST)は、2010年11月29日から12月4日まで「外国企業誘致」をテーマに第4回CLMV若手有望指導者招聘事業を実施し、CLMV諸国から12人の代表者が招かれ、そこに参加した。
 私の見たところ、日本はすばらしい技術と環境を有する幸福な社会である。私もCLMV諸国から一緒に来日した同僚たちも、日本で経験豊かな政府高官や民間部門の代表の方々からいろいろ学ぶ機会を与えられたことに大変感謝している。
 さらにまた、日本での経験は、CLMV諸国、中でも特にカンボジアにとって貴重な政策提言を示してくれた。工業団地や経済特区(SEZ)は、輸出加工区(EPZ)も含め、CLMV経済に組み込まれたビジネスコストや取引コストを削減するのに有用な政策手段となりそうである。SEZは区切られた生産拠点に資本投資を奨励することにより、インフラの十分な整備の実現につながる。また、輸出と輸入を両方扱うワンストップサービスを含む効率的な管理手続、オフショア金融および物流などのビジネス、人材開発や技術移転に対する政府支援なども提供する。
 SEZを国境沿いに設置するとよい。国境産業は、CLMV経済でビジネスやサービスの連携にかかる高コストを解決する手段を提供してくれる。隣接諸国、特にタイに設けられているSEZには、深海港、空港、輸送用道路などの物流拠点が整っている。 同様に、CLMVの国境地域に位置する企業(多国籍企業(MNE)を含む)は、立地優位性と賃金格差の恩恵にあずかりつつ、総コストおよびサービス連携コストの削減もできる立場にある。したがって、CLMVは輸送拠点と近接する場所にSEZを開発するのが望ましい。SEZを開発するにあたっては、各国は有利な法的枠組み、基本計画、インフラ、土地開墾支援、アフターサービス、土地所有者と潜在的投資家――特に有力企業――との密接なつながりを確立すべきである。
 CLMV諸国はその地理的な位置のおかげで、非常に豊かな天然資源と膨大な可能性に恵まれている。太平洋とインド洋とに面しているほか、中国、インド、タイなど成長著しいアジア諸国とも隣接している。この地理的優位を十分に活用するためには、これらの国とCLMVの主要都市や港を結ぶ整備された物流ネットワークを開発する必要がある。実は、アジア開発銀行の主導する大メコン圏(GMS)開発プログラムの一環として、すでにそのルートの一部は建設されている。
 この経済回廊の主要ルートを拡張し、いくつかの支線を設けて相互に接続すべきである。その過程において、現行の官民パートナーシップ(PPP)スキームはインフラの効率的な開発と運営を促進できるよう改善したほうがよい。さらに、こうした幹線道路による交易を円滑にするために、ASEAN通過貨物円滑化枠組み協定を徹底して実施する必要がある。
 もっとも、輸送インフラの建設による貿易の円滑化だけでは、企業をCLMVに誘致して力強い経済成長の達成を手助けしてもらうには十分ではない。それどころか、輸送の接続が改善されれば、周辺諸国のクラスターへの産業移転を促しかねない。 CLMVの経済発展のために整備するインフラを有効活用するためには、政府はCLMV内の用地に企業を誘致するための具体的な政策措置を開始する必要がある。
 労働生産性を強化する手段として、教育と技能への投資を最優先すべきなのは明らかである。この分野への投資不足は、失業リスクならびに所得格差を増大させる。 ほとんどの場合、教育と技能訓練への投資収益率はその他の種類の投資の収益率をどうやら上回っているようであり、開発途上国のほうが先進国よりも高い収益率を得ている。能力開発の取り組みで重視すべきことは、教育機関、研究機関、技能訓練機関、普及担当機関、NGO、地域組織の強化である。CLMV諸国における能力開発目標の中心となるのは、今まさに必要に迫られている人材開発(HRD)である。 厳密に言えば、HRDは費用対効果分析に基づき、効果を最適化し費用を最小限に抑える方法で実施しなければならない。職業訓練と公共行政への投資は、国内改革と制度構築の実施を円滑化する。開発途上国はややもすれば乏しい資源を使って大学教育を最優先させる。しかし、学歴重視の大学の高等教育から得られる目に見える利益は、特に実践的な技術教育分野においては、職業訓練を確立することにくらべてはるかに少ない。
 METIならびにIISTには、このきわめて重要なプログラムに参加させていただき、日本の産業の中心地や美しい都市を見学させていただいたことを、CLMV諸国の全代表者に代わって感謝申し上げたい。私たちは日本の産業から、自国に応用すべきベストプラクティスをはじめとして実に多くのことを学んだ。またプログラムは私たち自身の経験を交換できる貴重な機会にもなった。
(原文:英語)

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