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配信日:2011年3月22日

IIST徳島インダストリアルツアーに参加して

フィンランド大使館
一等書記官

ユッカ・パヤリネン


(財)貿易研修センターは、在京の外交官を対象に、徳島の地域経済や文化を紹介する徳島インダストリアルツアーを1月26日〜28日に実施いたしました。この度、ご参加いただいたフィンランド大使館のユッカ・パヤリネン氏に、ツアーの所感をご寄稿いただきました。


 駐日の外交官にとって、東京駐在は非常に刺激的で得るところが多い。見るべきものが沢山あり、会議も数多い。手帳はいつも予定でいっぱいだ。しかし、日本をより深く理解し、日本が提供するさまざまな可能性を見いだしたいのであれば、東京だけでは不十分だ。首都圏がその国の全体像を映しているはずはなく、首都圏だけに注意を向けて事足りることはほとんどありえない。

 このたび、様々な国の駐日外交官12名に、日本のある地域を知る貴重な機会が提供された。そしてその地域には質の高い企業、研究、文化が数多くあることがわかった。財団法人貿易研修センター(IIST)が、2011年1月26日から28日にかけて徳島県への視察ツアーを実施し、私も12名の1人として参加した。私にとっては初めての参加だったが、これが最後とならないことを願っている。

 この印象深いツアーには、企業訪問、大学との交流、文化の紹介がバランスよく組み合わされていた。ツアーでは、事業部門の異なる大手企業4社を見学することができた。徳島大学と大学病院における新しい技術革新について学ぶ機会も得られた。これに加え、阿波おどりや多くの名物料理など、徳島のさまざまな特産物を体験することができた。

 研修ツアーは、飯泉知事との会合で好スタートを切った。 面談では、人口の減少にもかかわらず、近代的かつ革新的な方法で地域を発展させようという徳島県の強い意志を感じた。大阪地域に隣接するという立地条件も、物流や市場の面でメリットになる。

 徳島大学工学部では、日常生活で実用可能な次世代技術について詳しく知ることができた。電気自動車を充電するだけでなく緊急時用電源としても機能する「ステーション」には、参加者一同感心した。また、LED照明を利用して工場で野菜や植物を栽培する方法は、食糧安全保障や食料栽培の将来について多くの思考材料を与えてくれた。こうした最先端技術は、日本のみならず世界の他の国でも問題を解決するのに役立つであろう。

 徳島の産学連携の例を知ることができたのも参考になった。徳島大学は発光ダイオード(LED)の開発や製品化で世界的に有名な日亜化学工業株式会社とほぼ隣接している。両者は連携してLED光線の新たな活用法について研究を重ねている。私たちは日亜化学工業を訪問し、近年、多岐にわたり文字どおり世界を形作ってきた技術革新についてさらに見聞を広めることができた。LEDには驚くほど多様な用途があると同時に、まだまだ潜在的な利用方法がふんだんにありそうだ。参加者の多くはすぐにでもLED壁を自宅の居間に設置したいようだった――ただし、価格が消費者レベルまで下がればの話だが。

日亜化学工業株式会社 (本社、阿南市)LEDディスプレイの前にて
 
王子製紙株式会社 富岡工場 (阿南市)

大塚国際美術館(鳴門市) 王子製紙株式会社を訪問した際に見せていただいた最新式抄紙機には感嘆した。製造工程はほぼ自動化していて、従業員の姿はなかった。すぐ近くにまで行って見た機械は、全長数百メートルはあったようだ。次に、世界中で使われているオーダーメイドの充填包装機メーカーである四国化工機株式会社を訪問した。同社は多くの大陸で事業を展開しており、将来はさらに拡大する計画を立てている。

 4番目に大塚製薬株式会社を訪問し、板野工場を見学した。オートメーション化された無菌の医薬品製造環境は、我々の多くにとってまさに初めての経験だった。ここでもまた、管理のゆきとどいた生産ラインには、あまり人間の手が必要とされていなかった。工場のもう一方の部分は、天然成分から作られた栄養食品SOYJOYバーの製造施設になっていた。訪問したどの会社も、自然環境に対して深い配慮をしているようだった。

 徳島は観光開発の面でも潜在力をもっている。徳島大学病院では現在、中国人客を対象に、医療サービスと徳島観光を組みあわせた医療観光に取り組んでいる。徳島は日本で最も糖尿病の多い地域だ。徳島大学病院はこの分野の研究において非常に高いレベルにあり、現在幅広い層の人々に相談サービスを提供している。

 徳島は興味深い自然現象や素晴らしい文化的特色に恵まれている。阿波おどりはおそらくこの地域で最も有名な名物の一つで、嬉しいことに我々は一流の踊りを見ることができた。阿波おどりの暖かい雰囲気は見学者の気持ちも盛りあげ、見ていた側もそのうちに踊りの輪に加わっていた。徳島海峡の渦潮と美しい景色は感動的だった。

 また、壮大でユニークな大塚国際美術館にも大きな感銘を覚えた。美術館は非常に大きな施設で、世界の有名な美術品が数多く展示されている。世界中の優れた作品を地域社会にもたらすことは徳の高い行いであり、作品を非常に珍しい方法で展示することによって、美術館がいっそう魅力的なものになっている。

 この度、IISTには、徳島の政策、投資機会、特色に対する私たちの理解を広げる機会を与えていただき大変感謝している。徳島当局をはじめ、企業や大学と社会的ネットワークを作る機会も与えていただいた。いまでは徳島地域がぐっと身近になり今後のつきあいの備えができた。

 IISTの取り組みは高く評価されている。小規模の大使館にとって、このようなツアーを自力で組むことはなかなか難しい。徳島のような日本の地域がもつ可能性について、ツアー参加者の誰もがさらに認識を深めたはずだ。

(原文英語)
 
 
 

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